ねこらぼ( 'ω')

名古屋でこそこそと活動っぽいことをしている橋本ねこのブログ( 'ω')

不条理な世の中と、おいしい焼鳥と。

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先日、某大手グルメサイトで高評価だった名古屋某所の焼鳥屋さんへと行ってみた。

 

基本的にはあんまりそういう人気店は好きじゃなくて…というか、そういう人気店って往々にしてやっぱり混んでるじゃない?混んでる所に飛び込んでいきたくないんだよね。

あまつさえグルメサイトにも取り上げられたともなれば、もう人が押し寄せる。そこ以外に行くところ無いのか。

でも、それだけメディアの力ってすごいんだなと感心もする。

 

 

人が押し寄せる事による弊害はもう一つ。

単純な作用として待ち時間があったり予約が取れなかったり席の時間が区切られたり…という制限も増えることになるんだけど、それ以外に大事な点がある。

それはクオリティが落ちるという事。

 

僕としての危惧であり、メディアの代償であり、人気の副作用でもある。

繁盛する前は一人ずつに丁寧に注ぐことのできていたクオリティは、2倍の人が来れば単純に半減してしまう。それは一人あたりに掛ける時間だったり、丁寧さだったり。

特に、急にメディアに取り上げられてしまった場合、増員やスキルアップ等の準備もままならぬままドタバタするだけ…なんて所も多いだろう。

 

 

さて、そういうわけで堂々と「人気店だよ!」みたいな面構えのお店にはあまり足を運ばない。

行ったとしてもある程度落ち着いた後か、もしくは人気店から選ぶにしても5番手くらいのお店にする。

人気の理由を見極める必要もある。味なのか、丁寧さなのか、人間味なのか、値段なのか、単に口コミが多いだけなのか、評価がユルいのか。

 

 

そんな中で、「行かずに毛嫌いするのも良くないな」と思い、某焼鳥屋さんへと行ったのだ。

もしもおいしければ僕の考えは杞憂に終わる。要らぬ心配だったのだ。実際、本当に死に物狂いで経営しているお店は頭が上がらないレベルで素晴らしい努力をして人気を保っているケースもある。

前に行った「如水」はその点、素晴らしかった。並んだ甲斐があった。

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行ってみた

お店の予約の時間はだいたい18時頃~19時頃が多い。予約があればお店側はもちろん席を確保しておくわけだが、という事は開店からその予約の時間までその席は空いているという事になる。

つまり、あまりにも予約を受け付けすぎると、予約の時間と予約の時間の間で席がデッドスペースになってしまう事がある。よって、人気なお店――その日のピーク時間帯に満席になる事が予想される場合――ある一定数の予約を受け付けると、もうその日は予約を断ってしまう事も多い。全部のお店に当てはまるわけでは無いが。

 

単純な話、電話予約をせずに開店直後に行けば座れる確率は高い。

というわけで開店時刻から3分後くらいに到着。入ってみた。

 

店内はカウンター席とテーブル席。席は合わせて30人前後が入れるだけなので、そこまで広いわけではない。焼鳥屋としては普通くらいか。

そんな店内、なんとほぼ満席。カウンター席が一ヶ所空いてるのみで、僕の次に来た人は断られていた。

予約席もいくつかあったようだが、カウンター席は既にぎゅうぎゅうだった。あれ、オープンしてまだ数分だよね?

 

さすが人気店。

ホールの店員は多く揃えているようで、慌ただしさは感じない。一方、キッチンは少人数。やっぱり技術の必要な料理は誰でもやれるわけじゃないし、難しいね。

 

 

さて、いくつか注文をしていく。

焼鳥屋で頼むものはだいたい決めている。

  • もも(ねぎま)
  • かわ(手羽先)
  • つくね
  • 肝(白肝/レバー)

この4種はほぼ頼む。

もも(ねぎま)

まぁ定番なので。定番で一番よく出る商品だし、一本当たりの肉の打ち方を見ればだいたい分かる。肉の量によるコスパも分かるんだけど、例えば「焼きやすい打ち方をしてるか」とかも分かる。

ねぎまはただの肉とねぎにあらず。肉の脂がちゃんとねぎに移って、香ばしさとジューシーさを味わえる。

かわ(手羽先)

炭火焼きのお店ならばマスト。炭火の香りがしっかりと移ったパリパリの皮が最高。

手羽先はジューシーさも味わえるので、手羽先があったら手羽先をチョイス。無さそうならばかわをチョイス。

かわは特に油が多いので、じっくり焼かねばいけない。サッと焼くと火が上がるし、焼き過ぎるとパサついてカサカサになる。この焼き加減でお店の忙しさが分かる感じがする。

つくね

何とでも誤魔化せる練り物、つくね。タレや卵黄なんかがあれば、だいたいうまい。

僕はつくねが大好きでハードルが高いので、塩でいただいてだいたい後悔する。

お店によって多種多様で、シソを入れたり軟骨を入れたりと各店創意をこらす。何とでも出来ちゃう分、ひたむきさが表れる。

肝(白肝/レバー)

最近やたらレア気味で出せば良いと思ってません?と一石を投じたい肝。

確かに焼き過ぎるとマズい。新鮮ならば焙る程度でイケるので鮮度のアピールにもなる。ただし、とりあえずレアで出せば良いって物でも無い。

この辺やハツを塩で食べるのが好き。下処理が甘いと地獄だけど。その点、タレって素晴らしい発明だと思う。ハツの命をいただいている感、好きです。

 

 

…とこの辺を食べつつ、見切りをつけるか続けるかを考えるわけです。

結果から言うと、この4種のみで早々にお店を後にした。どれも期待を下回ってしまった。混んでて居づらかったし、ってのもある。

 

値段もボリュームも接客もなんかこう響くものがなくて…やっぱりハードルが上がっちゃってたのかなぁ。うーん。

 

僕はきっともうここへ行く事は無い。焼鳥屋さんは他にもたくさんあるからね。

しかしながら、同じように評判を聞いてやってきた人が「うーん…次行くとしたら違う店かな」ってなる割合が増えてくると、ちょっと良くない。

 

口コミで成り上がったお店は口コミを失うと崩れる。

口コミで成り上がったなら、その後に土台を盤石にしたり他の命綱を作っておいたりせねばならない。

はて、大丈夫だろうか、とフードコンサルの端くれは思うわけです。

 

そう考えると、やはり口コミサイトというものは恐ろしい。

そしてもっとおいしい焼鳥屋を知っているのだけど何故そこが評価されていないのか不思議なくらい。ああ、世の中は不公平だ。

 

 

行きずりの焼鳥屋へ

件の焼鳥屋で食べて以来、どこかもやもやしていた。

そしてまた別の日、「いや、やっぱり納得いかないな」と世の不条理さに思いを馳せながら、これまた別の某焼鳥屋さんへ行ってみた。

先ほどのお店の口コミ数百件に対して、こちらは片手で収まるほどの評価しかない。

 

人の良さそうな店長が迎えてくれて、客は僕一人。コロナって怖いね。

一対一だ。今どき英会話教室でもマンツーマンなんて少ない。気まずい。しかし焼鳥を食べるにあたっては最高のコンディション。言い訳一切無しの100%の焼鳥が食べれる。

まずはねぎま。

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隙間なく打たれたネギと肉。肉の油がしっかりとネギにも移っていて、ネギは炭火の香りを纏う。良い。

 

肝。

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程良いレア感。中はなめらか。

串の打ち方や仕上げ方に真面目さを感じる。

 

つくね。

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つくねは最近本当にハズレ続きだったのだけど、久々のヒット。

めずらしく、軟骨が入っていない。シソの香りが絶妙。

ホロホロしすぎない、適度な肉感。なんか最近豆富みたいな食感のやつが多くて…あれはあまり好まないもので…。

 

手羽先。

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炭火の焼鳥屋では、皮のパリパリ感を味わいたい。

炭の香りをしっかりとまとった手羽先。骨があるから敬遠されがちだけど、身のジューシーさ、旨味はトップクラス。一回食べれば分かる。

 

 

 

さっき書いたお店よりも何を取っても評価は上になるんだけど、まぁ世の中というのは不公平ですね。

 

しかし、階段を数段飛ばしで進んだ人は、そのまま数段飛ばしで駆け降りる事もザラ。

自分のペースで、自分の出来る範囲で、時に流れを身を任せて進むのが良い。

急いだって、それってもしかして早く死ぬだけなんじゃないかな。と、帰りのエスカレーターに運ばれながら、僕の横をずんずん駆け上っていく人を見て思った。