僕はカレーが好きである。
スパイスからカレーを自作するくらいには好きだ。
スパイスから作ることで好みにばっちりフィットしたカレーを作ることが出来る。
だがしかし、スパイスを駆使しても思い通りにならないこともある。そして各メーカーってすげぇなぁと思うなどし、自分のカレーセンスに打ちひしがれる日もある。
市販品、すごいよ。安い。あの値段であの量、あの味。企業努力がすごい。
たまには参考にするために箱で売っているカレールゥだったりレトルトカレーを買ってみたりもする。
御贔屓のセブンイレブンでカレーフェスをやっていたときは僕も色々買ったし、新たなカレーとの出会いもまた良い。「こんなカレーもあるのか」と。
カレーって一口に言っても、要はインド風にスパイスを複数使ってシチューのようになっているものを総称しているだけであり、その守備範囲はとても広い。
僕もこれまで普通のカレーはもちろんのこと、欧風カレーにキーマカレー、バターチキンカレーやヴィンダルーなどを作ってきたが、ここで一旦原点回帰。
セブンイレブンの至高のカレー、「金のビーフカレー」を食べて勉強することにする。
勉強…?一体何を目指しているのか。自分にも分からない。
金のビーフカレーとは
セブンイレブンには、特にこだわった食品のラインナップとして「セブンプレミアム」が存在するが、その中でもアルティメットなものは「セブンプレミアム ゴールド」としてトップに君臨する。
品質、味もアルティメットだが、価格もアルティメット…庶民にはなかなか普段使いしづらいギリギリの価格を攻めており、ちょっとした自分へのご褒美みたいな感じで買うと良い。
セブンプレミアム ゴールドの代名詞であり顔でもある(個人主観)、金のビーフカレー。
金ピカのパッケージはまさに富の象徴。久方ぶりに買ってみると、あれ、パッケージが青色になってる?
リニューアルしたらしい
2024年6月より順次リニューアルとなった金のビーフカレー。
価格は税込429円。このコンビニだから許される絶妙な価格の高さ。スーパーでカレールゥを買う事を考えるとベラボウに高い。
しかしコンビニで他の総菜を買う事を考えるとそこまで手が届かないほどの価格ではない。そしてファミレス等の外食よりも安い。うーん、絶妙だ。
実はこの価格、リニューアル前よりプライスダウンしている。
以前の価格は税込473円。50円近くの値下がり。
いやいや、この物価高&円安の時代にそんなウマい話があるわけがない。疑り深い僕は内容量をチェックする。
リニューアル前は200g。今回は…。
223g。
あれ…?むしろ増えてる…だと…。
じゃあ、味が落ちたのでは?と考えるのが妥当なラインだろう。
もうこれは四の五の言わずに食べてみるしかない。
パッケージを見る
とは言いつつ、作る前にパッケージを見ながら四の五の言ってみようと思う。
ご丁寧な注意書きに、作り方やら問い合わせ先まで至れり尽くせり。
しかしパッケージの主題はそこではない。原材料名である。
バターやワインを使っているところから欧風カレーなんだろうなと想像できる。
クミンやらカルダモンやらカレーらしいスパイスも見受けられるが、ブイヨンやナツメグや花椒を入れていたりとちょっとインドカレーからは離れたテイストになっていそうだ。
ホテルで出てくるような欧風カレー、といったところか。欧米から影響を受け、戦後に開業した由緒正しきホテルが出していそう、と妄想が捗る。
作ってみる
カレーは湯煎でもレンチンでも出来るが、オススメは断然湯煎。レンチンなんてするのはシロウトだよ。嘘。言い過ぎました。
というのも、レンジでの加熱は思っている以上に中身の温度にムラが出来てしまい、思うような全体加熱が出来ない。
その点、湯煎は理想的な加熱が出来る。
ただ、ネックなのは湯煎の方が時間を要すところ。
レンジなら1分とか2分とかで完成するのに、湯煎だと急に3分とか5分とか言い出す。
しかし、もし湯煎せず毎回レンチンしていたとしたら、一度で良いので騙されたと思って湯煎してみてほしい。全然味が違うはず。時は味なりである。
というわけで湯煎。
湯煎後は大変熱いので注意しつつ、ごはんをよそった皿へと盛り付ける。
食べてみる
完成。色は良い感じのブラウン。長時間煮込まれているかのようだ。
だが、原材料でカラメル色素の表記を見たので、こちらは長時間煮込んだ感を出すための着色によるものだと思われる。
別に着色が悪いわけではない。それだけ見た目の情報が重要だという事だ。
こちらのカレー、家庭的なカレーのように具材がゴロゴロと入っているわけではない。
パッと目に付く具材は牛肉のみ。潔い。
おそらく牛すじ。噛み応えがあり、個人的には好き。
コストカットの要因はここじゃないかな、と思ったり。前は牛すじじゃなく、しっかり肉が入っていたような気がする。
とはいえレトルト食品の肉の質感には限界がある。せっかく良い肉が入っていてもどうしても高圧調理したような独特の食感になっちゃう。よく言えばホロホロなんだけど。
実際こういった牛すじなんかの方が安定しておいしいまま作成できる気がする。なので、個人的にはこの牛すじはアリ。おそらく別茹でで後から混ぜているのだろうが、よくマッチしている。
肝心のルーもいただく。
第一印象は「ちょっと薄味」。これは市販のカレールーが結構味が濃いので、そういうものになれているとどうしても薄く感じる。ガツンと旨みが来てくれないというか。人によってはマズいと感じちゃうかも。
しかし、これまでに色々なスパイスを使った料理を作ってきて、これもまた良さだと最近気付けるようになった。
むしろ味が濃すぎないことで、スパイスの奥ゆかしい調和に気付ける。
このスパイスの調和が恐ろしいバランス。主張は決して強くないが、かといって安直にブイヨンに逃げていない。
そこまで辛くないな、と思いながら食べ進めると、後からしっかりスパイスが追い掛けてくる。中辛程度ではあるが、スパイスの満足度は高い。
スパイスの調和が楽しめ、玉ねぎとフルーツの複雑な甘みを感じることが出来るが、ちょっと残念なのは苦みが出てしまっていること。
この苦みはなんとかすれば隠せそうなレベルに感じたので、あえてスパイスらしさとして残したのかなとは思う。
正直、普通にホテルの朝食で出てきても良いレベルだと思う。
仮にセブンのこのカレーを出してても気付かないし、ヘタすると中途半端なホテル特製カレーよりも旨い。
なるほど、またカレーの世界への理解が深まった気がする。
いやいや、泥沼により深く浸かっただけなのか。
カレーの探求はまだまだ続く。かもしれない。