諸君はビリヤニを知っているだろうか。
本当に簡単に言ってしまえばインド界隈で食される炊き込みご飯である。
スパイスを効かせており、主に肉などの具材も入っているのが特徴である。
一部カレー界隈では非常にホットな料理であり、熱烈なファンもいると聞く。
ビリヤニ is...
結構過激でコアなファンもいるこの料理に関して仮に誤った情報を発信してしまうと袋叩きに遭ってしまうため、慎重を期する。
ビリヤニ(बिर्यानी)とは、インドおよびその周辺国で食べられる米料理となる。
米を使うし、なんとなく南インドっぽい料理かなと思っていたが、インドに限らず結構広範な地域でビリヤニが見られる。
なお、発音としてはビルヤーニーが近いらしいが、日本での表記ないし発音は"ビリヤニ"で定着している。
主に地域によって製法の差はあるものの、炊き上げる(茹で上げる)点では同じである。
炒飯やピラフとの明確な違いとして、調理工程で米を炒めない。ピラフは最初に具材と生の米を炒めてからスープと合わせるので、この点でピラフとビリヤニとは異なる。
製法で言えば一番近いのはパエリアかもしれない。
また、インド米であるバスマティ米(बासमती, ﺑﺎﺳﻤﺘﻰ)を使っているのも特徴となる。こちらはインド~パキスタンあたりで栽培されるイネの品種で、日本の品種に比べて細長い。
バスマティとはヒンディー語で「香りの女王」という意味があり、日本の米では感じられないホクホクとした香りが楽しめる。ポップコーンのようでもあり、枝豆のようでもあり、独特だ。
バスマティ米は"炊く"というより"茹でる"もので、ビリヤニに限らず沸騰したお湯へと入れて茹でていく調理法を取る。一粒一粒がパラパラしており、粘度も低い。日本のお米のような甘みは無く、食感も軽いため、やや物足りなく感じるかもしれない。だが、インド料理に合わせるならば断然バスマティ米が適している。
「バスマティ米を使っていないとビリヤニではない」とも言いきらないが、「日本の米で作ったものはビリヤニではなくスパイス炊き込みご飯だ」と言う過激派もいる。
使用する具材については、宗教的なアレコレを加味すると鶏肉や羊肉が使われることが多い気がする。
もちろんベジタリアン向けもあるし、魚肉を用いたものやジビエっぽい肉を入れたものも存在するようだ。
このことから、使用具材に関してはビリヤニを定義づける食材は無いと見る。
ただし、スパイスは必ず入る。それこそカレーのようにクミン、カルダモン、コリアンダーなどが用いられる。
そんなビリヤニ、屋台でも買えるらしいが、イスラム教徒の結婚式などの祝いの席でも振る舞われるらしい。
立ち位置が赤飯なのか五目炊き込みご飯なのかよく分からなくなってきたが、インドの500円切手のデザインがビリヤニになるくらいには生活において身近な存在だという事だろう。たぶん。
ビリヤニ、どこで食べられる?
いわゆるインド料理専門店、もしくはその類いのお店で取り扱う。
一口にビリヤニと言っても、中東~南アジア~東南アジアで全然モノが変わってくるので、どんな感じのビリヤニが出てくるかはお店による。
しかし、近所のインド料理っぽいお店を数軒サラッと見てみたが、意外とビリヤニを置いていない。まぁ注文を受けてから作るようなものじゃなさそうだし。
近くにビリヤニを食べられるお店がないなんて…と絶望するのはまだ早い。
実はそのビリヤニ、コンビニで簡単に買えるんですってよ。
セブンイレブンのビリヤニ
というわけで今回も御贔屓過ぎるコンビニ、セブンイレブンへ来た。
お目当てはこちら。
「エリックサウス監修 ビリヤニ バスマティ米使用」
過激なバスマティ米警察にも配慮し、商品タイトルに「バスマティ米使用」と入っている。防弾チョッキは撃たれる前に着ないと意味が無いとはまさにこのこと。…どういうこと?
エリックサウスというのはもう今更言うまでも無いかもしれないが、南インド料理専門店である。
東京、名古屋、大阪、岐阜に店舗を構えている。お近くの方はぜひ。
そんなエリックサウスの監修したビリヤニ。
レンジで温めるだけでガチの味わいが楽しめるとのことで、以前もセブンイレブンで好評だった記憶があるし、何なら食べた記憶もある。
そこからしばらく行方をくらまし(期間限定商品だったので)、満を持しての再販となる。
以前と比べると、やや様変わりしている。
以前はカレーが2種類くらいあった気がするが、まぁこれは別にカレーが1種類だろうと気にならない。メインはビリヤニである。
ちなみにカロリーは511kcal。以前は646kcalあったところから考えると、ややボリュームダウンしている。
その分、値段も少しダウン。734円から699円へ。結構大きい。
前回との更なる違いとして、ビリヤニに添えられたチキンティッカ的存在の鶏肉と玉ねぎのアチャールが添えられている点、そしてビリヤニの彩りが豊かになった点がある。
前回は一色だったバスマティ米、今回は黄色の着色と色無し(白色)が仲間入り。
ビリヤニの作り方のうち、層に積み重ねるタイプの作り方をすると層によって米の色が変わる。この製品はそれを模して後から色の違う米をあしらって演出しているのだと思うが、エリックサウスの店舗のビリヤニの見た目にに近づいたとも言える。
パプリカパウダーとパセリもいい塩梅で色のアクセントになっているが、欲を言えばカスリメティの葉の方がテンションは上がった。
玉ねぎのアチャールのようなもの。アチャールとは乱暴に言えばインドの漬け物のようなものだ。これが甘辛くて良い箸休め(スプーンだけど)になる。
その奥のチキンティッカ*1的な物は、分かりやすくカレー味の鶏肉だった。
しっかりとスパイシーでこれだけでも十分おいしい。単品で出しても良いクオリティだと思う。
カレーソースもしっかりおいしい。これをかければ要は"カレーライス"になるわけで、一気に馴染みの良い食べ物となる。
スパイスも野菜の旨みもしっかり。スパイスは感じる割に辛くない…?と思っていたらちゃんと後から追いかけてきた。
肝心のビリヤニもパラっとしており食べやすい。スパイスも効いているので、カレーをかけずともおいしい。
バスマティ米らしい香りが楽しめるかと言うと正直よく分かんないところだが、下手な作り方をしたなんちゃってビリヤニよりは断然おいしい。たまに専門店でも日本人の舌や好みを考慮してか炒飯っぽいものを日本米で作ったりする店がある。そういったところに比べるとコンビニでハズレなくこれが食べられるのは何たる贅沢だろうか。
欲を言えばライタが欲しい。
ライタはインド式ヨーグルトサラダなのだが、カレーとともに食べると辛さを緩和してくれるいい箸休め(スプーンだが)となるのだ。
ほら、よく辛いものには水じゃなくて牛乳って言うじゃない?あれと同じ原理。
まぁでもライタが付いていると高くなるだろうし、コンビニの商品としても管理が大変になるだろうし、製品としてややマニアックになってしまうから無いのだと推測。ヨーグルトが嫌いな人からすれば要らないし。
しかしビリヤニなんて一昔前はマイナー料理だったのに、しっかりと根付いてきている気がする。
タピオカや高級食パン、マリトッツォなんかより速度は遅いけどその分じっくりと定着してきている気がする。
お店で見かけた際はぜひチャレンジしてご注文を。中には失敗もあるけど、グッドなお店に出会った時の感動はひとしお。良きビリヤニライフを!
*1:スパイスやヨーグルトに漬け込んだ鶏肉を香ばしく焼いた一品。