11月の第3木曜日はボジョレー解禁日。
しかし、ここ数年はあまりお祭り騒ぎにならない印象がある。
ボジョレーは地名なので、厳密にはボジョレー≠ボジョレー・ヌーボーである。
ヌーボー(Nouveau)は"新しい"という意味を持つフランス語、つまりボジョレー・ヌーボーとは「ボジョレーの新酒」である。
ここから先は特に断りが無い限りはボジョレーはボジョレー・ヌーボーを指すとする。
さて、そんなボジョレーだが、ここ数年はあまり話題に登らなくなってきているように感じている。
ボジョレーの人気が下り坂
一昔前のボジョレー解禁日と言えば、お祭りのようなポジションだった。
1つの大きなイベントで、居酒屋等でも需要があるため、各お酒メーカーもこぞって大々的なPRを行っていた。
しかし如実にプロモーションが縮小している。その原因を考えてみる。
原因①:コロナ禍
昨今のコロナ禍により、居酒屋ではアルコール提供の規制があった。これは居酒屋も然ることながらお酒のメーカーのパワーも奪うことにもなった。
日本だとアサヒやサントリーが大きくボジョレーを扱ってきたが、酒類取扱いの風当たりが強かった今年や去年は厳しかったと思われる。
原因②:ワイン離れ
ワイン離れ説もあるかも、と思って調べてみたけども、むしろワインの消費量は上がっているらしい。
ボジョレーのピークは2004年だったという。2016年にはボジョレーの消費が2004年の1/2に。しかしワイン全体で見ればワインそのものの消費量は上がっている、と。
考察
さて、これらから考えられるのは「ワイン離れ」ではなく「ボジョレー離れ」だということ。
コストパフォーマンスの良いチリワイン、オーストラリアワインが入ってきて久しい。浸透してからもう10年くらい経つかも。
そして今では本格的なワインから手軽なテーブルワインまで、様々なワインが手軽に入手できるようになった。
ボジョレーの特徴として、「あっさりとしていて飲みやすい」というものがある。収穫して即効でワインにするため、熟成という概念が無いに等しいからだ。
その特性上、ボジョレーはワイン馴れしていない日本人にも飲みやすいとヒット。かつて日本人とボジョレーは相性が良かった。
そんな日本は、いつしかフランス本国に次いで第2のボジョレー消費国となった。
東京の居酒屋では0時の解禁を前にカウントダウンなんかをして解禁を祝ったらしい。
さて、そんなボジョレーだが、前述の特徴があるためワインとしては円熟味が無くどことなく物足りない味となっている。
すっかりとワインの普及した現在において、ワインを選ぶときに敢えてボジョレーを飲む必要が無くなってきてしまったのだ。おそらくそれが一番の問題だと思われる。
ボジョレーは要らない子…?
じゃあボジョレーはもう不要なのか?というとそれはもちろん違う。
まずはボジョレーの本来の役割に立ち返る必要がある。
ボジョレーはその年の収穫を喜び、祝い、そしてその味を分かち合う。そんな側面がある。
普通にワインとして楽しむならば選択肢には上がりづらくなってきたが、「新モノ」として味わってみるとまた気分も違う。
日本酒やお米、魚も新モノは味が違うしね。そんなイメージ。
飲んでみる
運よく2020年のボジョレーも入手出来たので、2021年のボジョレーと比べてみる事にした。
(しかしこの時期に2020年のボジョレーを売ると2021年のボジョレーと間違えて買う人が現れそうだな…と思ったりしつつ。)
ちなみに左のピンクのラベルが2021年。右の青のラベルが2020年だ。
2020年
2020年のボジョレーは評価も高く、バランスの良い味だったと記憶している。
グラスに注ぐと透明度の高いガーネットカラー。
香りはちょっと奥に潜んでいるが花のような香り。
飲むとボジョレーとは思えない程のボディ感とバランスの良さ。普通にテーブルワインとして使える味だ。
赤身肉と合わせるのが最高だろう。
2021年
今年のボジョレーは一口目からインパクトがあった。
酸味が鋭く、フレッシュな果実っぽさも感じた。
色は濃度の濃いルージュ。
輪郭はしっかりとしているが、若々しさも感じる。
例えるならばずっと女子校に通ってた22歳、って感じ。
ちなみに去年のボジョレーは「自称サバサバ系コミュ障OL(25歳)」だった。
まとめ
11月のイベントとしてその年のボジョレーを味わう楽しみ。
かつてのように大々的なイベントはあまり見かけないが、それでも個人的には11月の重要なイベントのひとつだ。
ボジョレーを見掛けたら「ほうほう、今年はどんなもんかな」と買ってみると良い。