ねこらぼ( 'ω')

名古屋でこそこそと活動っぽいことをしている橋本ねこのブログ( 'ω')

深くて、シンプル――「ホープ軒」のラーメンをお取り寄せ

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1938年に生まれた伝説級のラーメン屋、ホープ軒。

誤解を招かないように「ホープ軒 本舗」としておく。

 

まだ100年と経っていないが、1938年といえば戦前である。そう考えると長い歴史を感じる。

ホープ軒、古くはホームラン軒、さらに前は貧乏軒だった。

 

始まりは戦前、貧乏軒として屋台を引くところから。

戦時中はやむを得ず店を閉じ、戦後しばらくもこっそりと営業。ちゃんと営業出来るようになってしばらくしてからはホームラン軒と名乗る。

その後、立ち退き等の契機があり、1965年より再び屋台を引き、ホープ軒とする。

 

ホープ軒は今で言うフランチャイズのようなものを取り入れ、ホープ軒のノウハウや看板を貸した。ホープ軒を謳う屋台は増え、商売として成功していった。

これにより、親族の営むホープ軒や貸し屋台時代のホープ軒など、様々なホープ軒が存在する。

大元のホープ軒は1978年に「ホープ軒本舗」となり、今もなお吉祥寺に存在し続けている。

 

今回のお取り寄せ品

「ホープ軒」のラーメン

背脂豚骨系ラーメンに火が付いたのが1980年代後半~1990年代ごろと言われている。

この時代、ラーメン店たちはこぞって「環七」と呼ばれる地域でしのぎを削った。そんな環七は今でもラーメン激戦区である。

 

そんな背脂豚骨ラーメン狂騒には、ホープ軒の息が掛かっていたとも言える。

ホープ軒は背脂豚骨系である。そんなホープ軒が貸し屋台を与え、独立していったラーメン屋が営むのはやはり背脂豚骨系となる。

それぞれの店舗が育ち有名になってきた頃、まさに背脂豚骨ラーメン戦国時代となった。つまり、争っている店舗のルーツをたどると、そこにはだいたいホープ軒があるのだ。

 

それくらい多大なる影響を与えてきた、生きる伝説。それがホープ軒である。

そんなホープ軒のラーメンが自宅で再現できるらしい…伝説を家に召喚できるとは。

 

 

お取り寄せしてみる

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前の2つに引き続き、こちらも銘店伝説の極魅(きわみ)シリーズ。

■博多だるま

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■ぜんや

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銘店伝説は名立たるラーメン屋の味を自宅で手軽に楽しむ事の出来る数々の商品を取り扱う。

その中でもフラッグシップラインとなる極魅シリーズは、1食648円と決して安くはないシリーズだ。その分、再現度が凄まじい。

麺の質感が段違い。スープもかなり近い水準まで寄せている。

 

こういったOEM、つまり他社による商品化はどうしてもコストがネックになる。もっと拘りたい店主とそれ以上予算をつぎ込めない会社。

 

そんな制約を、売値を高める事で打破したのがこのシリーズ。更に細かい拘りを反映させることが出来ているように感じる。

しかしきっとそれでも100%ではない。全てのこだわりを詰め込んだら、もしかすると店頭で食べるよりも高くなるかもしれない。

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袋を開けると麺とスープ、そしてチャーシューと唐華(とうか)が入っている。

 

麺はやや細め。チャーシューは肩ロースっぽい脂身少なめな見た目。

唐華はいわゆる卓上調味料の類いで、唐辛子と牡蠣油が混ぜられているオリジナルスパイス。

 

作ってみる

袋裏の調理手順に従い、作る。

スープとチャーシューは袋のまま温めておき、麺はたっぷりの沸騰したお湯で茹でる。

 

茹で時間は2分程度。結構短いので、麺を茹で始めたら先にスープを作り終えておきたい。

 

麺が茹で上がったら手早くしっかりと湯切り。スープに滑り込ませ、具材を乗せて完成だ。なお、モヤシとネギは自分で用意した。

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食べてみる

まずはスープから。

しっかりと背脂の味わいがしつつも、ピーキーではないまろやかさも併せ持つ。

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思えば、ここ最近のラーメン店で「背脂」と聞くともっとガツンとパンチのある物ばかりだった。もちろんホープ軒もパンチのある部類なのだが、昨今のマシマシ的な文化に時代の流れとニーズを感じる。

やはり最大限に尖ったものというのは持て囃される。極限まで辛いもの、極限までカロリーの高いもの、極限まで量の多いもの。限度はあれど、一度尖り始めると丸くなることは難しい。

 

そういった面で、このホープ軒の背脂豚骨醤油ラーメンには「原点」のようなものを感じる。

 

 

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麺は細めで若干のウェーブ。よくスープに絡む。

麺の香りはそこまで立たないが、然して問題では無い。

 

チャーシューは肉感がある。スープによくなじませていただく。

付属の唐華を入れる事で、スープの色は一気に赤色へ。結構味が変わってしまうので、後半に楽しみたい。

 

スープそのものの深みも然ることながら、歴史の深みというスパイスをも感じる味だった。

戦前より愛された味。もちろん作り手は移り変わり、材料も当時と全く同じではないだろうから、寸分狂わず当時の味というわけではないけれども。

それでもこのスープは、まるで傷だらけの背中を見るような感覚があった。

長い歴史を静かに語る味だった。

 

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