最近、なんだか雨が多い。
春ってこんなもんだっけ?なんかもっと春の陽気を感じられるようなポカポカした気候だったような…。
春に三日の晴れなし
実は春は気圧が乱れやすい季節である。
高気圧と低気圧が交互にやってくる春は、冬と違い気圧配置が安定しない。
そのため、春の風向きは変わりやすく、急に突風が吹き荒れることも。これが俗にいう「春一番」というものだ。
晴れていたかと思うと雨が降り、また天気予報を見たら天気が変わっていたり。
天気がコロコロ変わるのは秋のイメージだが、実は春の天気も移ろいやすい。
最近だと熱帯性のスコールのような激しい突発的な雨――いわゆるゲリラ豪雨のようなものも目立っているが、数日間グズつくような雨降りの天気も多い。
散る桜
桜の季節が終わり、徐々に暖かい日も出てきた。
そうこうしているうちに梅雨となり、夏になり、蝉がうるさく鳴き出すだろう。
振り返ってみると、桜の季節は非常に短い。
花の世界で考えれば特筆するほど短いわけではないのだが、多くの木にワッと小さな花を咲かせ、ハラハラと散っていく様は何とも趣深い。
他の花木と比較しても桜の木は多くの場所にあり目立つため、より開花から散るまでが印象深く残るのだと思う。もしも桜がツツジくらいの高さで開花する花だったら、ここまで皆心を惹かれなかったと思う。
そういえば桜が咲き始めるころや満開になった後くらいって、よく雨が降っていた気がする。桜散らしの雨、なんて呼ばれていた。
晩期には雨に負けてしまい、ほとんどの桜花は姿を消す。桜の花はちょうど卒業~入学くらいの新生活のスタートを彩る。そしてサッと散り、次の季節へとバトンをつなぐ。
まるで雨が「いつまでも別れの季節を引きずらず、新しい道を進みなさい」と前の道を洗い流しているかのよう、と感じたこともある。
雨生百穀
この季節の雨はあらゆる植物にとって恵みの雨となる。
4月20日~5月4日頃までのこの時期は二十四節気の「穀雨」にあたり、文字通り穀物を成長させる雨が降る頃となる。
穀雨が終わる頃には八十八夜*1となり、茶摘みの季節となる。
そして穀雨の次は立夏。現在の暦ではまだ夏というには早いけど、でも日差しも強くなってくる頃だろう。
こうしてまた春服の出番が短いまま終わるのだ。今のうちにたくさん着なければ。
着るならまさに今。こうして今この瞬間の季節を全身で感じるのだ。
恵みの雨はきっと自分も潤してくれる。
*1:立春から数えて88日目