そろそろお中元のシーズン。お中元といえばビールかハム。そんなイメージがある。
酒飲みにはちょっと良いビールを送れば喜ばれるし、ちょっと良いハムもあまり嫌いな人も居ないし長持ちするし、言ってしまえば「The 定番かつ無難」なお中元ギフトである。
ファミリーには油や調味料を送ったりね。定番ってあるよね。
お中元とは――
そもそもお中元って何?というところ。
確かに日常生活で「中元」という言葉はここでしか使わない。馴染みがあるようで馴染みのないワードである。
中元は元々は宗教用語である。
仏教、儒教と並んで中国三大宗教(三教)のひとつである道教の中の用語。
それぞれの教えの違いや特徴はここでは割愛するとして、道教では中元というイベントが旧暦の7月15日に行われていた。現在の"お中元"の時期はここに由来する。
道教の中元と仏教の盂蘭盆会(うらぼんえ=お盆)は時期が同じだったため、じきに融合した。
日本に入ってきた後は更に意味合いは変化していった。今ではお中元の元の意味は形骸と化し、単に「付き合いのある人への贈り物をする風習」となった。
現代の日本でのお中元は「夏のご挨拶がてらの贈り物」という解釈で良い。
更に繋がりが希薄になった昨今に於いては互いに贈り物自体を取りやめる事もしばしば。これはズルズルと贈り物をし合う習慣を無くそうというもので、互いにお中元という風習に手間が掛かっていると感じた時に取り決めるケースがある。
時期に関しては、地方によってズレがある。
先述の通り旧暦の7月15日が中元であるため、現代では7月15日のところと8月15日のところがある。
旧暦は明治時代に改暦されたため、地方によって解釈の違いがある。ちなみに七夕も改暦により地方によって時期が曖昧になった行事の一つだったり。
自分の地方が7月15日を基準としているのか8月15日を基準としているのかは知っておく必要がある。
それらを過ぎると、お中元から暑中見舞い、そして残暑見舞いと表書きが変わっていく。
今回のお取り寄せ品
夢一喜の「手造りハンバーグ&ハム詰合せ」
ハムやソーセージの詰合せは、定番なだけに種類もものすごく多い。
大手メーカーはもちろんの事、クラフト感のある地方の牧場からも品質の良い製品が出ている。
今回は夢一喜という会社からお取り寄せ。
こちらは大阪の会社で、レストラン経営と食肉製品製造会社に分かれる。
レストランの方は手造りハムとステーキを売りとし、A5ランクの黒毛和牛を使用したメニューが並ぶ。価格も中々ゴージャスだ。
日本のハムとソーセージ
「日本のハムとソーセージはレベルが低い」というのは、本場ドイツの予てからの評価。
ハムもソーセージも、現在の大手日本メーカーのデイリー品に関しては別の食べ物と言えるかもしれない。見た目や雰囲気を模した別物、と言っても過言じゃない。
個人的にはそれもそれでおいしいしアリだとは思っている。ただ、確かに別物ではある。
レベルに関しては飽くまでもドイツの伝統的な製法に比べた時の話。逆に伝統的な製法は言ってしまえば時代遅れであり、無駄や手間も大きい。
互いに否定し合うよりも、現代の価値観で好みの物を選べば良い。最終的にはどれだけこだわっているかや味のみならず、金額やネームバリュー等の諸々を加味した「選ばれるかどうか」が大きい要素となる。
その上で選ばれ続ければ後世に残る。それが製品としての正解となる。
例えば日本のハムは塊肉ではなく成形肉が使われる事も多い。いわゆる「プレスハム」というもので、狭義ではハムではない。
また、大量生産を行っているハムは熟成工程が非常に短期間である。その分、スパイス等の風味は劣るが、ハム自体の水分量が多い。
このため、伝統的なハムを食べるとパサついていると感じる事すらある。
日本のソーセージに関しては、こと食感に重きが置かれているような感覚がある。いかにプリッとしているか、パキッと音が出るか、みたいな。
伝統的なソーセージの中にはぐにゃりとした食感の物も少なくない。ソーセージは個人的にはスパイスやハーブの香りと粗挽き肉とのハーモニーを楽しむものだと思っている。
食感やジューシー感ならば日本のソーセージは秀でていると言えるだろう。
夢一喜のハムとソーセージ
夢一喜も日本の会社ではあるが、伝統製法を守ったハムづくり・ソーセージづくりを行う。
ハムは豚ロースのブロックを切り分け、調味液に漬ける。この調味液はドイツの岩塩、各種スパイスやハーブを混合したもの。
このまま2週間弱漬け込まれ熟成させるが、漬け込まれた肉の上下を入れ替える重労働を手作業で毎日行うという。
熟成を終えたハムはスモークされ、その後ボイルをして完成となる。
ソーセージは更に上質な国産豚肉をメインで使用。熟練の職人が赤身と脂身をバランスよく配合する。
肉を粗挽きのミンチにしてドイツの岩塩やスパイス等とともに混ぜ合わしたら、腸詰めを行う。
その後スモークとボイルの工程を経て、完成する。
これらを始めとする加工品はドイツの国際コンテスト「IFFA」や「DLG」「SUFFA」等で入賞を果たしている。
個人的にはあまりこういった賞は重視しないが、ドイツのコンテストでの入賞という事実はそれなりの意味を持つだろう。
お取り寄せしてみる
箱は社名等が入っていてシンプルだが、安っぽくはない。
そうそう、これくらいで良い。最近は包装も簡素化の時代。
箱が豪華すぎると、例えばプレゼントならば気を使ってしまうかもしれない。もしも桐箱に入っていたら価格が気になってお返しも慎重にならねばならないだろう。
また、個人的には箱にお金を掛けるならば中身にお金を掛けてほしいとも思う。見栄えは確かに大事だが、包装資材は飽くまでもアイコンであり、その域は出ない。
贈り物として適度な高級感を醸し出している、くらいがちょうど良い。
いろいろな種類の製品の詰合せは、開ける時のワクワク感がある。
ギフトもそうだし、福袋も似た感覚がある。
内容品としては、
- 手造り 焼きハンバーグ … 110g×3個
- ハンバーグデミソース … 30g×3個
- ロースハムスライス … 110g
- あらびきウィンナー … 130g
- ブラートブルスト … 120g
というラインナップ。
ハンバーグ、ハム、ウィンナー2種のセットだ。
食べてみる
手造り 焼きハンバーグ
国産牛・国産豚を100%使用し、淡路産玉ねぎと合わせたハンバーグ。
一度焼いたものをパッケージしてあるので、温めるだけで食べる事が出来る。
ボイルするなら沸騰したお湯で5分、電子レンジならお皿に取り出してふんわりラップをして600Wで約2分で完成する。
あまり分厚くはない。ふっくらした厚みのあるハンバーグや球形に近いようなハンバーグが未だに人気な中、やや逆行したビジュアルだ。
切ったときの肉汁もあまり出てこない。「肉汁が溢れ出す=良い」では無いが、こちらもトレンドとは逆を行っている。
しかし、食べてみるとやや粗挽きの挽肉のミチッとした食感が活きている。
デミソースが付属しているが、かけずともしっかりと下味とスパイスが効いている。
デミソースはやや甘めの仕立てで、子供でも食べやすい味付けとなっている。
最初の一口目は「ああ、こんなもんだよな」ってなるのに、食べ進めて食べ終わる事には「おいしかった」に変わる、不思議なハンバーグ。
粗挽きの肉々しい部分とともに口当たりが滑らかな部分もあるので、豚レバーか何かを少量配合しているかもしれない。パテ的な。
なおボイルと電子レンジ調理を比較すると、電子レンジの調理の方がしっかりとした食べ応えになって好みだった。
ロースハムスライス
こちらが手間暇掛けたこだわりのロースハム。
スライス済みで使いやすい。110g入り。だいたい10枚程度。
スライス済みなのでシンプルにそのまま頂く事にする。
しっかりとした食べ応えのハム。
「肉を食べている感」が楽しめる。
スパイスやハーブの香りはほのか。その上にこれまた優しい燻製香がサッと香る。
他の食材を邪魔しないので、パンに挟むのも良い。ドレッシングとの相性も良さそう。特に玉ねぎとの相性は格別だろう。
あらびきウィンナー&ブラートブルスト
あらびきウィンナー、ブラートブルストはともに5本入り。
ブラートブルストはノンスモークの白いウィンナー。
ブラートブルスト(Brätwurst)はドイツ語。ブラート(Brät)は「細かく刻んだ肉」、ブルスト(Wurst)は「ソーセージ」を意味する。ブラートブルストの名前自体がまさにソーセージ全般を指しているようなもので、ドイツの定番ソーセージである。
その名前の由来通り、ブラートブルストは歴史の古いソーセージ。「これがブラートブルストだ」という定義は曖昧ながら、現在の日本の認識で大きいのは「最小限の添加物でシンプルな製法」「スモークしない」「白っぽい」という要素。
もっと大雑把に「ハーブの香りの効いた白いソーセージ」という定義で売っているメーカーもある。多種多様だ。
ウィンナーで重要なのは、ハーブやスパイスと挽肉のマリアージュ。
それらはメーカーごとに個性が光る部分。ハーブやスパイスが強すぎてもダメで、肉の味わいが損なわれる。ハーブやスパイスが弱いと、よほど肉が上質でない限りは没個性的になる。
ウィンナーやハンバーグは原材料を原型を留めないミンチ状にするため、原材料の比率はどうとでも出来る。端切れの肉を寄せ集めて誤魔化す事だって出来る。どこまで真摯に向き合えるかは重要だ。
ウィンナーはグリルかボイルでいただく。電子レンジも可能だが、調理ムラを考えるとベストな選択肢ではない。
グリルはちょっと手間が掛かるが、だいたいの種類のウィンナーに適する。香りも引き立つ。グリル中はこまめに転がしながらウィンナーの面倒を見る。だいたい30秒くらいずつで転がし、5分くらいは焼きたい。あとはお好みで焦げ目が付くまで焼き、完成。
ボイルは沸騰したお湯に入れるだけだが、皮が破れないように注意。強火でボコボコと煮ると破裂してしまうので、弱火で熱を伝えていくようなイメージで。
まずはグリルでいただく。
あらびきウィンナー、ブラートブルストともに7分ほど焼いた。
右があらびきウィンナー、左がブラートブルスト。
あらびきウィンナーはプリッとした食感が活きる。パキッとまでは行かないが、充分。
名前通り粗挽きにされた肉はジューシー。肉の脂の旨みとハーブ、スパイスの均整が取れていて、どの要素もしっかりと感じる。
ブラートブルストは、口に含んだ瞬間からハーブとスパイスのハーモニーが楽しめる。なおかつ肉の味わいも感じる事が出来る。
ハーブやスパイスが多量に効いていると肉質が劣っている場合もあるが、このブラートブルストではそうも感じなかった。
あらびきウィンナーと比較すると個性は強いが、おいしい。ビールによく合いそう。
この2種はボイルで食べてみても個性を損なわずにおいしかった。
あらびきウィンナーはポトフ等の煮込み料理に入れても良いかもしれない。しっかりとウィンナーらしさを残したまま、かつ他の食材を邪魔しなさそうな味わいになりそう。
ブラートブルストはよりストレートな味わいとなり、やや上品さが増したような印象の味になった。
利休のハム
ところで、夢一喜のロースハムとあらびきウィンナーには「利休のハム」の文字がある。
利休とは、お察しの通り千利休の事。あの歴史上の茶道の人、だ。
大阪南部は泉州地域と呼ばれ、夢一喜のある貝塚市もここに該当する。
また、泉州は千利休にゆかりのある地であるため、ここから肖って「利休」の名を冠している。
利休の精神を宿したハムづくりを目指す、としている。
いろいろな種類の楽しめるパッケージはお得感もあり、選ぶ楽しみもある。
そしてもちろん食べる楽しみも。
ちょっとしたご褒美からギフトにも使える詰合せは、こちら以外にも各種用意されている。
詳しくは公式サイトを。
|