カレーとは似て非なるスープカレーというものがある。
北海道発祥と云われるスープカレー。その名の通り「スープのようなカレー」なのだが、中には「カレー風味のスープ」と言った方が近い物も存在し、後者ならば一般的なカレーライスからはより離れた料理となる。
スープカレーについて
特徴
まずは質感に大きな違いがある。
スープカレーにはとろみが無い、もしくはあったとしても極々わずか。
また、スープカレーとご飯は別々で盛られる事がほとんど。
もしもスープカレーとご飯を一緒にしていたら、スープカレーの汁気をご飯が吸い取ってしまうからだろう。
とろみが無い分、ご飯がどんどんスープカレーを吸ってしまう。
スープカレーの本質はスープ。ここが一番大きな違いかもしれない。
スープカレーには出汁の概念が存在し、鶏ガラ・鶏肉や羊、魚介類、野菜などで出汁を取る。
そのため、通常のカレーと違って味が薄く感じる事もある。カレーというよりもスープ感覚で楽しみたい。
スープカレーは往々にして辛口、言い方を変えればスパイシーである。
これは北海道で生まれた事による寒冷地方の特性なのか、はたまたスープにした時のスパイスとの親和性の問題なのか。それとも最初に作った人が辛い物が好きだったのか…。
"スパイシー"という言い方をしたが、薬膳的な側面を持つスープカレーも散見され、それぞれの店が独自の配合でスパイスを入れている。
それゆえ、スパイスには並々ならぬこだわりを持つ名店も少なくない。
スープカレーは具沢山である。
家庭のカレー、欧風カレー、インドカレー等とは完全に一線を画す部分でもある。
ごろっとした骨付きの鶏肉。下茹で、素揚げ等をしたカラフルな野菜。ダイナミックな具材たちで見栄えもボリュームも大満足。
これらがスープカレーの大まかな特徴である。
発祥
北海道発祥と云われる。
1990年代に旧・喫茶店アジャンタの出した薬膳カレーが元祖と言われており、このカレーが人気メニューに。
その後同様のサラッとしたスープのようなカレーを出す店は増えていく。
なお、スープカレーと名付けたのはマジックスパイス札幌本店のオーナーという話。
時が流れ、全国的なブームになったのは2000年に入ってから。某タレントがスープカレー好きを公言したあたりから火が付いたと考えられる。
今回のお取り寄せ
奥芝商店の「竜宮の賄い海鮮スープカレー」
そんな北海道のスープカレーを味わうべく、今回お取り寄せをしたのは奥芝商店のスープカレー。
奥芝商店は2006年創業。
ちょうどスープカレーがブームになっていた頃に生まれた専門店であり、老舗や元祖というわけでは無い。ただし、ブーム中からブーム後、そして現在まで乗り越えてきた事になるため、そのクオリティは折り紙付きである。
その後店舗数を増やし、現在に至る。北海道に11店舗、さらに東京にも1店舗進出を果たしている。
奥芝商店について
奥芝商店はスープカレー専門店。海老で出汁を取っているのが大きな特徴である。
大量の海老の頭を使って作った旨み溢れるスープをベースにして、スープカレーに仕立てていく。
スープカレーのデフォルトの辛さは中辛程度に設定しているらしく、辛いのが好みな人用に別売りスパイスもある。
お取り寄せしてみる
奥芝商店のお店の味をそのままお取り寄せできる、という事で早速お取り寄せ。
スープカレーには色々な種類が存在する。ベースとなるスープカレーそのものの味わいは同じだが、入っている具材で差が付いている。
今回お取り寄せするのは、取り扱うスープカレーの中でも一番贅沢*1であろう「竜宮の賄い海鮮スープカレー」。
名前も然ることながら、紹介写真がすごい。
溢れんばかりの海鮮具材たち。
しかし、本当にこんなに具沢山なのだろうか。
ネットショップという物は実に色々なお店があり、「※盛り付け例です」「※写真の具材は付いていません」「※スープのみとなります」等々の細かい注釈があったりする場合もある。
これらを見逃して購入すると、やられてしまうのである。
というわけで、やや訝しがりながらも隅々まで紹介文を読んだが、どうやら本当にこれだけの具材が入っているらしい。
原材料名にも「ほたて」や「いか」の文字を確認した。原材料名は内容比率の多い順に並べる原則があるため、4番目に帆立が記載されているという事は写真の通りの粒で入っているのだろう。
買ってみる
まるでハガキのようなデザインの天面。
側面、裏面にもユニークな仕掛けがあるので、ぜひ手に取ってご覧いただきたい。
フォーマルな贈り物には向かないかも。フォーマルな贈り物にスープカレーは選ばないか。
そして箱からは既に海老の香りがしているような気がする。
中にはドンと2パック。500gのパックが2つ入っている。
こちらはこのまま冷凍することで半年以上も日持ちする。
他にも奥芝商店のパンフレットやステッカーも。
パンフレット内面には作り方の記載や、バックグラウンドなどの情報なども。
作り方にはキャッチ―なイラストが記載。
どうしても手伝いたいエビがかわいい。
このエビはステッカーともなっている。
使いづらいサイズのエビステッカー、と自虐気味のユルいデザインとなっている。
個人的にはその「使いづらいサイズの~」という文字部分もステッカーになってしまっているのが使いづらいと感じる。
まぁかわいいから大丈夫。
作ってみる
作るのは簡単。大きめの寸胴にたっぷりのお湯を沸かし、20分ほど湯煎。
湯煎が終わればそのまま食べる事が出来る。
その後手鍋へ中身を空け、好みの具材を入れたり辛さを調整したりする事も出来る。このひと手間を加える方をオススメ、としている。
スープカレービギナーはここでちょっと煮詰めて濃さを上げると食べやすいかもしれない。
なお、鍋に移した時点で、ものすごい海老の香りを感じた。
完成したものがこちら。
確かに写真と同等の具材が入っている。
有頭海老は丸々一尾、帆立も丸々1粒。他にもアサリ、イカゲソ、むき海老がゴロゴロと。
具材の帆立や海老はよく煮込まれているため食感がプリプリとまではいかないが、スープカレーによく合い存在感を放っている。
レトルトカレーとして考えればトップクラスに豪華な仕様。
サラリとしたスープカレーで、味は意外とおとなしめ。具体的には辛さが控えめ、味も控えめ。
スープカレーとしてはスパイスも抑えめなので、珍しい。海老のパンチは凄いが、食べ進めるとそこまでゴリゴリに主張が激しいわけでもなく調和が取れている。
なお、海老の味わいも然ることながら、野菜の甘みも多く溶けだしている。
そのため、通常のカレーと比べてしまうと若干味が薄く感じるかも知れない。
湯煎が終わった後にある程度煮詰めたり、バランスが崩れないように味を調える事で解決する。スープとして考えれば適度な味だが、カレーとして考えると味の濃淡に面食らうかも知れない。
1袋500gも入っているので、1人で食べるにはちょっと多め。しかし食べきれない量では無い。
2人でシェアするのも良い。
夏にもおいしいカレー。こんな形でカレーを食べてみるのも良いと思う。
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*1:一番高価なのは、宗谷黒牛100%のハンバーグをあしらった「おくしばーぐスープカレー」