ねこらぼ( 'ω')

名古屋でこそこそと活動っぽいことをしている橋本ねこのブログ( 'ω')

何かと話題の"シャインマスカット"を探る

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最近やたらシャインマスカットの話を聞く。

季節ごとに訪れる果物の旬。その時期に旬の果物の話が流れてくるのはよくある話だけど、シャインマスカットは品種の名前である。品種の名前そのものでブームになるのは、あまり多くは無い事例だ。

 

そういえばシャインマスカットが何なのかはあまり良く知らない。

色々調べると色々と見えてきた。

 

シャインマスカットとは何なのか

シャインマスカットとはブドウの栽培品種のひとつである。

専門的にはヴィニフェラ系*1交雑種に数えられ、日本で生まれた品種として知られる。

歴史

シャインマスカットは広島で涙ぐましい努力により生まれたブドウであり、歴史としては比較的浅く新しい品種であると言える。

 

それまでのマスカットといえば大半がマスカット・オブ・アレキサンドリアだった。もうマスカット=マスカット・オブ・アレキサンドリアを指していたほど。そのせいでマスカット=白ブドウというイメージも定着している。

 

マスカット・オブ・アレキサンドリアは香り・味わい・甘みとどれを取っても優れていたが、日本の気候にはあまり向いていなかった。

乾燥した気候であるヨーロッパが原産のブドウ品種の多くは雨に弱く、日本で栽培すると実が割れたり病気になりがちだった。日本の気候で栽培するにはガラスの温室で覆って栽培せねばならなかった。

これらの弱点を克服するために、品種改良を行うことになった。

 

シャインマスカットの黎明

品種改良を重ね、虫害に強いアメリカ産ブドウであるスチューベンとの交配を行った。これが1973年に誕生したブドウ安芸津21号と呼ばれる品種だ。

おおむね改善は見られマスカット・オブ・アレキサンドリアに似た品種となったが、香り等の面でまだまだ課題の残る品種となった。

 

「病気に強い」「実が割れない」というのは栽培のしやすさの話であり、生産者向けの話である。

これらとともに「味」「香り」「見た目」を改善していかねばならない。

 

歳月は流れ、ブドウ安芸津21号とヨーロッパ系ブドウである白南を交配させ、ブドウ安芸津23号が誕生した。

これが1988年のこと。最初の安芸津21号の誕生から15年が経っていた。

 

様々なパターンの個体を交配し、その中から選抜された個体こそが「シャインマスカット」である。この個体数、実に115種もあったそう。

絞られたファイナリスト115種の中から3年を掛けて選抜されたシャインマスカット。まさにミスiDグランプリのような競争率だ。

 

シャインマスカットの誕生

安芸津23号の中から選抜されてシャインマスカットとなった品種は、2003年にぶどう農林21号として命名登録、2006年に品種登録を終え、晴れてデビューを迎えた。

最初の交配から30年が経っていた。

 

祖父母にマスカット・オブ・アレキサンドリアとスチューベンを持ち、親には白南を持つ品種、それがシャインマスカットである。

 

特長

シャインマスカットは生産者にとっても消費者にとっても優れている品種である。

病気にもある程度強く、日本の気候でも耐えうる品種。なおかつ実は綺麗で味・甘さ・香りも申し分無い。

ヨーロッパ系ブドウの香り・味の良さ、そしてアメリカ系ブドウの耐病性をある程度保持している。

さらに、寒さにも比較的強い上に、日本特有の湿度や夏の猛暑にも強い。

 

また、皮ごと食べる事が出来る上、種無し処理も可能な品種である点も人気の理由である。

 

産地

広島県東広島市の安芸津町生まれだが、今では国内のあらゆる地域で栽培されている。

 

余談だが、品種登録を行った当初には輸出をする予定が無かったため、国外での品種登録は行われていない。申請期限切れにより、海外でシャインマスカットを栽培する際に日本の許可は不要となっている。

実際、海外で栽培して売られているシャインマスカットは日本の価格よりも安い。本来、日本が苦心して開発したので日本が輸出を行って利益を得る事が出来た部分だが、それが出来ない状態なのが何とも歯がゆい。

 

シャインマスカットを買ってみる

シャインマスカットは高級品種として知られていたが、最近では有名になり認知度も上がった事もあり一般的なスーパーでも購入可能だ。

スーパーでは2,000~4,000円程度でも購入出来る。

贈答用やデパート、専門店では5,000~9,000円程度が相場か。

名門「千疋屋」では16,200円の高級シャインマスカットを見かけた。

 

どれも同じ1房である。なぜこれだけの価格差が生まれるのか。

産地や農園による差もあるが、ここではランクづけにも注目したい。

ランク(等級)

農産物にはだいたいランクが決められる。等級区分と言われるもので、もちろんシャインマスカットにも分類がなされる。

"秀""優""良"の3ランクが基本であり、"秀"が最も秀でたものである。

 

色、味、汚れ、ハリ、形状等の項目で審査され、等級付けがされる。

"良"でも過程で普通に食べる分には充分。あまり流通しない"無印"でも加工用としては問題が無い物も多い。

見た目にもある程度こだわるならば"優"以上を。ただし値段は比例して上がる。

 

"秀"より上の分類を行う場合もある。特級、特秀、赤秀などのランクを設ける場合もある。まぁ"秀"以上ならば贈答品としても申し分無いだろう。

 

例えばこちらのシャインマスカットの高級品種のひとつ、岡山の「晴王」では等級ごとの値段にはこんな違いがある。

■晴王(500g×2):特秀品……¥7,800-
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ぶどう シャインマスカット 晴王 特秀 500g×2房 岡山県産 JAおかやま 葡萄 ブドウ
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■晴王(500g×2):赤秀品……¥6,800-
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ぶどう シャインマスカット 晴王 赤秀 500g×2房 岡山県産 JAおかやま 葡萄 ブドウ
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■晴王(500g×2):青秀品……¥5,800-
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ぶどう シャインマスカット 晴王 青秀 500g×2房 岡山県産 JAおかやま 葡萄 ブドウ
価格:5800円(税込、送料別) (2021/9/16時点)

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■晴王(500g×2):優品……¥4,800-
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ぶどう シャインマスカット 晴王 優品 500g×2房 岡山県産 JAおかやま 葡萄 ブドウ
価格:4800円(税込、送料別) (2021/9/16時点)

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それぞれの重さは全く同じで、500gのものが2房。しかし値段はランクごとに1000円ずつ異なる。

目的などを考慮しながら、バランスの良いものを選べば良い。前にも言った通り、優品でも問題無く美味しい。

 

シャインマスカットを食べてみる

予想以上に様々な品種があって迷うが、この晴王を食べてみる事にした。

晴王(はれおう)は岡山県のシャインマスカットのブランド。岡山県は他にも「煌乃(きらめきの)」というブランドもある。

 

買った等級は"青秀"。秀の中では一番下ではあるが、商品としてはほぼ最高品質と言っても良い。

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"青秀"の名の通り、青色のインクで"秀"の刻印が入る。

 

箱を開けると、大事に梱包されたシャインマスカットがお目見え。

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生産者にとっては子供みたいなものであり、大事な商品。その心遣いが伺える。

梱包を丁寧に解き、軽く水ですすぐ。特に種なしブドウ全般に言えるが、強い水流や衝撃で実が落ちてしまいやすいので注意を要する。

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皮ごと食べられるので水洗いを終えたら後は食べるだけである。

この手軽さが良い。

 

果物はどうしても皮をむいたり切ったりする必要があるところが、僕としては減点ポイントというか気乗りしない部分でもあったりする。果物の味は大好きなんだけどもね。

林檎やみかんですら億劫だったりするので、ゼリーやジュースとして摂取するのが好きである。

 

その点、シャインマスカットはそのまま食べられるので、とても敷居が低い。

 

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秀品としての粒ぞろい、ハリ、隙間の無さも素晴らしい。

キズはほとんど無く、多少の擦れがある程度だった。

 

一口頬張ればジューシーで爽やかな白ブドウらしい甘さが口いっぱいに広がる。

甘美とも言うべき味わいで、何とも満たされる。

加工品も良いけど、果物そのままをいただくのにもまた良さがある。

 

まだ暑い日が続くので、よく冷やしてからいただきたい。

しかしブドウは冷やし過ぎると甘みが感じづらくなるため、野菜室程度の温度で。

特別なひとときには、特別なブドウが良く似合う。

*1:ヨーロッパ系とも言う