伏見地下街にオープンした「お酒の美術館」。
京都に本店を構える立ち飲み形式のバーで、名古屋では2店舗目。
"立ち飲み"って聞いてしまうとどうしても簡素だったり諸々を簡略化したような構えに思えてしまうのだけど、お酒の美術館は抜かりがない。
本格的なバーテンダーとラインナップ
「お酒の美術館」とは大きく出たネーミングだな、とも感じる。しかし、まさに名が表す通り、世界の珍しいお酒や入手しづらい銘柄も置いていたりする。それこそ美術品のような価値のあるウイスキーやブランデーも普通にヒョイっと置いていたりする。まさに美術館的である。
立ち飲みだといささか簡略化されがちな部分もあるのは致し方ないが、それでも不足を感じる事の無いサービスを受ける事が出来る。
基本的にはワンコインからの価格でウイスキーやブランデーを楽しめる。ジャパニーズウイスキーも各種あり、知多などのジャパニーズウイスキーも網羅。他にもブランデーも掘り出し物がある。
リキュールも一通り揃っているようだったので、各種カクテルも対応出来そう。
バックバー(後ろのお酒を置いている棚)は整頓されているし、ボトルの並べ方にはこだわりを感じる。
バックバーっていわば自分の部屋の引き出しのようなものなので、ここを見ればある程度こだわりも見える。
適当にボトルを並べるようなバーテンダーならばきっとカクテルの処方も適当でしょうし、ここは神経質なくらいがちょうど良い。普段はちゃんとしているのに忙しい時に雑な並べ方になるのならば、それがそのまま忙しい時のドリンクの作り方にも影響するだろう。
実際に行ってみた
場所は伏見地下街。最近リニューアルした「ヨリマチFUSHIMI」とは別の場所なので注意。
伏見地下街は1957年に完成し、オープン。やばい60年以上前じゃん。
東山線の栄・本山・藤が丘方面行きのホーム側の改札から直結している。東山線の名古屋駅・高畑方面行きのホームや鶴舞線からは直接行く事が出来ないのでお気を付けくださいませ。
もちろん地上から階段を降りて地下街へと入る事も可能。
ノスタルジックな雰囲気が漂う地下街。夜中とか怖そう。
こちらの地下街、当時は繊維問屋だらけだったらしいけども、現在は居酒屋が多い。ところどころに古くからやっていそうなお店も散見される。
下町のような人情が溢れていそうな居酒屋、鉄板焼き、立ち食い寿司…この地下街には地下街の暮らしがある――って感じ。商業施設としての一体感も感じた。
そんな地下街の、割と改札口寄りのあたりに昨日オープンしたのが「お酒の美術館 伏見地下街店」。
実は伏見には地上に既に名古屋1店舗目が進出済みで、こちらは名古屋2店舗目となる。
店舗は狭め。テーブルも2つほど出てはいるが、あとはカウンターで譲り合いながら…というスタイル。
立ち飲みの特徴は、カウンターの収容人数が不定な事。詰めればどれだけでも入れるもの。僕が行ったときには満員と言っても良い状態だったけども、カウンターにスペースをいただいて入る事が出来た。
お酒をいただく
オープン記念の100円ハイボール
ニューオープン記念という事で、指定の3日間のみサントリー・リザーブのハイボールが1杯100円でいただける。2杯目からは通常料金となるが、話題性は抜群。オーダー率はほぼ100%。
サントリー・リザーブは正確にはサントリーウイスキー・スペシャルリザーブ。良いお酒なのですが、一般的な居酒屋では角やニッカ系に比べてコスパが微妙で、かと言ってバーで扱うと他のもっと高いお酒へと票が流れてしまうかわいそうなお酒…だと勝手に思ってます。おいしいのに…。
おかげでサントリーのウイスキーの中でもなかなかお目に掛かれなかったりします。
そんなリザーブを使ったハイボールが100円。早速オーダー。
手際のよいバーテンの仕事により、ほどなくして到着。写真を撮る前に少し飲んでしまったけども、もう少し量は入っておりました。
みずみずしい味わいと香りで、林檎っぽいフルーツ感があります。それこそサントリー系列ならば白州にも近い。
ウィルキンソンの炭酸とも相性が良い。これに慣れちゃうと安いハイボールが飲めなくなってしまいそう…。
味の変化が分かりやすく、最初の爽やかめな印象からだんだんと林檎を感じ、最後にはちょっとビターめな香りとスモーク感が顔を出します。ハイボールだとかなりカドの取れた味わいだけども、ストレートで飲むと割とスモーキーな印象に変わるのかも。
こちらのハイボールが100円なのは3日間限定。オープン初日と本日と、残りのチャンスは2/10(月)のみ。日曜日は休みなので注意。
おすすめから抜粋して、いただく
本日のおすすめを記載した黒板にはウイスキーとブランデーの銘柄が一つずつピックアップ。ちょっとしたおつまみも。
この日のおすすめのウイスキーは「VICTORIA CLUB」、ブランデーは「D'ANGLAR」。
ヴィクトリアクラブは知らない銘柄だったんだけど、原料にカラメルを使った珍しいタイプのスコッチ・ウイスキーだとのこと。
ダングラーはナポレオンランクの付いたブランデー。ブランデーの銘柄に注目すると「ナポレオン」を冠した名前を見かけたりするのだけど、これは実はランク名にあたるもの。社名にあらず。
1つ星→2つ星→3つ星→V.O.(very old)→V.S.O.(very superior old)→V.S.O.P.(~pale)→V.V.S.O.P.(very very~)→ナポレオン、XO、エクストラ…という熟成年数をベースに評価した格付けがあり、ナポレオンはトップクラスのランクとなっている。
一口にナポレオンといっても各社でまた基準があるし、ナポレオン同士を比較しても差が結構ある。1つの指標として使うのが良い。
そんなダングラーをいただく。
ダングラーはブランデー内の分類としてはコニャックにあたる。
詳しい説明は各自調べてもらうとして、まぁ簡単に言えばパスタの中でスパゲッティと呼ばれるもの、って感じ。コニャックのナポレオンなんで、まぁめっちゃいいレアなスパゲッティだと思ってくれれば良い。
ストレートにて。グラスの中で琥珀色に輝く。
香りはきつくない。まろやか。アルコールのグッと来る強さは無く、飲む前から既に円熟味を感じる。
一口飲んでみるとスムースな舌触りで、ゆったりと広がる。
加水したりロックにするとまたちょっとずつ違う表情を見せてくるのかもしれない。
しかしストレートは正解だったようにも思う。若いコニャックは割ったりするのに向いてるけど、この芳醇な香りはそのまま味わいたい。
ヴィクトリアクラブも気になりまくったけども、今日はここまで。
お酒に合うおつまみも
横の方にポテチをいただいてしまいました。
「食べきれないのでどうぞ」と言われて…いやほとんど残ってるじゃん…イケメンかよ…。
こちらは自家製燻製ポテトチップス。強すぎない適度な燻製の香り。桜のチップではなさそう。何の木材で燻してるのか気になる。これで桜だったら恥ずかしい。
写真に写り込む、お隣の方のチョコレートもおいしそうだった。特級ウイスキーが入ってる自家製らしい。
あとはチーズの盛り合わせも。こちらも言わずもがなウイスキーやブランデーにぴったり。
バーの楽しみ方
バーに一人で行くと、横の方と話したりする機会もあったりなかったり。
特にこういう立ち飲み形式だとスペースの譲り合いの関係で一言は必ず交わすじゃない?そこから生まれるコミュニケーションもありますよね。それもまた楽しい。
バーテンダーと話すのも楽しい。まず、お酒に詳しいので色々なウンチクを聞くと良い。知ったかぶりをするよりも丸投げをしてしまった方が良いケースが多い。
他愛も無い話をするのも楽しい。バーテンダーは色々な人と喋る事により情報を蓄積している。そのアウトプットがまた面白い。そしてその会話もまたバーテンダーのインプットとなる。
もちろん一人でしっとりと飲むのも良い。
時間を気にせず、色々な物事から解放されて、ただゆったりとお酒を楽しむ――最高な贅沢だと思う。
自分だけのペースで、自分と対話するように。
こんな感じで、自分を豊かにするような飲み方が楽しめる場だと思ってる。
わいわいがやがやと飲むお酒も良いけども、こういう楽しみ方にも興味が出てきたらぜひともバーへ。
そして立ち飲みにハマりだすと、いつしか通ってしまうのです。。。
お酒の美術館はこの伏見地下街と伏見駅を出て徒歩1分くらいのところにももう一つあるので、伏見へご用の際にはサクサクっと立ち寄ってみては。
チャージも無いので、本当に手軽に引っ掛けるのに向いております。
あとね…普通に市場に出ていないようなレアものを全然普通に出してきたりシレっとメニューに載せてたりしてるので面食らってしまいます…今日紹介したお酒たちも他のお店だったらもっとレアアピールしてるんだけどなぁ…。きっと過度なアピールはしない方針なのかも。掘り出し物がゴロゴロあります。
ショップデータ
お酒の美術館 伏見地下街店
営業時間
15:00~23:00
定休日
日曜日、祝日
住所
愛知県名古屋市中区錦2-13-24 伏見地下街内
メニュー(抜粋)
ウイスキー、ブランデー各種…500円~
自家製燻製チップス…300円
チーズ盛り合わせ…900円
※チャージ無し
※本記事の内容は2020年2月現在のものです。