ローソンで高価格帯のパスタシリーズが発売。さらに今後も毎月新たなラインナップが出続けるらしい。
「気軽に専門店のような本格的なパスタを」というコンセプトもあるようで、現在ラインナップされている2種類のパスタはどちらも税込み550円。コンビニとしてはかなり強気の価格設定だ。
せっかくなので「どうせコンビニだし…」とは思わずにしっかりと味わってみようと思う。ガチ。
買ってみる
買ったのは「ボロ!ボロ!ボロネーゼ!角切り牛肉の生パスタ フェットチーネ」。
ボロネーゼはいわゆる挽肉のソースで、ミートソースの仲間みたいなもの。ミートソースはトマトを主体としていて、ボロネーゼは赤ワインや香味野菜で整えるという点で異なる。
ボロネーゼの発祥
ボロネーゼはイタリアのボローニャ地方で生まれた料理。
ボローニャはイタリア北部に位置する。地理的な特性上、海に囲まれている南部に比べると山で採れる物を使った料理が多い。
そして、隣国であるフランスの"ラグ―ソース*1"を取り入れ、生まれたソースがボロネーゼだ。
ボロネーゼの特徴
ボロネーゼとミートソースの違いは前述の通り。簡単に言ってしまえばボロネーゼの方が大人が好む味わいである。
その特徴は挽肉にフォーカスされがちだが、実は香味野菜が重要。野菜のみじん切りをオリーブオイルで炒め、旨み・甘みを引き出す事により味わいに奥行きが出る。この香味野菜を炒めたものをソフリットと言ったりする。
なお、使用する野菜の種類は問わない。サイゼリアの鶏肉に乗ってたりするディアボラソースもソフリットの一種と言える。
ボロネーゼにはたまねぎ・セロリ・にんじんが同量の比率で使われる事が多い。
ソフリットを挽肉と合わせたあとに赤ワインで煮込んでいくのだけど、トマトも使用する。トマトは加熱しておくと甘さが全く違う。拘るならばオーブンでしっかりと焼いたものを使用したい。
ボロネーゼはこれらの下処理の手間暇の結晶ともいえる。まともにやったら3時間くらいかかる。
「そうだ、ボロネーゼ食べたいな」と思ってから作ろうとしても全く完成しないのである。
ボロネーゼ=パスタではない
ボロネーゼはパスタとしての料理名ではなくソースそのものを指す。
これを使ってラザニアにしたり他の料理の具材にしたりもする。都度作るというよりは常備しておくものという印象。
なお、ボロネーゼをパスタと合わせる時は、タリアテッレ(Tagliatelle)を使う事が多い。
タリアテッレはボロネーゼ同様イタリア北部生まれのパスタで幅広麺である。いわゆる"きしめん"のような麺。
イタリア北部以外――中南部ではこれをフェットチーネ(Fettuccine)と呼ぶ。ただし、タリアテッレとフェットチーネは厳密には幅や厚みが違うため、全く同じものでは無い。
食べてみる
――というわけで、まず「なぜタリアテッレじゃなくフェットチーネという名称にしたのか」というツッコミから始まる。
個人的にはタリアテッレの方がトラディショナルで本格的だなと感じるのだけど、そこを敢えてフェットチーネにしたのには何かしらの意図があるのでしょう。多分。
レンジで温めてから頂く。
ソースは良い色。しっかりとしたブラウンカラーで、ソースには名前の通りゴロゴロと角切りの牛肉が見える。
生パスタという事なんだけど、レンジで温めるとどうしてもモチモチ感が損なわれる。水分が飛んでしまうというか。弾力はあるけどもね。
これはコンビニのチルド麺全般に言えるけども、さすがにまだお店でいただく麺の食感や香りには追い付かない。逆に追い付いてしまったらお店もピンチだけど、ここ数年間で見てもチルド麺の進歩は凄まじいから数年後が楽しみ。いつかもっとリアルになる。
肝心のソース。おいしい。おいしいけども、まだまだ物足りなさは感じる。
ソフリットの味がもうちょっと活きると広がりが感じられるかな、という。説明によるとデュクセルソース*2を使っているらしい。
確かにキノコ感はあったけど、もっと香草が出てきてくると複雑な旨みになって僕は好み。まだまだ味の奥行きは追求できそう。
ソースにも挽肉がチラホラ見えるけども、それとは別に角切りの牛肉がトッピングされている。ちょっと筋っぽいが、このミチミチ感が却って功を奏している。あんまりジューシーさは残っていないけども、良いアクセント。
ソース上のチーズは気持ち程度の風味だけど、彩りとして一役買っている。
まとめ
「おいしい」とは充分に思える味。今後にも期待。
個人的には、もっと贅沢な攻めをして700円くらいにしちゃうか、もしくは300円台くらいで抑えてもらった方が客層的にマッチするような気がした。