肉が食べたい。
無性に肉が食べたい時があるだろう。それが今だ。
本日用意したのはニュージーランド産グラスフェッドビーフのヒレ肉。
僕の愛用する肉ストアのひとつ「ミートガイ」にて調達した。
楽天の中にもショップがあるのでそちらのリンクもどうぞ。
このお肉について
先ほども紹介したとおり、今回のお肉はニュージーランド産グラスフェッドビーフのヒレ肉。250gのサイズにした。1/2ポンド(227g)強のサイズだ。
グラスフェッド
「グラス(grass=草)」「フェッド(fed=肥育された)」の通り、牧草飼育牛を指す。
広い牧草地でのびのびと草を食んでいる牛を想像してもらえれば分かりやすい。
対してグレインフェッドは穀物を与えている牛のこと。食事管理がしやすく、狙った肉質に出来る。グラスフェッドの方が自然派ではあるが、どちらも風味・味わい・肉質に差があるため、好き好きである。
一部では「グラスフェッドの方が優れている」という論調もあるが、決してそんな単純なものでも無い。
2年前にもそんな話をしていたので、掲載しておく。
ヒレ肉
赤身の代表的部位であるヒレ肉は、「肉を喰らう感」が凄く満たされるのでオススメだ。
牛肉の中でも希少部位のため、他の部位よりもちょっとお値段は高くなる。しかし、たまの贅沢として悪くないチョイスだ。
脂身が非常に少なく、柔らかい肉質のため、サシが重宝されない外国では大人気である。
日本でもヘルシーな方々には人気で、一定の知名度のある赤身肉だ。
なお、選りすぐりの中心部はシャトーブリアンと呼ばれ、さらに高値で取引されている。
お値段
今回買った物は250gのサイズ。ステーキカットではなくメダリオンカットと呼ばれる、いわゆる立方体に近い岩のようなカットだ。
3,290円~3,620円程度で購入できるが、時期によってはセールをやっていたりするので要チェック。100gあたり1,316円程度なので、やはりちょっと高い。
ただ、専門店で食べる事を考えると全然安くつく。外食で食べるとなると、だいたい5,000円~7,000円くらいの値になるだろう。
付け合わせを用意する
まずは付け合わせを選定する。
差し色的に、赤色、黄色、緑色があれば映えるだろう。それぞれの色を補充するように選ぶと失敗が無い。
今回はステーキの良き友である人参、そして旬である法蓮草にお越しいただいた。
慣れてきたら付け合わせとステーキは同時進行していき、どちらも出来立てが食べられるのが理想ではある。
しかし実際は難しいため、付け合わせの温かさを犠牲にしてしまう方が良い。
また、ステーキのベストパートナーであるライスの準備も進めておく。
以前と同じく土鍋にて拵える。浸水60分、中火8分で沸騰、弱火12分、蒸らし10分で作成。前回と同じく硬めの炊き加減を狙う。
まぁパンでも良いが、白飯を掻っ込むのも中々にオツというものだ。これは好みで。
人参
人参はグラッセにする。ステーキと言えばグラッセ。
今回は輪切りで作成する。ころころとしたオリーブ剥き(シャトー切り)にするのがポピュラーだが、今日は輪切りの気分だった。
皮を軽く剥き、頭とお尻を落とし、良い感じに輪切りにする。
切ったら面取りをする。角を削ぐようにしていく事で、荷崩れしづらくなる。面倒だけど行った方が良い。
端切れは玉ねぎなんかの香味野菜と煮込んでソースにするのも良い。
切り終えたら小鍋に人参を移し、人参が全部隠れるくらいの水を入れる。
人参1本に対して、バター1枚、砂糖を大匙1。あとは火にかける。
沸騰してきたら弱火にチェンジ、20分くらい煮て、竹串を通すときにちょっと抵抗感があるくらいで頃合い。ただしもっとふんにゃりとした感じが良ければ30分くらい煮込む。その場合は水がカラカラにならないように注意。
水が減ってきたら一気に火を強めて水分を飛ばす。
バター・砂糖という焦げやすい成分が入っているため、焦がさないように人参を煮汁に絡めて照りを出していく。絶対焦がすなよ。
水分は飛ばしきらなくても良い。焦げるくらいなら煮汁が少し残った状態で終わらせた方が良い。というわけで完成。時間はかかるが楽でおいしい。
法蓮草
スーパーで旬の法蓮草が安かったので採用された付け合わせ。
今回はササっとソテーにて。
まずは水洗い。法蓮草って結構虫にとってもおいしい植物でね。
一株丸ごとを洗うのも大変なので、ペキペキと分解する。どうせ今回は最終的に切るし。
葉っぱ一枚一枚を丁寧に洗い、水気を軽く切る。
その後、葉と茎に分ける。葉と茎の境目で切っていくイメージだ。
今回は贅沢にも葉の部分だけを使い、食感を統一させる。茎が入るとどうしてもシャクシャクしてしまう。
茎ももちろん食べれるので、他の料理に使うとする。
葉だけにしたらもう一度水洗い。これが最後の水洗いだ。入念に行う。
その後、キッチンペーパーなどで水気を切る。
葉の大きさにもよるが、葉をだいたい3等分程度にして長さを揃える。口の中に入ったときの食感が整うので、なるべく同じ長さになるのが良い。
切り終えたらキッチンペーパーなどに乗せて、さらに水気を取り除いておく。
そしたらこれらをソテーにする。
サラダ油、ニンニク、鷹の爪を入れて、ちょっと泡が出るくらいに炒める。
良い感じに盛り上がってきたらバターを入れ、やや溶けてきたら法蓮草を入れる。この時、水気が残っていると油が暴れるので注意。
強火にし、溶けつつあるバターと法蓮草を一気に絡める。
バターが完全にいなくなったら中火に落とし、法蓮草がしんなりしたら弱火に落とす。ここで塩胡椒、少量の醤油。フワッと良い香りがする。
ここでもう火を切り、余熱で全体を馴染ませたら完成。
焦げ付きは厳禁、スピード勝負だ。
法蓮草はすぐに火が入るので、しんなり感を見極めるのが重要。オーバーキルしないように。
拘るなら、完成したソテーをザルなどに上げて余分な水分・油分を切ってしまう。このひと手間により、皿の上に盛り付けたときにグチャっとなるのを防ぐ。
肉を焼く
それではいよいよメインディッシュ。
前日から解凍しておいたヒレ肉。良い感じである。
こちらを室温で30分ほど馴染ませる。肉の中心が冷たいまま焼いてしまうと生焼けになってしまう。
解凍は冷蔵庫、焼く前には冷蔵庫から室温へ、という感じ。
良い感じに室温に馴染んだら、ここで下味を付ける。
岩塩、黒胡椒だけでも十分。今回は適当にハーブとスパイスを散らして何となく肉の臭み消しのような事をしておく。ローズマリーがあれば最高。
下味を付けたらフライパンの準備へ。
ここからは手際の良さが重要となる。
最近買った鉄のフライパンを用意。まだ馴染んでいないが、ちょっとずつこのフライパンも使用頻度を上げて育てていきたいと思っている。
フライパンに牛脂を入れたら熱する。ちょっと煙が上がるくらいにしておく。
テフロン加工でも結構熱して大丈夫。
フロアが温まったらいざ、テイク・オフ。
(テイク・オフ…?)
普通のステーキは表○○分、裏○○分と進めるが、今回はメダリオンカット。縦にも横にも大きく厚みもある立体だ。
なので、表裏の2面ではなく、6つの面を焼いていくイメージを持つ。
今回の焼き加減は「レア」を狙って仕上げていく。
そのため、火入れは表裏それぞれ3分、左右の面をそれぞれ2分、上下の面をそれぞれ1分半、計13分で戦う。薄いお肉ならウェルダンになってしまいそうなほどの火入れ時間だが、これだけデカいと大丈夫。
火力はずっと弱火にしておく。とろ火まではいかないが、中火か弱火かと言われれば「これは弱火です」って答えてしまうくらいの強さにしておく。
まずは表裏を3分ずつ。良い焼き色だ。
面を変えるごとに油が飛び散る。多少の犠牲は付きものだから仕方ない。
我慢できなければゴム手袋などを付けて焼くと良い。
安定しない面を焼くときはこんな感じで支えて差し上げる。
焼き加減が不安ならば温度計を使うと失敗が減るが、音を聞き、色を見て、肉の変化を感じていく方が様々な肉の形に応用が利く。
とはいえ、慣れない鉄フライパンのため、うまく肉のメッセージを聞き取ることが出来ているのかは微妙なラインだ。
焼き上げたら、アルミホイルに包んで休ませる。よく頑張った、休んでくれ。
こうすることで、余熱で良い感じに火が入る。この工程は効果が見えにくいが重要。
焼き上げてすぐに切ると、肉汁がジュワッと出てくる。肉汁が出てくるということは旨みが逃げているとほぼ同義。これを閉じ込める意味合いもある。
待つこと10分。ようやく完成だ。
ソースを作る
ソースはさっきまで肉を焼いていたフライパンを使用する。残っている肉の旨みを利用してソースを作るわけだが、あまりに残った油が多ければサッと拭き取る。
フライパンに赤ワイン、バルサミコ酢を入れて加熱。量は1:1か気持ちバルサミコ酢を少なめに。煮詰まるので目指すソースの量よりも多めでスタンバイ。
フライパンに残った肉のうまみを溶かすようにフライパンを回し、赤ワインのアルコールを飛ばしていき、アルコール臭がしなくなったら醤油で整えて完成。
バターを入れても良いが、今回はもう付け合わせがバターバターし過ぎているのでやめた。全部バターになってしまう。
甘めが良ければ砂糖もどうぞ。バターでも事足りる。この辺は好みに合わせてどうぞ。割と適当に作ってもどうにかなる。
焦がさないように煮詰めたら完成だ。
盛り付ける
あとは付け合わせとお肉を盛り付けたら完成。
お米も平皿に盛り付け、ワインを注いで、いざ実食へと洒落込もう。
肉は狙い通りのレア。グラデーションにならず、しっかりと焼いた部分と赤身が分かれている。
もうちょっと火入れをしても香ばしさを楽しめたかな、とは思う。やっぱり鉄フライパンは難しい。楽しいけど。
あとがき
しかしびっくりするくらい米とワインが進む。
胃袋だけではなく、心にも栄養が行き渡るようだ。
米も炊いて、付け合わせも用意して、肉を焼いて、食べる。
時間と手間暇は相応に要したが、それに見合う満足感・充足感が得られる。
たまには自分へのご褒美として、お肉、どうですか。
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