ねこらぼ( 'ω')

名古屋でこそこそと活動っぽいことをしている橋本ねこのブログ( 'ω')

LUSHのSP(セルフプリザービング)とは何物なのか

LUSHで最近増えつつあるのが、SP処方の商品。

これはセルフプリザービングというものだ。自己(self)保全(preserving)とでも言おうか。
これだけじゃ説明になっていないと思われるので、もう少し深堀りする。

 

あらまし

そもそもLUSHはナチュラルコスメブランドを謳い、自然派の商品を開発している会社である。

とはいえ、合成保存料、着色料、化学的な洗浄料が全くゼロというわけではない。
例えば、自然由来の原料を石鹸として成立させるためには化学成分は必要だし、自然由来の原料だけでは洗浄成分が不足してしまうこともある。せっかくナチュラルな石鹸を使っても洗浄力が無ければ、それは本末転倒である。

 

このジレンマにLUSHは長年立ち向かってきたと思われる。
一部の無駄に声の大きい熱心な方々から「全然自然派じゃないじゃん!」と言われたり。この線引きってすごい難しいよね。

まぁあとは自然派だから体にいいとも限らない。保存料が無ければフレッシュな原材料を用いたコスメなんて即効で腐敗する。自然派だからって、例えば「冷蔵庫で保管して、2日以内に使い切ってください!」っていうのも製品として厳しい。

 

セルフプリザービング処方の誕生

2022年夏。セルフプリザービング処方の保湿クリームとクレンジングが発売された。
ここで初めてセルフプリザービングという概念が出てきた。

これらセルフプリザービングの製品は全く新しい製品としてではなく、今までも発売していた製品のSPバージョンとしての取り扱いとなる。
例えば既存の「セレスティアル」という保湿クリームのSPバージョンとなる「セレスティアル SP」が出た、という具合。

セルフプリザービング処方の概念

合成保存料を減らすならば、他の手段で何とかせねばならない。

自然由来で保存性の高い物質を活用したり、微生物が増えるのを防ぐために水分量を減らしたり。

かといって水分量を極限まで減らすと、それは保湿クリームというより油処理剤で固めた油のような感じになってしまうだろう。そうじゃない。

このバランス調整はちょっと考えただけでも容易ではないと分かる。LUSHの執念のようなものすら感じる。

具体的な違い

原材料の違い

例えばLUSHの「パワーマスク」と「パワーマスク SP」の違いは、保存性が高いと言われるハチミツの配合量。SPの方がハチミツが多く、より濃厚なテクスチャーとなっている。

「スキンドリンク」や「セレスティアル」等の保湿クリームは、メチルパラベンプロピルパラベン等の保存料を使っていない。代わりに自然由来のオイル等を配合することで保存性を高めている。

使用感と効果の違い

オリジナル版とSPでは原材料が違うので、もちろん使用感や効果も異なる。「SPじゃない方が好き」という昔からの根強い愛好家も少なくない。

ただし、LUSHの方針としては、どんどんSPへ移行していくようだ。オリジナル版は店頭では売り切れ次第SPのみの取り扱いに切り替えとなり、オンラインショップ限定品となる。

 

フェイス&ボディマスク「パワーマスク SP」

こちらが噂のセルフプリザービング処方となったパワーマスク SP
LUSHのロングセラー商品である商品のSP化ということで、結構大胆な改革だったと思われる。
しかも、2024年6月のプレスリリースで、オリジナル版は各店舗で売り切れ次第終売するとの告知があった。オンラインではしばらくオリジナル版も買えるようだが、いよいよ完全移行の流れだ。

パワーマスクとは

このパワーマスクはミントの香るスクラブ入りマスク。フェイスにも使えるが、やや刺激が強いため敏感肌の人には向かなさそう。基本ボディ向けだと思っている。

スクラブは小豆を砕いたものだが、意外と固い部分もあるのでこすり過ぎに注意。

 

使い方

まずは塗り広げていき、そのまま10分~15分程放置して、マッサージしながらすすぎ流すという使い方をする。

10分も待てるか!というせっかちな江戸っ子は、スクラブ洗浄料として使うのも良いと思う。

スクラブとマスクの良いとこ取り、って感じ。

 

成分

普通は水が一番最初に来るようなものだが、なんとハチミツが最初。SP処方になり、さらに配合量が増している。抗菌・殺菌・保湿性・保存性の効果を持つ優れた成分。

クレイ、鉱物など

カオリンはいわゆる粘土。泥パック等でお馴染み。ターンオーバー促進による血行促進を狙える。皮脂吸着効果も。

タルクは細かいケイ酸マグネシウムの粉。パウダーとして化粧品等に使われる。

ヘクトライトという火山灰に含まれる粘土も使われている。粘り気があり、水と混ぜるとジェルのようになる特性がある。

この辺の粘土質の成分を加えることで、マスクとしての役割と機能を発揮している。

スクラブ成分

小豆、メマツヨイグサ(月見草)種子がスクラブ成分として配合されている。
これらが古い角質のピーリングを行う。

エッセンシャルオイル・エキスなど

セイヨウハッカ油、いわゆるペパーミント油が入っている。パワーマスクと言えばペパーミントの香り。言うまでもなく清涼感のある香りが特徴。
SPになってハチミツが増えたせいか、清涼感は穏やかになったような…?

シオザキソウ花油と言われると何のことか分かんないが、マリーゴールドの近縁種であるこの花から採れるオイルには心を穏やかに落ち着けるような爽やかな香りがある。

バニラ果実エキスはバニラビーンズから採れる濃厚な甘いエキス。重量比で考えると高価なエキスであり、LUSHではウガンダ西部の上質なバニラ果実を使っているらしい。

アルファルファ*1から抽出しているクロロフィリンと銅の複合体。独特で鮮やかな緑色をしており、パワーマスクのこの色付けにも使われている。

使ってみる

初見の人が蓋を開けるとびっくりするのが、何とも形容しがたいこの色。

 

SPになってテクスチャーのコッテリ感は出ている気がする。ハチミツ効果か。

やはり清涼感は抑えられている。けど、これくらいで十分。前が強すぎる気がする。このSPなら確かにフェイスにも良いかも、と思える。

クラブは結構ゴリゴリとしているので、力を入れると痛い。優しく撫でるように。ひじ、かかとなんかが良さそう。

 

香りはチョコミントとか言われたりするけど、チョコ要素はあるような無いような、スクラブがカカオニブみたいだからだんだんチョコっぽく感じられてこなくもないような、という感じ。
グルマン系の香りではある。洗い流せば後残りはしない。

 

個人的にはセルフプリザービングの流れは肯定派(というか「まぁ、LUSHのしたいようにしてもらえれば良いのでは」って感じ)なのだけど、賛否両論あるようで。

実際使ってみると確かに使用感は違う。好みも分かれるんだろうなぁと思う。

皆様どうでしょうか?

*1:ムラサキウマゴヤシという多年草の植物。サラダやスープに入れて食べられる。