ねこらぼ( 'ω')

名古屋でこそこそと活動っぽいことをしている橋本ねこのブログ( 'ω')

【名古屋市天白区①】平針界隈を歩く

2021年3月某日。

コートの前をギュッと締め、寒さに震えながら歩く季節は去った。

冬から春への移り変わりの兆しを感じる事も増え、まさに三寒四温という言葉がふさわしい季節だ。

 

三寒四温とは、「寒い日が三日続いたら暖かい日が四日続き、それを交互に繰り返すような気候」の事を指す。

寒い日に比べて暖かい日の方が1日多いため春へ向かう季節で使いがちな言葉だが、元は冬に使われる言葉だった。今ではこれくらいの時期に使われたりする言葉である。

 

この日はちょうど"四温"の方。"三寒"の日じゃなくて良かった。

 

 

新カテゴリー「ねこさんぽ」

これは橋本ねこが適当に散歩をする企画である。いわゆる「街ぶら」の類いだが、旅人の偏向が強い。

まず、名古屋市内しかやる予定は無い。絶対市外はやらない、とは言い切らないけども。都市部もやりたくない。思うように写真も撮れないし、人混みも好きではない。

 

選出される地域は思い付きと手軽さ。どれほどこの企画が続くかは未知数だけど、数回分が溜まれば何となく僕がぶらぶらと寄りがちなスポットも分かってくると思う。

とりあえず、手軽な所としては所縁のある天白区、もしくはその界隈が多くなる。

 

"平針"界隈を歩く

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概要

平針(ひらばり)。

名古屋市天白区の地名であり、名古屋市民としては「平針」といえば「運転免許試験場のある田舎」である。田舎とは言っても田畑が広がる感じの田舎ではなく、「住宅地しかないじゃん」と言われてしまうタイプの田舎である。

 

地下鉄は鶴舞線が通る。そのまま東へ移動すると間もなく日進市へ。天白区の中でも東端に位置する。

 

平針の地名は、平墾(ひらはり)が訛ったものとされる。平墾は「平らな開墾された土地」を意味する。

 

そんな平針の街を中心にぶらぶらと歩く。

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①針名神社

まずはこの地の由緒ある神社へ。

今年は密を避けるため初詣にも行っていなかったし、ちょうど良い機会。

文献の残る限りでは1000年以上の歴史があるそう。広さは12,000坪もあり、実は名古屋市内でも有数の広さを誇る神社でもある。

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地下鉄の平針駅周辺は県道が貫き、ある程度の賑わいもあった。

しかし神社方面へと向かうにつれ、どんどん車通りが減ってくる。

 

そして神社へ近付くと至る所へ案内表示もある。

地図を見る限りでは住宅地の奥にあるようだ。

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案内されるがまま道を歩くと、ついには車道両端の歩道すらも消える。
完全なる住宅街だ。

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更に進むと、ついに敷地と鳥居が見えてくる。

針名神社に到着である。

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針名神社の針は平針の針かと思ったが、主祭神である「尾治針名根連命」が由来だった。

むしろこの地が平墾から平針へ転じたのは、この針から文字を取ったかもしれない説すらが出てきた。

 

 

一礼し鳥居をくぐると、一段階温度が下がるような感覚。

周囲を木に囲まれていて日差しが遮られるせいなのだけど、なんかそれだけではないような厳かな雰囲気を纏う。

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鳥のさえずりもよく聞こえる。バードウォッチャーには野鳥観察スポットとしても知れているようだ。

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ヒヨドリさん。

コンコン、とリズミカルに木をノックする音も聞こえたので、コゲラも居たかも。

集中して鳥を探すと時間がどんどん溶けていくのでこの辺で。

 

 

境内を進むと手水舎が現れる。

本堂に進む前に参拝者が手水を使う場所――つまり手を洗ったり口をすすいだりして清めるための場所。たまに素通りする人もいるけど。

最近で例えると店内入口にアルコールスプレーが置いてあるのと同じかな、と。

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なんかやたらと場違いなほどに綺麗な手水舎。

そしてまさかのセンサー感知式。

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柄杓も無かったので、よくよく考えたらコロナ対策の一環なのかも。

ただの先進モデルかと思ったら、致し方ない事情もあるのかもしれない。

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センサーが感知すると、六角形の台座の裏から水が落ちる。

なるほど、衛生的でもあるし、経済的でもあるし、未来的でもある。

 

 

境内を進むと、1300年以上の歴史を誇るご神木がある。

こちらのスギの木は名古屋市内最大の物らしい。

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ある程度の距離を取ってもカメラに映しきれないほどのサイズ感。

 

本殿に着いたので、本殿から参拝。

他の社も色々とあるのだけど、まずは本殿に挨拶をする。昨年の報告等を済ませ、周囲の社にも参拝をする。

 

「みちびきの牛」と呼ばれる牛の銅像。撫でる事で学業にまつわるご利益がある。

今年は丑年だし本来なら大賑わいとなったはずだが、件の感染症により厳戒態勢。

触る事は出来る状態だが、しっかりと対策がなされていた。

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おみくじは中吉。それくらいの幸せが、ちょうど良い。

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境内のコブクザクラ(子福桜)が綺麗だった。

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いわゆる冬桜の一種なので去年から咲いてはいたのだろうけど、やはりこれくらいの暖かくなり始めた時期が一番映える気がしている。

 

②名古屋市農業センター delaふぁーむ

平針には農業センターがある。農業を身近に感じてもらうための社会的な公共施設である。

もちろん牛やその他家畜が居る場所なのだが、そういえばこの時期には花も綺麗なはず。

 

針名神社を後にし、敷地外周をぐるりと歩く。

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車もほとんど通らない。なんかどんどん人里から離れている感がある。

 

そして神社周辺から抜けると再び住宅街へ。

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程なくして農業センターに到着する。まさかこんな住宅街から近い距離に存在するとは。

敷地面積8ヘクタール。いわゆる農業公園となっており、開園時間内なら自由に出入りが出来る。奥の方では農業研究や各種開発・改良等も行われ、地味に名古屋コーチンの雛の最大の生産拠点ともなっている。

 

 

まだギリギリしだれ梅まつりの時期。

しかしシーズン終盤だった上に、数日前の雨によりほぼ花は残っておらず。

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ちなみに農業センターのしだれ梅は"国内有数"と言えるレベルでの名所らしい。来年は2月末くらいに覗いておきたいところ。

 

しかし遅咲きの数種はまだ残っていて、乱れ咲くような様子は楽しめなかったが美しさは十分だった。

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梅の花が終わりを迎える頃、他の春の花々もどんどん見頃を迎える。

ボケの花はもうすぐ。咲いてる花もちらほらあった。

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敷地内の竹林にはタケノコも確認できた。

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歩道横の花壇にはユキヤナギの花が群生。

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ハナナ(花菜)――いわゆる菜の花も見頃。

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屋外の花木の他にビニールハウスもあり、中には多様な花々がある。

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農業センター敷地奥の方には牛、鶏、羊などがいる。

こちらは名古屋コーチン。

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美しい。ふっくらしてる。かわいい。

鶏は他にも様々な品種が展示。比内地鶏や薩摩地鶏、軍鶏、チャボなど。

 

更に奥に進むと鶏のヒナにお目にかかる事が出来る。

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また、今月生まれたばかりの子牛も公開されていた。まだこの世に生を受けて一週間程度だが、柵の中をぐるぐると歩いていた。逞しい。

その奥の方、立ち入れないスペースではあったが、自由に放たれている牛の姿を確認できた。

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かわいい。

 

さて、この農業センターの魅力はこれだけではない。

新鮮な牛乳や玉子等を使った食べ物を買う事が出来る。

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こちらはミルクジェラート。コーンは取り扱っておらずカップのみ。感染症対策の一環だろうか。

 

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こちらは殿様コロッケ。200円。名古屋コーチン入り、とのこと。

 

こういう類いの物産品・土産物は値段に見合わない事が多いので正直あまり期待をしていなかったが、良い意味で期待を裏切られる事となった。

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名古屋コーチンのジューシー感とミチミチとした食感が活きていて、高コスパ。近くのコンビニで売っていたら毎日買いたい。

 

③カフェ Rosa 薔薇館

農業センターは道路沿いでは無く道路の突き当りに位置し、そのまま駐車場へと貫くようなちょっと特殊な構えである。

農業センターを後にし、離れるようにそのメインストリートを歩くと現れるのが「薔薇館」だ。

文字通り薔薇をコンセプトとした、格調が感じられる佇まいのカフェである。

 

時間も丁度昼下がり。アフタヌーンティーとする。

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外観は英国のチューダー様式*1を思わせる作り。

内装もゆったりと時が流れるような雰囲気。落ち着いた色使いと繊細な調度品の数々。こちらのオーナーが相当入れ込んでいる事が分かる。

 

とはいえ、こちらはカフェ。本質も重要である。

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おしぼりがバラ色。手に色素が付かないか心配になるほど綺麗に染まっている。(もちろん手に色は付かないので大丈夫)

隅々まで薔薇のモチーフで溢れている。抜かりない。

 

こちらで頂くのは「薔薇のロイヤルミルクティー(1,275円)」。ここまで英国調が整っていると、紅茶の質にも期待が持てる。

一緒にスコーンも頂く事にした。本日のスコーンは紅茶のフレーバーとクルミの2種。

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茶器はロイヤルアルバートを思わせるようなしっかりとした物で供された。

一緒にローズマカロン、右奥のクリームも付く。クリームはお好みで紅茶へ浮かべて味わうもの、との事。バラの花びらもあしらわれている。

 

紅茶の味はスリランカ系で、中程度のコクがありつつも嫌な雑味は無い。

淹れ方も心得ているようで、芳しいアロマを楽しむ事が出来る。

 

スコーンはトラディショナルな作りで、素朴ながらもおいしい。

クロテッドクリーム、ジャムとともにいただく。

 

マカロンは視覚でも楽しめるマーブル模様。手作りだろうか、ややサクサクめの仕立てだ。ピエも綺麗に仕上がっている。

ダロワイヨ、グラモウディーズ等のしっとりめのマカロンもおいしいが、こういう焼き菓子感のあるマカロンもまたおいしい。

 

ゆったりとした時間を過ごす事が出来た。

また平針に来た折にはぜひ寄りたいカフェである。

 

④荒池

薔薇館から出た後、更に東へと進んでいく。日進市との境あたりにある大きな池が荒池だ。

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お世辞にも綺麗とは言えない水色ではあるが、魚・鳥・虫など様々な生物が確認できる。

この荒池を東端として、北西に位置する大堤池に向かって約1km強の敷地で荒池緑地が広がる。農業センターや針名神社にも隣接する。

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本道から筋道へと逸れ、西へと向かうと緑が眩しい道が伸びる。

ジョギングや犬の散歩にも良いだろう。

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そのままさらに西へと進めば荒池緑地。

ちょっとした休憩にも使えそうな、なだらかな緑地である。

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緑地を通り過ぎ、北西へと進むと山道へと突入する。

道こそしっかりとあるものの、風景の変化には驚く。

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 絶え間なく色々な音が聞こえる。

風で木々の葉がこすれる音。パキッパキッと小動物が落ちた枝を踏みしめる音。何かの鳴き声。

この道は明るいうちに通るのが良いだろう。

 

道中、見事な竹林もあった。

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道半ばではあるが、ここらで折り返す。

ちょっと道を逸れると、すぐにまた住宅街が広がっていた。

 

 

⑤愛知県警察 運転免許試験場

荒池緑地を西へ進むと、住宅地へと着く。

住所で言えば平針南となる。団地が多く立ち、「平針住宅」とも呼ばれるあたりである。

そんな中に聳えるのが運転免許試験場。平針試験場とも呼ばれたりする。

ともかく名古屋市民が免許を取るときに寄る場所である。

 

なお、アクセスはあまり良くない。地下鉄の平針駅で降りたのち市バスを使うか、車で行くかの二択である。が、免許を取りに行く場所なので、車で行く選択肢を選ぶ人は少ない。

しかも現在は改装の真っ只中。メインの建物は完成済みだが、駐車場が未整備となっている。

この改装は春に終了予定なので、もうまもなくだ。

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改装を経た免許試験場は見違えるように綺麗になった。

今までは"役所"って感じの構えだったが、洗練されたデザインとなった。

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内部は人が多く撮影はしていないが、まるで空港を思わせるような内装だった。

全てが新しく、広く、充実していた。

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入口近くのこの案内図と壁や床の雰囲気からも、新しさが伝わるだろう。

 

むすび

平針というと免許試験場のイメージしかなかったが、思いのほか自然に溢れた街だった。きっと季節によって違う顔を見せてくれるだろう。

 

*1:15世紀~17世紀あたりの英国チューダー朝時代の建築様式。梁などを敢えて露出させている作りが特徴。家具や調度品にも薔薇等の紋様や彫刻を施しており、ゴシックとも繋がりを持つ。