たかが嗜好品、されど嗜好品。
拘ればキリが無いが、本来は無くても人生を過ごす分には何の問題も無い。それが嗜好品である。
嗜好品にも色々ある。酒、タバコもそう。そして紅茶を始めとした茶類も。チョコレートもそう。そしてコーヒーもまた嗜好品である。
無くても死にはしない。でも必要不可欠になってしまった人にとって、失われると死ぬほどツラいものかもしれない。
嗜好品は往々にして中毒性のある成分を含んだものが多い。
別に嗜好品イコール何かしらを含むってわけではないけど、カフェインやアルコールやニコチン等の依存性成分を含むものが多い。
いずれにしろ適量を愉しむことで人生を豊かなものにしていくのが良い。適度な距離感と適量を。
コーヒーと橋本ねこ
世にコーヒーと呼ばれる物はたくさんある。
コーヒーも豆の状態だったり粉の状態だったり。更に二次加工品として缶コーヒー、インスタントコーヒーがある。
缶コーヒーやインスタントコーヒーは、もはやコーヒーとは別物。ラーメン屋さんのラーメンとカップラーメンくらいの差がある。
しかしどちらが優れているとかではなく、どっちも良さがある。ラーメン屋さんのラーメンじゃなくてカップラーメンの気分の時もあるじゃない?
コーヒーは飲む直前に挽くに限るので、豆で買っておきたい。
粉と豆で比較しても値段が変わらなかったりむしろ粉の方が加工代として高かったりもするので、豆を挽くことの出来るサムシングをお持ちならば粉で買う理由は無い。
コーヒーは空気に触れると酸化して味が悪くなるが、豆のままの方が粉よりも表面積が少なく酸化しづらい。これも豆の方がおいしい理由となる。
コーヒー豆そのものの品質にはそこまで拘りは無い。むしろあまり高い物は買わないようにしている。
100グラムあたり250円~500円あたりにしておきたい。600円以上だと日常的に飲むにはちょっと高く感じる。200円以下だと安すぎて品質が心配になる。
ちなみにカルディの「マイルドカルディ」は200gで691円。成城石井の「マイルドブレンド」は500gで1,394円。スターバックスの「アニバーサリーブレンド」は250gで1,320円。それぞれ100gあたりの値段は346円、279円、528円だ。
スーパーとかでも売っているUCCのリッチブレンドは250gで856円(100gあたり342円)なので、実はカルディや成城石井のコーヒーがはちゃめちゃに高いというわけではない。
ただし、どのメーカーでもブルーマウンテンやゲイシャ種などの凝ったコーヒー豆は値段が跳ね上がる。
その分スペシャリティな体験が出来るだろうが、僕はまだ未体験である。一度飲んだらもう戻ってこれない気がしている。
コーヒー沼を開拓してみる
前述の通り、スーパーやドラッグストアで見かけるコーヒー豆たちと専門店などで買えるコーヒー豆にはそこまで値段の大きな開きは無い。スタバは別だが。
なので、今回は成城石井のネットスーパーからコーヒーを取り寄せてみた。
取り寄せたのは4種類がセットになった「お試しセット」。
「成城石井ブレンド(755円/200g)」、「スペシャルブレンド(755円/200g)」、「エチオピア モカ(777円/200g)」、「カフェイタリアーノ(862円/200g)」の4種が入って3,000円なので、それぞれをバラで買うよりもわずかにお得である。
それぞれ500g入りの物もあるので、そちらを購入することで更にお得になる。
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成城石井といえば今でこそ大衆向け商品も多めに扱うが、かつての成城石井はマダムたちがこぞって集うようなお高いスーパーマーケット。
そんな歴史を持つ成城石井のブランドに裏打ちされたコーヒー豆。ハズレって事は無いでしょう。
ロースト度合いについて
コーヒー豆は焙煎(ロースト)を行い、独特の芳醇な苦味を出す。
長時間、強めに焙煎することを「焙煎が深い」「深煎り」等と言ったりする。逆に短時間、軽めな焙煎を「浅煎り」と言う。
実はこの焙煎自体、均一に狙い通りの焙煎具合にするには非常に熟練した技術が必要である。簡単に適当に火にかけておくだけではない。麺の固茹で・柔らかめ等とは一線を画す。
詳しい技法は割愛するが、焙煎師と呼ばれる職人の腕次第で有名なコーヒーショップになったりそうでも無かったりと差が生まれてしまうほど。
昨今では簡単に優れた焙煎具合いの豆が入手出来てしまうので見過ごされがちな要素であるが、素人が迂闊に参入できない要因ともなっている。
焙煎の度合いで、まず見た目が異なってくる。
ライトなブラウンカラーからシナモンのような色、キャラメルのような色、そしてチョコレートのようなダークブラウンへと変化する。
コーヒー豆そのものの色の違いもあるにはあるが、基本的に色が暗いほど焙煎が深いと解釈しても問題無い。
焙煎が深くなればなるほど、ロースト香(焙煎香)が付く。焦げ臭いような、香ばしいような香り。そしてそれは苦味でもある。つまり焙煎が深ければビターになる。
元々コーヒーには酸味のある果実の風味が残っている。浅煎りだとこの酸味は残るが、焙煎をすると飛んでしまう。つまり焙煎が浅ければフルーティーなのだ。
そして酸味と苦味は基本的には両立しない。酸味があれば苦味は少なめ。苦味が強ければ酸味は目立たない。
成城石井ブレンド
柔らかな酸味と甘味、適度な苦味、なめらかなコク。軽めで、すっきりした飲み口に仕上げました。成城石井が自信を持ってお薦めするブレンドコーヒーです。
"お薦め"という書き方に文学作品に似たノスタルジィを感じる。
ロースト度は8段階中1。成城石井で取り扱うコーヒーの中でも非常に浅煎り。
一般的にあんまり焙煎をしていない浅煎りのコーヒー豆は、ロースト香――つまり苦味よりも果実らしい酸味を感じられる。
店名を冠している以上、エントリーモデルとして選ばれる事も多いであろうブレンドだ。どこを取ってもスタンダードであるべきだし、お店の代表でもあるべき難しいポジション。
この一種のみで「ああ、こんなもんか…他の会社にしよっと」と判断されてしまう可能性だって大いにある。さぞや成城石井ブレンド氏はストレスと過労で胃に穴が開きそうな思いであろう。心中お察しする。
スペシャルブレンド
選び抜かれたコーヒー豆をバランス良く配合し、やや強めにローストしたコーヒー。酸味をおさえ、香りとコクを高めたスペシャルブレンド。芳醇な香りと円熟した深みのある味が印象的。
特別なものにしかスペシャルとは付かない。スペシャルと付いているのにオーディナルならば、もはやそれは嘘である。
そのくせ成城石井ブレンドと同じ値段なのは些か腑に落ちない感覚を覚えるが、まぁ値段が全てでは無い。
成城石井ブレンドよりもやや強めのロースト。ロースト度合いは8段階中の3。
エチオピア モカ
コーヒーの起源と云われているエチオピア。同国内で生産されるコーヒーは
「モカフレーバー」と呼ばれる独特の香りと、フルーティーな味わいが特徴です。生豆精選方法の異なる「非水洗式」と「水洗式」をバランスよくブレンドし、飲みやすく仕上げました。
エチオピア――正式にはエチオピア連邦民主共和国(የኢትዮጵያ ፈደራላዊ ዲሞክራሲያዊ ሪፐብሊክ)はアフリカ大陸の東側に位置する多民族国家。南のお隣はケニア。
エチオピアは熱帯地方の国なので、めっちゃ暑い。ただし標高差が非常に大きく、1,500m-2,400m区間では平均気温が16℃~30℃、2,400m以上では平均気温16℃程度となる。サラッと書いたけど、富士山の山頂が3,776m、長野県の都市が300m-700m程度に位置している事を考えると、かなりの高低差である。
そんなエチオピアではコーヒーを始めとした農業が盛ん。国民の30%が農業に従事しているそうで、全世界へ輸出しているコーヒー豆は世界第7位(アフリカ大陸では1位)の生産量を誇る。
ちなみにコーヒー豆は輸出するばかりではなくエチオピア人も愛飲。生産されたコーヒー豆の半分は国内消費だそうで。
「非水洗式」「水洗式」とあるが、これは精製方法の違い。
コーヒーの実から種を取り出し生豆にすることを精製というが、そのまま天日で乾燥させてから外皮を除去するのが「非水洗式*1」。コーヒーの実を水槽に入れ、混入物などとともに果肉も除去して水洗い、その後乾燥させるのが「水洗式*2」。
どうも味に違いが生まれるらしく、前者は醗酵したかのよう濃厚さ、後者はすっきりとしたクリアな味わいとなるようだ。
どちらが優れている、とかではなくどっちも良い所と悪い所がある感じ。水資源が豊富ならば水洗式、水資源が乏しい国では非水洗式が発達している傾向がある。
カフェイタリアーノ
水洗式アラビカコーヒー豆を使用した深煎りブレンドコーヒー。円やかな甘みと力強い苦味の中に豊かなコクがあり、エスプレッソやカフェオレに最適。エスプレッソマシーン以外でもドリップ方式で美味しいイタリアンカフェをお楽しみいただけます。
ブレンド名にイタリアとかフランスとか付いているのはだいたい深煎り。
ヨーロッパでは強い苦みを持つエスプレッソが好まれるため、苦いコーヒーがお好みならイタリアンやフレンチと名の付いたものを選ぶと良い。会社によってはイタリアやフランスの都市名を付けている事も。
焙煎度合いは8段階中6。強いローストがされており、果実らしい酸味はほぼ感じられない。いわゆる「強い」味のビターで濃厚なコーヒーである。
どれから飲もうか
さて早速全種類飲んでみよう、と言いたいところだが、まだ飲んでいない。
追々レポートでもしていこうとは思うが、別段コーヒーを語れるほどの舌とキャリアと飲み比べをしているわけではない(し、普段は必ず牛乳を入れる)。
いきなり全種類開けると豆が劣化しちゃうしね。
ちょっとずつ飲んで、気が向いたら書いていく予定。気長に待つと良い。