ねこらぼ( 'ω')

名古屋でこそこそと活動っぽいことをしている橋本ねこのブログ( 'ω')

ミシュラン一つ星の超濃厚テリーヌ――Sincereの「アマゾンカカオテリーヌ」をお取り寄せ

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テリーヌ・ショコラは今もなお根強い人気を誇るケーキ。

ショコラを深く感じる事の出来る濃厚な味わい――まさにチョコレート好きが求めるケーキだと言える。

 

テリーヌ・ショコラとは

そもそもテリーヌとは?

さて、まずは「テリーヌとは何なのか」というところから。

 

テリーヌはフランス語であり、「容器・型」を意味する。

つまり容器に詰めた料理ならばテリーヌと言えるのだ。「テリーヌ」とだけ言った場合、原材料はチョコレートとは限らない。型を使ったゼリー寄せもテリーヌだ。

なのでチョコレート味のテリーヌを示したいのであれば、テリーヌ・ショコラ(terrine de chocolat)が親切だ。

 

ガトー・ショコラとの違いは?

似ているケーキでガトー・ショコラというものがある。

日本の認識だと、小麦粉の使用/不使用で分けたりする事もあるが、本質はさっきも出てきたように「テリーヌ=型」なのでテリーヌ型に詰めてチョコケーキを焼いたらテリーヌ・ショコラと名乗る事が出来る。

 

そもそも、ガトー・ショコラ(Gâeau classique au chocolat)は「焼いたチョコケーキ」を指す。

つまり、テリーヌ・ショコラはガトー・ショコラの中の一分類と考える事が出来る。

 

テリーヌ・ショコラの特徴

テリーヌ・ショコラの体感上のイメージというか性質としては、内部はなめらかで気泡が少ないという点がある。スポンジケーキのような気泡が見られないのが特徴のひとつでもある。

また、テリーヌ・ショコラは比較的濃厚な口当たりと味わいを持つ傾向がある。

ただし前述の通り「型に入れて焼いたらテリーヌ・ショコラ」ではあるので、名付けは作り手次第である。

 

なお、ガトー・ショコラのひとつであるフォンダン・ショコラ(Fondant au chocolat)は、中央にガナッシュを入れて焼いたものを指す。

これにより、加熱した後に割るとに溶けたガナッシュが溢れるという仕組みになっている。

 

 

今回のお取り寄せ品

Sincereの「アマゾンカカオのテリーヌ」

最近ではコーヒー豆のようにカカオの産地も注目され出しているので、アマゾンカカオも珍しくはない。

そして、もちろん産地ごとに味わいの差がある。

 

アマゾン地域とカカオ

アマゾン――と一口に言っても、アマゾン地域は広い。

ブラジル、ペルー、エクアドル、コロンビア、ベネズエラあたりはアマゾンと言っても良いかもしれない。

 

そして、この辺の地域はカカオ産地としても有名である。

アマゾン地域のカカオは大地の躍動を感じるようなフレーバーがある。それは酸味だったり、フルーティー系とも言われたりする。

「なるほど、カカオも果物なんだな」と思わせるような印象を覚える。

 

個人的なざっくりとした印象だと、アフリカ大陸(ガーナやマダガスカル)はスモーキーで深みがある、アマゾン地域はフルーティーで個性的、という具合。

 

太田氏とアマゾンカカオ

アマゾンカカオの話をするにあたり、太田哲雄氏の説明を省くわけにはいかない。

世界を旅するシェフであり、アマゾン地域でカカオを公正な価格で取引を行っている第一人者とも言える人物である。

 

これだけチョコレートが世界各国で愛され、中には高級なチョコレートもあるにも関わらず、カカオ原産地の経済が潤っていない事が多い。また、原産地の住民はおいしいチョコレートを知らなかったりする事すらある。

アマゾン地域であるペルーでの生活を通じて疑問を抱いた氏は、アマゾンカカオの公正な取引を行うようになる。

 

この考え方に共鳴するシェフは多く、ミシュラン一つ星を獲得したフレンチレストラン「sincere(シンシア)」の石井シェフもその1人。

太田氏のアマゾンカカオを使用したテリーヌはこうして誕生したという。

 

お取り寄せしてみる

どっしりとした箱に入っている。手土産にも喜ばれること請け合いである。

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 デザインされた植物はカカオの木。そしてカカオの花。

普段の生活ではチョコレートのルーツを考える事は決して多くないだろう。

このパッケージは、そんなチョコレートの元であるカカオが植物である事をハッと思い出させてくれるよう。

 

開けると、ペーパーに包まれたテリーヌと、Sincereの情報やカカオへの想い、そして食べ方が記載されたカードが。

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中にはテリーヌが鎮座している。気品ある佇まい。

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上に乗っているのはカカオニブ。スーパーフードとか言われて珍重されたりもしているので、最近だとそんなにマニアックな存在では無くなってきた。

カカオ豆をローストしたあと、皮(ハスク)や胚芽(ジャーム)を取った状態の胚乳がニブと呼ばれる。お米でいうところの精米、みたいな感じかな。

このニブをペースト状にして砂糖や牛乳と合わせるとチョコレートとなる。

というわけで、このカカオニブはチョコレートの元ともいうべき素材。

カカオニブはトッピングとして砕いたコーヒー豆のような感覚で使うことが出来る。

また、ロースト後の豆なので香ばしいロースト香をしっかりと感じる事が出来る。

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このテリーヌショコラで使用されているアマゾンカカオはカカオのまま丸々買い付けているようなので、上のカカオニブもそのアマゾンカカオの物だろう。

 

 

食べてみる

テリーヌと言えば、様々な温度帯で楽しめるのが良い所でもある。

 

冷たくして
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テリーヌの保管方法の都合上、冷たいまま頂くのは最も自然な食べ方と言える。

冷たいまま食べると「生チョコのようだ」と表現される。むしろテリーヌではなく、生チョコそのものである。良くも悪くもテリーヌらしさは損なわれる。

 

しかしこれはこれで楽しめる。

冷されたことにより香りは息をひそめるが、口の中で緩やかに花開く。

冷された状態でもかなりの濃厚さ、コク、力強さを感じる。そして甘さはやや控えめ。他の食べ方よりも比較的マイルドな印象で頂く事が出来る。

 

常温にして
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冷蔵庫から出したテリーヌをしばらく室温に馴染ませておく。

 

これこそテリーヌ・ショコラの真骨頂と言える。

口に含んだ瞬間からとろけだし、芳しいカカオの香りが鼻へと抜ける。

 

アマゾンカカオの特徴であるフルーティーさも奥の方に感じ取る事が出来る。個人的には「大地の躍動のような味」という印象を受けた。

テリーヌがアマゾンカカオ本来のポテンシャルを十二分に発揮しているようだ。

 

温めて
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加温するのは電子レンジが良い。オーブンだと取り出す際に苦労する。

 

温めるとフォンダンショコラのような印象になる。それは濃厚な生地がガナッシュのようにとろけるからだ。

このテリーヌは温める事でバターの香りも引き立つ。発酵バターだろうか。豊潤な香りが立ちあがる。

 

そんなバターの香りとカカオのふくよかな香りが口に入れる前から強く香る。

口に入れるとトロっとほぐれていく。贅沢な余韻を残しながら消えていく。

 

好みの温度帯で

一番テリーヌらしさを楽しめるのは常温だが、好きな温度帯で楽しめば良いと思う。

冷えた状態が好きな人もいるだろう。温めた状態で食べてみて、それにハマってしまう人もいるだろうし、逆に「これはちょっと…」となるかもしれない。

 

いずれにしても、1切れで鼻血が出そうなほどの濃厚さと力強さを持つテリーヌだ。人によっては味を薄めたいと思うかもしれないレベル。

しかし、これだけアマゾンカカオの魅力を余すことなく引き出せているのも凄まじい点である。

 

コク・力強さ・フルーティーさ――様々な表情を見せるアマゾンカカオを、テリーヌを通して感じてほしい。

カカオ、そしてチョコレートは本当に奥が深い。

 

 

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