ねこらぼ( 'ω')

名古屋でこそこそと活動っぽいことをしている橋本ねこのブログ( 'ω')

ほろりと、とろける――「牛とろフレーク」をお取り寄せ

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牛肉のミンチのフレークは様々なメーカーが出し、そしてかなり減った。

今では数社ほどがほそぼそとやっているだけに過ぎない。

 

 

牛肉の生食はグレーゾーンである。

節目となったのは2011年11月。牛肉の生食に関するルールは厳しくなった。

これ以降、生食代表である牛ユッケはお目にかかる事がほぼ出来なくなった。

 

牛肉の生食と菌、規制について

牛肉にもO-157やサルモネラ菌が付着しているため、一定数以上摂取すれば人体にも影響が出る。これが食中毒だ。

つまり、無菌ならば生だろうとそのままバクバク食べる事が出来るのだ。理論上ね。

 

牛肉の表面と内臓肉には菌が多い。牛肉の内側――つまり表面ではない部分には菌は入り込みにくい。牛肉の焼き加減がレアでも食べる事が出来るのはこのためである。

これらは牛肉の加工過程も重要になる。内臓肉を取り扱った手で牛肉を取り扱えば、内臓肉にしか無かったはずの種類の菌がそのまま移動してしまう。

というわけで、まずは加工場の衛生管理が前提となる。

 

その後、飲食店等での提供時の衛生管理も必要となる。

牛肉の生食の規制が入る契機となった2011年の某焼肉屋の牛ユッケでは、牛ユッケを扱う前に触っていた食材の菌が付着してしまっていた事によるとも言われている。

つまり、加工段階でどれだけ清潔で衛生的でも、提供する飲食店での取り扱いがずさんだと意味が無くなってしまうのである。

なお、この時は残念ながら死者も出ている。

 

そして規制は厳しくなった。

生食用牛肉は表面から1cm以上を規定温度、規定時間で加熱しないといけなくなった。

これで表面の菌は死滅するから内部も安全、というわけである。

 

しかし、これを遵守してユッケを出すのは簡単ではない。

生食用なのに表面は加熱されてしまっているので、ユッケではない。「炙り」である。

本当にユッケとして出したいのであれば、この加熱した表面1cmをぐるりと削らねばならない。

つまり現在牛ユッケをメニューとして出そうとしたらかなりの手間とロスが必要になり、高価格になってしまうのだ。今では高級なお店以外で牛ユッケを見掛ける事はほぼ無くなってしまった。

実質的な牛肉生食禁止令、という向きもあるほどである。

 

 

牛とろフレークへの影響

牛とろフレーク、及びその類似品たちもこの実質生食禁止の煽りを存分に受けた。

ちょっとグレーだったり安値で取り扱っていたような業者は次々に姿を消していった。

 

フレークは文字通り「フレーク」なので、ミンチのような肉である。

ミンチ肉は表面も内部も混ぜられてしまっているため、牛肉の「表面に菌がいる」という性質を踏まえると内側まで全て表面のようなものだと認識する必要がある。つまり、しっかり完全に火を通さなければならない。

もしくはミンチにする前にしっかりとトリミングを行うか、どちらかだ。

 

だいたいの会社は炙るようになった。しかしそれは生ではない。生と炙りには明確な差がある。

日本人は特に生食を求める人が多い民族でもある。生魚もそうだし。

生レバーを求める人もまだまだ多数存在している。まぁ生レバーに関しては赤身肉よりも数段リスクが高まるので本当に自己責任。内臓肉なので、内部にも菌がいる。

 

さて、そんなわけでかなりメーカー数は減った。

一時期は「お金になる」とこぞって飛びつかれたビジネスだったが、現在ではその加工の手間さや衛生管理の維持・コスト等の面からかなり減ってしまった。

 

その生き残ったうちのひとつが「十勝スロウフード」の牛トロフレークである。

 

今回のお取り寄せ品

牛とろフレーク

前述の通り、この界隈の製品はかなり数が少なくなった。

そんな中、十勝スロウフードは30年前から同商品を手掛ける。

 

牛肉業界に激震を与えた出来事は大きく二つ。

BSE問題と件の生肉による食中毒事件だ。ただし前者は輸入牛肉によるものなので十勝スロウフードには関係が無い。イメージダウン等は免れなかっただろうが。

というわけで、日本の牛肉史に残る節目の2011年。十勝スロウフードはHACCP*1対応工事をし、2015年には牛とろに於いて北海道HACCP自主衛生管理認証を取得。

認証を取得する事で衛生管理を確固たるものにし、いち早く安全・安心を意識している。

 

そういった面はもちろんのこと、ご当地どんぶり選手権で毎年連続入賞をしたりメディアで取り上げられたりと着実に知名度を上げ続けている。

2017年あたりからのコンテストや選手権では1位や準グランプリも受賞することが多くなり、名実ともに確かなものとなってきた。

 

お取り寄せしてみる

そんな十勝スロウフードの牛とろフレークをお取り寄せ。

公式サイト等で購入可能だ。公式運営のECショップがあり、安心。

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パッケージに記載されているボーンフリーファームとは、十勝スロウフードの前身とも独立前の会社とも言える。

元々は牛とろフレークの製造は有限会社ボーンフリーファームの肉加工部門で行っていたが、その肉加工部門が「十勝スロウフード」として独立したという経緯がある。

 

今回はこちらの牛とろフレークとともに、専用のタレも購入。タレが付いていないセットもあるので、よく確認されたし。

 

パッケージには食べ方も。

要所要所に「解凍しないように」との記載が。解凍してしまうと鮮度が落ちてしまう。それくらいデリケートでシビアな商品なのだ。

ご飯に乗せて、ご飯の熱でじんわりと牛とろが溶けていくのを楽しむ――というのが良いらしい。

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HACCP認証のマークも。

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食べてみる

さて、こちらの牛とろフレーク。実は完全な生肉というわけでもない。

分類としては「非加熱食肉製品」。原材料には食塩が使われていて、いわゆる牛生ハムなんかと同じ類いの物、という事になる。

 

商品と一緒に検査証明書も同梱されている。より安心して食べる事が出来るだろう。

僕が買ったロットはこんな感じ。

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ここからも分かるように、無菌と見做す事は出来ても無菌ではない。

保管状況が良くなかったり不衛生な取扱いをすれば、菌は増殖してしまう。それらを踏まえて、基本的には冷凍庫へ置いておくのが望ましい。

とはいえ、小さい子供や免疫の弱った高齢者でない限りは十分安心して食べる事の出来る水準だ。

 

パッケージのフタを開けてみると、中にはフレークの入った袋が。

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封を開けて、サラサラと注ぐようにして使い、残りはすぐに冷凍庫へ。

厳密にはスプーン等ですくった方が衛生的ではある。

 

美しい色。発色剤を使っているのはちょっと残念ではあるが、牛生ハムに近いという事なので多少は仕方が無いのかな、と。

安全・安心・ナチュラルを謳っているので、発色剤の安全性はともかくとして不要な気もする。

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凍っている状態だった牛とろは、ご飯の熱で徐々に溶けていく。

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ここで常温に戻しておいたタレをかけて、いただく。

タレは酢の効いた醤油ベースの味だ。

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食べてみると、まさにトロ。

牛とろフレークの名を冠するにふさわしいとろけ具合。

 

最初はタレはローストビーフ的な味わいを想像していたが、どちらかというとネギトロ丼に近い。が、牛の味わいも感じる事が出来る。

ネギトロ感覚で頂ける牛肉、という表現が一番適しているかもしれない。

牛とろ軍艦寿司なんてのもアリかもしれない。

 

口の中でほろりととろけていく。ほぐれる、ほどける、という感覚もある。

ふわっと無くなる。そして無くなる瞬間には、脂の中に閉じ込めていた牛肉の旨みを残していく。

これがご飯、タレとよく合う。

 

 

 

これまた恐ろしいご飯泥棒と出会ってしまった。

薬味とともに頂くのも良いだろう。わさび、大葉やネギ、かいわれ等…ネギトロに合いそうな薬味はだいたい合いそうだ。

 

 


 

 

 

*1:HACCP(危害分析重要管理点方式)の手法を取り入れた衛生管理