吉野家で冬の定番である「牛すき鍋膳」の取扱いが開始したのは今月のこと。
それと同時に発売した「黒毛和牛すき鍋膳」。こちらが何と想定外の大好評らしい。
"牛すき鍋膳"と"黒毛和牛すき鍋膳"――何がどれだけ違うのか
気になるのは「牛すき鍋膳」と「黒毛和牛すき鍋膳」の差。
まずは当たり前だけどもお値段が違う。牛すき鍋膳は648円+税、黒毛和牛すき鍋膳は998円+税、である。単純に1.5倍以上の価格設定となっている。
その他の具材は写真を見る限りではほぼ同じに見える。
白菜、タマネギ、長ネギ、にんじん、絹豆腐、きしめん…。黒毛和牛すき鍋膳の方には花を象った麩も見える。
つまり、他の具がほぼ同じという事はこの価格差は純粋に牛肉の差という事になる。
それぞれの牛肉のグラム数については明記されていない。
だいたい同じくらいではありそうな見た目だけども、もしかすると違うのかも。
ちなみにプレスリリースによると、「牛すき鍋膳」の牛肉は1.3mmのスライスで「黒毛和牛すき鍋膳」の牛肉は1.5mmのスライスらしい。たかが0.2mm、と思うかもしれないけども、実は0.2mmでも充分食感の差は感じる事が出来る。
例えば牛タンの厚さは2.4mm程度だとやや薄く感じ、2.6mmで食べやすく、2.8mmだとちょっとリッチな歯ごたえ、3.0mmだと分厚く感じるほど。ぜひご家庭で牛タンを仕入れて切り分けて食べ比べてほしい。
ちょっと話はそれたけど、厚さが違うということはグラム数や枚数に違いがある可能性もある…と思われる。
というわけで、値段が違うのとお肉の量も違うかも、というところ。
黒毛和牛すき鍋膳が品薄らしい
――というニュースリリースを吉野家が出した。ちょっときな臭いというか、そうやって「残りちょっとしかないからもうすぐ終わっちゃうよ!」感を出してセールスする手法に感じなくもない。
とはいえ、期間限定である事には変わりないので、気になっている人は早めに行った方が良いだろう。
公式発表によると販売期間は1ヶ月半を想定していたらしいが、販売から20日程度しか経っていないにも関わらず完売が近いようだ。
最初は敢えて少なめのロットにしておいて一旦完売させて、また来年あたりに「昨年想定を上回るご好評をいただいた…」と売り文句にして二段展開するパターンの売り方を何社も見てきたが、果たして今回は…。
吉野家と黒毛和牛の関係性
吉野家と黒毛和牛。
一見関係がありそうで、実はあんまり関係が無い。
もちろん牛肉という点では同様ではあるが、吉野家が優れているのはあくまでも牛バラ肉の買い付けと調理についてだと思っている。別に牛を一頭買いをしているわけでも無いので、様々な肉の部位や牛の種類に対するノウハウがあるというようにも思えない。
なので、去年のサーロインを使用した「すきやき重」や今年6月の「牛たん麦とろ御膳」も違和感はあった。同じ牛肉だが、牛丼としての土俵からは随分と離れているように思えた。
しかし、これは昨年あたりから吉野家で顕著な取り組みで、牛丼に使ういつもの牛バラ以外の牛肉材料を幅広く使うようなメニュー開発を行っている。
ここから察するに、新たな安定的な供給ルートを見出したのじゃないかと考える。
吉野家は全国チェーンなので、例え限定メニューだったとしても安定した仕入れが無ければいけない。例えば一店舗に特定の部位を毎日1kg入れるとしても全国の吉野家1200店舗に納品するには1.2tが必要になる。これを毎日。
仮に一ヶ月ほど続けるならば400頭近くが必要になる。牛丼に使うバラ肉は海外から大量に買うパイプを構築しているとして、黒毛和牛となると国内なはず。
昔から米国産牛バラを多く使っていた吉野家としては、かなり大きな舵取りだと思われる。
行ってみる
黒毛和牛すき鍋膳は税別998円。なんと1000円を切っているのだ。
これだけ安いと果たして本当に黒毛和牛なのか怪しみたくもなる。かつては某企業がただの牛バラ肉に黒毛和牛の牛脂を注入して黒毛和牛だと名乗るケースもあったりした。今だと食品表示法がかなり厳しくなっているので色々な所から怒られそうだけど。
というわけで、さすがに黒毛和牛は黒毛和牛だと思う。現在、黒毛和牛を取り扱う際には個体識別番号を掲示する必要があるし、その番号を追跡すれば牛の情報も分かる。
店内では黒毛和牛すき鍋膳よりも牛すき鍋膳がプッシュされているような印象を受ける。お店に寄るのかもしれない。あとは僕の勝手な印象なのでアレかもしれない。
店内で着席してオーダー。
牛丼に比べると非常に時間がかかる。というより牛丼が早すぎるんだけどね。
黒毛和牛は生肉の状態で入れて、火入れをするらしい。
5分くらいして到着。
鍋、ごはん、お新香、そして玉子。
鍋の下では固形燃料が着火されて加熱され続けている状態となっている。食べ終わりまでずっとグツグツしていた。
食べてみる
とりあえず牛肉から。
確かにいつもの牛肉とは全然柔らかさが違う。黒毛和牛は煮込んでいるはずなのに固くない。こんなに違うものか、と思える。
いつもの牛丼のお肉も噛み応えがあってジューシーで好きだけどね。
野菜たちも割り下で煮込まれて良い塩梅。野菜本来の甘みも引き立っている。
この鍋で1日に必要な野菜の1/2が摂れるらしい。おいしく野菜を摂れるのって素敵。
きしめんと豆腐も良い仕事をしている。良い箸休め。存在感があるわけではないけども、無いと寂しい。
これらを玉子にくぐらせていただく。
玉子は小さめサイズなので、終盤はちょっと足りなくなってしまった。まぁ付けなくともおいしい。すきやきっぽさは半減するけど。
ごはんもあるので、色々な食べ方が出来そう。丼っぽくしちゃうとか。たまごかけごはんにしちゃうとか。
まとめ
吉野家の熱意が溢れまくっている「黒毛和牛すき鍋膳」。食べたい人はお早めに。