夏は夏バテをしやすい季節である。そのままだけど。
暑さのせいでどうにもやる気が出なかったり食欲が無くなったり。
そこで飲食業界も"夏らしい"メニューを色々と考案する。
"夏らしさ"とは…
夏らしさのある料理って何だろう。パッと思い付くだけでもいくつか種類はある。
①さっぱりとした冷たい料理
素麺なんか最たる例。あっさり、さっぱりしたものは胃に負担を掛けずに食べることが出来る。冷し中華や冷麺、酢の物なんかも夏らしい。
胡瓜やトマトなんかの夏野菜には水分とカリウムが多く、これらも体を冷やしてくれる効果がある。
②ガッツリとしたスタミナ系メニュー
ボリューミーだったり滋養強壮的な効果のあるものたちを食べることで、体を元気にしようというアレ。夏が旬ではないウナギも、スタミナが欲しい夏には適していると言える。
他にもボリュームのある赤身肉のステーキや焼肉なんかも。夏バテで食が細くなった人には厳しいけども、栄養素を多めに摂取するのは理に適ってはいる。
③辛いホットなメニュー
暑い時に辛い物…?となる人もいるかもしれないけども、唐辛子のカプサイシンには食欲増進とか消化促進とかアレとかアレとか色々な効果が期待できる。
食べると暑くなるので涼しい部屋で食べたい。それを敢えて暑い部屋で我慢しながら食べる人もたまに居るけど、あれは何と戦ってるんだろうか。もしくは何かしらの禊なのか、はたまたマゾヒストなのか。
…と、大きく分けるとこんな感じ。
一見相対する要素を持ったものたちに見えるけども、要は刺激があるものが好まれる。辛さ、清涼感などなど。もしくは見るからにスタミナが付きそうなもの。
そして松屋の「牛と味玉の豚角煮丼」は後者。つまり先述のカテゴリーで言うならば"②ガッツリとしたスタミナ系メニュー"だ。
松屋と「牛と味玉の豚角煮丼」について
松屋について
松屋は言わずと知れた牛丼チェーン店。
松屋が出来たときには既に吉野家等の他の牛丼屋が台頭していたため、松屋は直球勝負を避けてカレーや定食にも力を入れて差別化を図る戦略を取ることにする。
現在では牛丼チェーン店の中で3本の指に入る営業成績を誇るが、松屋を展開する株式会社松屋フーズではとんかつ・そば・ステーキ等の他の業態にも力を入れ出している。
「牛と味玉の豚角煮丼」について
2019年9月にも同メニューをリリース、昨年も好評を博しているメニューである。
去年は沖縄色を出し「沖縄ラフテー風」とのPRだったが、今年はシンプルに夏らしいPRとなっている。
ご飯の上にいつもの牛めしと同じ具である牛肉・玉ねぎと、豚角煮、味付け半熟玉子、そして白ネギと青ネギ。間違いない組み合わせ。
そしてボリューム感。カロリーは867kcal。
並盛と大盛があり、2020年8月25日朝10:00までは通常60円増しとなる大盛が無料。ラーメンの並と大で値段が変わらない、みたいなサービス。
ちなみに大盛にしても具の量は変わらない。
行ってみる
松屋へ行ってみる。そういえば松屋へ行くのって久しぶり。
松屋ってお味噌汁が付く事と卓上の調味料がやたらたくさんある事しか思いつかないくらいしかイメージが無い。味で言えば吉野家が舌に合うんだよなぁ。
すき家も最近行っていないし、なか卯も行ってない。そもそも最近は外食が少ないしね。
というわけで久しぶりの外食。なんかよく分かんない緊張感がある。食券だっけ、いきなり席に座って良いんだっけ、案内されるんだっけ、とか。
初めてのラーメン屋さんでも同じような感覚があって、なんか入口でまごついたら嫌だなぁとか思ったりする。
こう、うまく導線やお作法的なものを分かりやすく掲示してくれたら良いなとも思うんだけど、それが難しい事も分かる。何度も来ている人にとっては"当たり前"だしね。
別にまごつくのが恥ずかしいとか周囲の視線が気になるとかは一切無いんだけど、店員の手を煩わせたくないというか。
そんなこんなで到着し、入店。扉のすぐ横に券売機を発見。ああ、そういえば券売機スタイルだっけ、とか思い出しながら購入。
食券を買う時に後ろに人が並ぶとちょっと焦るよね。並ばれなかったし今回はメニューが決まってたから良いけども。
店内は外国人のスタッフが2人。食券のシステムだし、多少日本語が不自由でも問題無い。
最近はすっかりファストフードやコンビニに外国の方が増えてきた。外国人の方々がマジメに働いてるのを見てると、なんか色々と考えたりしてしまう。
着席して食券を渡す。店内は客がまばらだが、テイクアウトなんかの注文がネットから飛んでくるのだろう、店員は常に何かしらの仕事をしつつ忙しそうにしていた。それでも嫌そうな顔は全くしていなかったのが印象的だった。
食べてみる
程なくして完成。さすが、牛丼屋のスピード感。とにかくササっと食べたい江戸っ子のDNAが脈々と受け継がれているファストフードと言っても過言では無いだろう。
美しい。やはり料理は見た目も大事。もちろん胃に入れば同じだけど、じゃあこの丼が最初からぐちゃぐちゃに混ぜられたものに食欲が湧くかと言われると微妙な所ではある。
牛肉、豚角煮、味玉、そしてみそ汁――どれから食べようか迷う。とりあえず久しぶりだし、スタンダードに牛肉から。
「ああ、こんな味だったね」と思わせる、安心感のある味の牛肉。"甘辛"とはまた違う、絶妙な味わい。
そして主役の豚角煮。大ぶりの物が2つ。しっかりと存在感がある。
豚角煮の中央を箸で持ってそのまま持ち上げたら、途中でほろりと崩れて2つに割れて丼へと戻ってしまった。これぞ万有引力。リンゴが落ちるのを見たニュートンもきっとこんな気持ちだったのかな。
物理法則へ思いを馳せながら豚角煮を食べてみると、驚くほどの柔らかさ。高圧調理した系の柔らかさで、筋張った部分も感じることなくほぐれていく。ほどける、って感覚が近いかも。
やや脂身が多めではあるけども、そこまでクドいものでも無く。さほど気にならない。
味もしっかりと甘辛系の味が染み込み、それとは別に後から掛けられているタレもまた合う。粘性のある、それこそ"タレ"という感じ。
味玉も絶妙な味わいでおいしい。牛肉や角煮の合間に食べてみたり、一緒に食べてみたり。角煮と味玉が合わないわけない。自宅だったら和からしを付けていただきたい味。
代わりに紅ショウガを乗せていただく。これはこれで角煮や味玉に合う。
白ネギと青ネギのコントラストも良い。もちろん味わいとしても良い。
おみそ汁がデフォルトで付いてくるのも良い。汁物があるのって良いよね。
まとめ
夏を乗り切れそうな気がしてきた。
■松屋公式サイト