7月も後半、いよいよ夏らしい気候へと変わってきた。
今年もあまり梅雨らしくない梅雨だった気がするが。
日本の梅雨
日本には「雨季」が存在し、一番有名なものはいわゆる梅雨である。
日本の梅雨といえば、元来長期にわたりシトシトと降り続くような雨が特徴だったように思う。数日間連続で雨だったりして、いつ洗濯物を干すんだと悩んだり。
しかし近年はこの長雨が短期間にザザっとバケツをひっくり返したような量の降雨に変わってきたように思う。
これはいわゆる熱帯地方のスコールのような雨の降り方であり、日本の気候が徐々に東南アジアのような気候に変わってきているものと考えられる。
虫や動物の生態系も徐々に熱帯寄りになっていると耳にしたことがある。2014年、東南アジアや南アジアの気候で流行していたデング熱が日本にももたらされ国内流行したというニュースは記憶に新しい。新しいって言ってももう10年も前の話だけど。
日本の最高気温今昔
最近はもう晴れの日ならば30℃を下回る日は無いのではないか、というレベルで暑い。
35℃を越えることも珍しいとは感じなくなってきた。一日の中で最高気温となる午後2時には体温以上の最高気温をマークすることもある。
東京では、昨年(2023年)は最も最高気温が高い日で37.7℃を記録した。
年間を通しての最高気温は8月に観測されることが多いが、今年は7月の時点で既に36.0℃を記録している。
さて、年を遡るとどれだけ涼しくなるのだろうか。
気象庁のデータを参考に、東京の最高気温を見てみる。
10年前、2014年は36.1℃を記録。この頃でも既に十分な暑さ。
20年前、2004年は39.5℃を記録。むしろ暑くなっている…?
30年前、1994年は39.1℃を記録。そして40年前、1984年は38.1℃を記録している。
ここから分かる通り、最高気温ベースで見ると意外と急峻な変化は見れない。
ただし、1800年代まで遡るとさすがに35℃オーバーは確認しづらくなるため、じわじわと温度上昇はあることに間違いは無い。
また、データを細かく見れば5月の気温や10月の気温の上昇が感じられるため、暑い時期は拡大している感覚がある。
猛暑と熱中症
さて、これだけの猛暑の中、炎天下で活動していると体に不調を来たすのは明らかである。
近年では炎天下に限らず室内でも危険な状況となり得るため注意を要する。
こまめな水分・塩分補給、適温への調整が望まれる。
熱中症には様々な症状があるが、人命に関わるため、指標として非常に意味を持つ。
そのため、熱中症になる恐れがある気候の時、環境省は熱中症警戒アラートなるものを出すようにしている。
熱中症警戒アラートとは
具体的にはWBGT*1が33以上になるであろう日に発令される。都道府県ごとの発令となるが、近隣で発令されて自県で発令されていないからと言って安全というわけではない。
また、WBGTが35以上となる日には、更に上のアラートとなる「熱中症特別警戒アラート」が発出される。
警戒アラート出すぎ問題
気象予報の何かしらの通知をスマートフォンに入れている方ならば、17時に翌日の警戒アラートが届くことだろう。当日朝にも通知が届くと思う。
しかし連日連日アラートが届くので、別になんと言うか「日常」になりつつある。
アラートが出ている状態=異常なはずなのに、もうアラートの存在にすっかり慣れてしまっているのだ。
こうなると、アラートを出している方々には申し訳ないが、熱中症警戒アラートは連日届くただのうるさい通知に成り下がる。もちろん流し読みの上、スワイプされて消されるだろう。
警戒アラートに拘束力が無い
熱中症警戒アラートがなぜこんなにも無視されるのか。人命に関わるというのに。
理由は簡単で、アラートが出たからと言って仕事が休めるわけでは無いし、簡単に用事が変わらないのである。
熱中症警戒アラートがどれだけ「日中に活動すると死ぬよ?」と言えど、仕事は休みにならないしアラートを理由として休むこともできない。それどころか友達と遊ぶ約束一つさえ消すことが出来ないだろう。
これはひとえに熱中症警戒アラートに何ら拘束力も罰則も無い所が理由と見る。
そりゃあ警戒アラートを守らなかったことで罰則が付くなんて、仕事にならないだろう。そんな大げさな、と思う事だろう。
これは本当にどこかのタイミングでしっかりと禁止をせねば、バタバタと熱中症患者は増えるだろう。でもどうすれば良いのか。
正直対策は思いつかない。まぁ僕ごときがパッと思いつけるのであれば、英知の集合体である国家が何かしら策を講じている筈である。
アラートを参考にして"取り止め"としたら
仮に経営者が「はい、アラートが出ました。皆さん、仕事休みです。」と判断したとして。
その経営者は賞賛すべき存在となるが、実際のところは動き続けている競合他社に後れを取ってしまうことになる。
これはスーパーに対抗してコンビニを年中無休の24時間営業にした歴史と合致する。他が休んでいる間に動かすことで成長し利益を得る、これは一つの戦略である。
他の例も挙げよう。
数か月前から、もしくは一年間かけて準備してきた大がかりなイベントがあったとしよう。
でも主催者が「熱中症警戒アラートが出たのでキャンセル、ごめんね」としたとする。
人命は救われたかもしれないが、設営した特設会場は無駄となりコストだけがかかった形となる。そのイベントを見るために遠くから足を運んだ交通費は、会場近くで予約したホテル代は、どこが補填するのだろうか。
そういうリスクやコスト、しがらみを考えると、もちろんキャンセルと言い出した人が責任を取るべきだという流れになってしまうため、誰も言い出さないだろう。
かといって、これらすべてを国が負担するのは無理がある。
仕事の損害や重要度でゾーン分けするのか。イベントの規模や重要度、コストを全部判別するのか。否、少し考えただけで無理と分かる。
でも熱中症には警戒すべし
熱中症のリスクや行動に関しては個人で判断すべし、というのが現在の見解となる。
アラートを参考にして予定を変えるのも個人主導となる。まぁでもあまりに危険度のある作業や仕事はある程度後回しに出来たりそもそも夏場にやらない等の対策が出来たらいいね、とは思う。
そういう声が挙げやすい世の中に徐々になっていってほしい。
それこそコンビニの例で言えば、24時間営業&年中無休が当たり前だったが最近はそうとも限らない。夜中に休んだりすることも出てきたし、それもまたアリだよねという論調にもなりつつある。
きっと、色々なやりよう、やり口があると思う。
でも、まずは個人レベルで警戒し、甘く見ず、十分に対策を講じて頂きたい。
「何事も無かった」から次も大丈夫なわけではない。何かあってからでは遅いので、そのためのアラートと対策なのだ。
*1:=暑さ指数。気温だけではなく、湿度、日射・輻射による熱環境の概念を取り入れ、気温:湿度:輻射熱を1:7:2で加味した指標となる。28を超えると厳重警戒となる。