占い師は人を占う事を生業としている。
仕事が自分に合っているのかどうか、今の相手と付き合ったままでいいのかどうか、将来自分はどうなるのか、…などなど。
ガチの人は割と綺麗にクリアにはっきりと予見できたりして、割と著名な方の中でも占いに頼ったりする人もいるとか。いないとか。
古代から占いはあったという。
何某かを焼いて、そのひび割れで判断してみたり。星の運行から何かを導き出してみたり。
王国と占いは密接な関係があったとされ、予見者が側近に置かれたりすることもあったらしい。
現代でも、ひっそりとした路地にたたずむ占い師がいる。「◎◎の母」とか呼ばれて引っ張りだこになるような人から、さびれた趣きの胡散臭い怪しい人まで。
さて、ここで僕の長年の疑問がある。
占い師って自分の将来は分からないの?
だってお世辞にも裕福そうではない身なりの人が圧倒的大多数じゃん?(失礼)
占い師が突然占いを辞めてしまうパターンだってある。きっと仕事として食っていけないからだと思うけども。
それってそのお得意の占いで分かるはず…だよね?まさか自分自身は占えないなんてよく分かんない例外ルールがあるわけじゃないよね?
とか言ったものの、百歩譲って自分自身が占えない可能性もゼロではないと僕は思っていて。
ヘアスタイリスト…つまり美容師の人って自分自身のカットやカラーって出来ないと思うのね。
もちろん出来るには出来ると思うんだけど、特に後頭部とかは見づらいし他の人の
髪をカットするようには出来ないはず。他人のカットやカラーは自分がいろんな角度から見る事が出来るから自分自身を施術するよりも簡単、という。
同じ理論が占いにも通ずる部分は実はあるのかもしれない。
まぁそれにしても、美容師が自分の髪であってもある程度はカットできるように、自分自身であってもある程度は予見できるはずだけどね。
失業する占い師のパラドックス
じゃあ失業する占い師は何なのか。
僕は一つの考えに至った。
占い師たちは、実はその未来が最初から分かっていたのではないか。
つまり、稼ぎにならない、もしくは失業する未来が分かっていたのにも関わらず、その道を選んで占い師になったのではないか、という。
それでも占いで人を救いたかったり、そういう神の思し召しのような物を受けたり。…まぁある種の"使命感"のようなものを優先して占い師になったのではないかと考える。
だってもしも自分の将来が見えて、なおかつ稼ぎたいのならば、きっとその人は占い師じゃなくてその「見えた」良い仕事に就くはず。
だから自分の未来が見えるけども占い師にはならずに他の全く関係ない業種に就いている、なんて人が一定数いるんだと思ってる。
これって何かに似ている――
ここまで書いていて僕は気付いた。
占い師って、めっちゃバンドマンに似てるじゃん。
売れる率なんてめっちゃ低いのに、音楽を稼業にしようとしているバンドマンの多い事。
そして、「売れたい」というよりも「裕福になりたい」って人はバンドマンじゃなくて他の道を歩いたりもする。
本当の意味での売れる確率を計算すると宝くじのような確率になる。だから他で生計を立ててバンドをサイドワークにするのが最近の主流だと思ってる。例えば普段はフリーターや正社員として働きながら、バンド活動をする…みたいな。
バンド一本で収益を得るのは昔以上に難しい話になってきていて、楽屋でも当たり前のように「普段お仕事は何をしているんですか?」って質問は飛び交う。合コンで「仕事何してるんですか?」って聞くのと同じくらいの頻度とカジュアルさ。
で、僕の場合は「音楽です」って言うんだけど、だいたい怪訝な表情をされるんだよ。「いや、そうじゃなくて仕事は…」みたいな話をされる時もあるくらい。だから「音楽が仕事です。音楽で稼いでます。」って言うと(何言ってるんだこの人…)みたいな顔をされる。それを目指してる人が多い世界だと思ってたんだけど、どうやら皆が皆そういうわけでもないらしい。
僕みたいなやり方をしているバンドマンってもっといるんだと思ってたんだけどどうも少数派らしいぞ、ということをその時に悟った。
好きだからとは言えそのまま仕事にするわけにはいかず。
ビジネスが絡めば素直に楽しめるかどうかは定かではない。
技量はあれど利益に直結するわけでもない。
何事もそうだけど、趣味の範疇でやるのが責任も少ないし負担も少ないし楽で楽しいと思ってる。
それでも何故か追い掛けちゃうんだよなぁ。不思議だよね。