いや、そんなことは可能なのだろうか。(いきなりの投げかけ)
目下、僕の中で大きなクエスチョンマークをもたげる存在。大豆ミートである。
- 大豆は確かにすごい
- "畑の肉"から"大豆ミート"へ
- 大豆ミートの歴史
- 大豆ミートのメリットとは
- 大豆ミートの得意分野と不得意分野
- ベジタリアンだけじゃない
- 日本での導入と広まりの兆し
- 大豆ミートのデメリット
- コンビニが続々とリリース
- 大豆ミートの可能性
大豆は確かにすごい
大豆が健康的な食品である事は、もう誰でも知っているだろう。今どきは大豆の凄さについて義務教育の範囲内として家庭科や国語はもちろんのこと歴史の授業の中ですら取り扱われることがあるとされている。
さて、大豆には大量のたんぱく質を含み、その量は肉に匹敵するともいわれる。
また、たんぱく質の含有量のみならず、たんぱく質の消化吸収率*1も優れる。
さらに実はカルシウムも含むため、牛乳でお腹をこわしやすい人には特におすすめ出来る。プロテインでもソイプロテインが日本人向け*2だと言われていたりもする。
…というように、植物性でありながら肉のような特徴を多く持つ。
それゆえ、「畑の肉」「畑のお肉」とも呼ばれる。
"畑の肉"から"大豆ミート"へ
そんな大豆が本当に文字通り、本格的に肉に擬態しだしたのである。
質感が近ければ近い程、つまり再現度が高ければ高い程ダイエッターやベジタリアンにとっては喜ばしいこととはなる。
ただ、それが代替フードとして成り立つのかどうか。
結局のところ別物であることには違いない。満足感はあるのだろうか。
いくら栄養価があってヘルシーだからとはいえ、あまりにリアリティに欠けていては結局満足は出来ないだろう。
大豆ミートに関する疑問は尽きない。
大豆ミートの歴史
元々肉を食べていた人による研究の賜物、だと考える。
最初から肉を食べていなかった人は「肉を食べたい」という発想にならないので、そもそも代替肉を必要としないからね。
肉の味わい・おいしさを知ってしまったが何らかの事情*3で肉を食べることが出来ない、という人たちが血のにじむような研究を続けた結果だ。
菜食主義者のヘルシーな食生活が広く注目され始めたのは19世紀後半とされる。
この時代は高カロリーで味の濃い料理の台頭した頃。それらのジャンキーな食生活と対称的なベジタリアンの食はひそやかに注目されだし、そういった食事による生活習慣病を防ぐ効果が期待できるのではないかという事で注目。
薄味の日本食が注目されたり、精進料理が注目されるのと同じ感覚だと思う。
その後、もっとも肉に近しい植物性食品として大豆が注目されるようになる。
代替肉として製品化したのは実はごく最近で2013年のこと。
改良に改良を重ね、現在ではかなり肉に近い食感や味わいのところまで来ているとのこと。
日本の市場も広がりを見せ、2017年と2019年にはそれぞれググっと成長が起こっている。
大豆ミートのメリットとは
大豆ミートを選択するメリットは健康面や食性によるものに留まらない。
環境に優しい
牛や豚などの家畜を買うのには、まず土地を作らなければならない。そしてもちろん育てなければならないので、相応の環境的コストや餌・資源も必要となる。
また、特に牛から放出されるメタンガスは温室効果が高く、現在地球から排出される温室効果ガスのうちの15%は家畜産業由来だとか。
体にも優しい
肉、特に加工肉を食べることで発症のリスクが高まる病気がある。例えば心臓病や糖尿病など。代替肉によって、これらのリスクは抑えることが出来るだろう。
また、大豆由来の栄養素――たんぱく質、イソフラボン、ビタミンB群、カルシウム、カリウム、鉄分などなどが摂取できる。
動物にも優しい
家畜を頂くという事は命ある動物を頂くという事。屠殺の必要が無くなる事で心が休まる人も居るだろう。
この辺は個人の考え方や思想によるものが強いので、深く言及はしない。
大豆ミートの得意分野と不得意分野
大豆のサイズから考えてもらえば想像は付くと思うけど、ミンチや細切れ肉のような食感を得意とする。
逆にステーキ肉のようなものはまだまだリアリティに欠ける。要は最初から塊になっている肉の再現は苦手とする。
ただし、その特性を活かした分野の代替肉としては、おおよそそれなりに高い水準まで完成されている。
例えば、ハンバーガーのパティ、ソーセージ類。この辺の繊維が細かくされた食感の食品はアメリカでは既に浸透しつつある。
ベジタリアンだけじゃない
昔はこういった植物性原料のみを使用した食べ物はベジタリアンや宗教者が利用するものだったし、そういうイメージが海外でも強かった。
しかし、今では味や食感を大きく損なうことなくヘルシーに味わえるようになってきているので、ベジタリアンやヴィーガン以外の人たちでも代替肉をチョイスする人が増えてきている。
また、代替肉と通常の牛ミンチを混ぜたり、色々なニーズに合わせた開発も成されている。
日本での導入と広まりの兆し
実は日本でもじわじわと実験的な導入が繰り返されていることはご存知だろうか。
去年には都内の一部のコンビニで期間限定でソイミートバーガーが販売された。
また、大手精肉メーカー「伊藤ハム」も大豆ミートを使ったカツや肉団子、ソーセージをリリース。これまた大手の「日本ハム」も"ナチュミート"という大豆などを使用したハムやソーセージを発売。
この2社が流れを汲んでいるという意味合いは大きい。どんどんここから広まっていく事も考えられる。
大豆ミートのデメリット
ただし、このまま一気に導入されるかというと、そうも言い切れない。
実はコストが高いのだ。大豆と肉の原価で比べれば、もちろん大豆の方が安い。しかし加工には技術が要るのだ。
他にも肉と比較したときの再現性や肉にしかない栄養素の面でのデメリット等もあるが、このコストのデメリットが大きな壁となっている。
このまま大豆ミートが浸透して世間の流れが後押しすればどんどん値下がりはして扱いやすくはなるものの、まだまだ市場に安定して出すにはちょっとお高め。
コンビニが続々とリリース
ここに来てファミマとローソンが大豆ミートを使用した新商品を発売。
ファミマが扱うのは「大豆のお肉!7種野菜のビビンバ丼」。
ローソンでは「もち麦入 生姜とDAIZU MEATそぼろのおにぎり」「DAIZU MEATかつのバーガー」等が出て、現在もこの2種は販売中だ。
各社様子を見つつ、今後の展開を考えていく…という流れになりそう。セブンイレブンでもお惣菜などにたまに大豆ミートを使ったものをリリースしている。現行品では「お豆と大豆ミートのトマトスープ」というものを見つけた。
大豆ミートの可能性
僕は肉が大好きである。
しかし大豆ミートが完全に肉と同等の食感・満足感であれば、別に大豆でも構わない。
一昔前に食べた時は「全く肉とは別物だな」との感想を持ったけども、食品テクノロジーの進化は目覚ましい。現在はどうかは分からない。
現に、魚肉加工製品をホタテやカニ身、あるいはウナギに擬態させるのはかなりの水準まで進んでいる。
代替食品は化学、テクノロジーの塊である。常に進歩し続けている。
…というわけで機会があれば食べてみたいと思う。気になるし。
きっとまたブログにも書くはず。