いかなごという小魚が居る。
いかなご、きびなご、しらす、白魚…などなど小魚は多種多様であるが、そのうちの一種である。
いかなごと言うのは関西で知られる名前で、全国的には小女子(こおなご,こうなご)と呼ばれる。
なお、いかなごの由来として「如何なる魚の子かが分からない」ので"いかなご"となった、という説もある。
鮮度の落ちやすい魚のため、基本的には煮上げたり炒ったりと何かしらの加工されて流通する。獲れたての鮮度ならば生で食べられない事も無いが、いわゆる漁師グルメの類いである。
一般的には小さいサイズの方が珍重され、大型になると価値と知名度が大幅に下がる。
いかなごの水揚げは関西の春の風物詩である。
大阪湾では春の限られた時期のみの漁となる。春の訪れを告げる魚でもある。
しかし大阪湾では2017年には漁獲量がガクッと減少。
現在でもかなり厳しく解禁と終漁時期を定めていて、いかなごの保全や安定した漁獲を担保している。
他地域でも漁獲のある港もあるが、乱獲等の影響で禁漁地区・禁止漁法もある。一見数の多い水産資源だが、だからこそ増減が肌で感じづらいのだ。
現地の人々のたゆまぬ努力により、いかなごの安定した供給は保たれている。
今回のお取り寄せ品
いかなごのくぎ煮
今回はそんないかなごの伝統的な加工品である「くぎ煮」をお取り寄せ。
いわゆる佃煮だが、くぎ煮というのは伍魚福の登録商標である。
佃煮として加工した形が釘のように見える事からその名となった。
甘辛く炊いたいかなごのくぎ煮は伍魚福の存在する神戸の地のソウルフード。家庭の味とも呼べる佃煮で、お酒のつまみやご飯のお供として親しまれる。
各家庭で作ったりもするようなので、きっと家庭の味というものもあるのだろう。
前述の通り、いかなごの漁獲高は下がっている。
今年の新物もかなり数量が制限されていた。じきに売り切れとなるだろう。
今年は3月6日より漁が解禁、そしてもう既に終漁している。そんな獲れたてのいかなごのくぎ煮をお取り寄せした。
お取り寄せしてみる
限定出荷である希少なくぎ煮。
凝ったパッケージではなく、シンプルで無駄を削いだ包装。
「新物」のシール。獲れたての証である。
漁港の人たちが守り続けているもの、そして貴重な海の命が詰まっている。
大事に頂かないと、と改めて気が引き締まる。
これは佃煮の特性上仕方が無い事ではあるけども、袋からすべてを出し切るのは非常に難しい。
しかし折角の新物。横をハサミ等で切り開いて余すことなく密閉容器へと移した。
食べてみる
飴細工のようなタレを纏った、繊細な仕立てである。
クタクタにはなっておらず、ピンと硬く煮上げられている。
獲れたその日に煮上げるそうで、なんと手作業で作られている。
崩れも無い美しい仕上げ。技が光る。
食べてみると、安心するような優しい味わい。佃煮なので味は濃いめではあるが、どこかまろやかで優しい。
甘過ぎず、辛過ぎず、味も濃過ぎず薄過ぎず。砂糖、醤油、みりん、少量の生姜によるシンプルな味わい。保存料等も入っておらず、本当にシンプル。
そんなシンプルないかなごのくぎ煮は、もちろんご飯の最高の友となる。
炊き立てのご飯がスルスルと消えていく。本当にいくらでも食べれちゃう。
くぎ煮にクドさも無いのでどんどん食べれるのがポイント。
新物の購入はまだギリギリ間に合う。
今しか味わえない春の風物詩を招き入れるのも、一つの春の楽しみ方かもしれない。
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