タッキー&翼が解散した。
この約15年も続いたジャニーズグループは、僕がジャニーズというものを何か認知したころには既に存在していた。
とはいえ、僕が知っている曲はヒットチャートくらいのものだし、生で見たことも無いし、テレビ自体そこまでたくさん見ない上にそもそもあまりバラエティーに出るアイドルでもなかったので画面越しにお目にかかることも少ないし…というくらいの認知度で。そんな僕ですらもタッキー&翼の解散を知ったときはショックだった。
理由は様々あれど、解散ライブも無しに即日――というか事後報告での解散発表だった。
そのニュースは瞬く間にネットで広がり、ファンの悲しむ声で溢れた。
ジャニーズ事務所も事務所でこれが最善策だったのだろう。きっと。
全ての状況から判断し、ファンが悲しんだり批判することも承知の上でこうするしか出来なかったんだろう、と僕は信じている。
最後に姿は見たい
ちょうどホットニュースとしてタッキー&翼の件が出てきていたので取り上げたが、別に今回の記事でタッキー&翼を責める気も無いし、先に述べたように事務所サイドとしても最良の道を選択したものだと思っている。
さて、そこまでの規模といかずともバンドの解散やアイドルの解散も多い。毎日どこかで生物が生まれ死にゆくのと同じように、毎日どこかでバンドが結成されては解散していく。
しかし"解散"によせて、「最後に姿を見たい」と思う事は自然な流れなんじゃないかと思う。
もしかするともう表舞台には姿を見せず今生の別れとなる可能性だってゼロじゃないともなれば、尚の事。
単純に「最後のステージが見たい」というものが多いとは思うけども、「最後の声が聞きたい」とか「姿だけでも見たい」とかもある。もっと他にも理由はあるかもしれない。
いずれにしても、今まで見ていたファンの立場としては"自分の中に区切りを付ける"という意味でも最後の場は必要なんじゃないかと考える。最後なのは悲しいけど、「最後に見れて良かった」とは絶対に思えるはず。
タッキー&翼もネットの声を見る限り、可能ならば最後の舞台を用意していただきたかった。が、それは叶わなかった。僕としては唯一その点が心残り。
枕が長くなってしまったが、本題へと入ろうと思う。
解散を人に委ねるな
大小さまざまなグループが解散している昨今では、「動員が少なくて解散」という例がたまにある。
この言葉の何と後味の悪い事か。ずっと苦い味のガムでも噛んでるような気分になる。
そんな事を言われてもその"動員"であったファンには何も出来ないし、ヘタすると何かファンが悪いかのように捉える人だって出ると思う。
確かに動員の問題は大きい。順調そうなバンドでも実際は真面目に働きながらバンド活動をしている人がほとんどで、駆け出しのバンドなんかは死活問題だと思う。
とはいえ、それを第一の理由として掲げてしまったらば身も蓋も無い。そりゃあ金策は重要な問題だけども、だからといって、解散を人のせいにしないでほしい。
解散の責任は自分たちの内部にあるべきであって、外部にその責任を求めてはいけない。倒産する会社が「顧客が少ないせいで倒産しました」って宣ったとして、じゃあそれを聞いた我々はどうすれば良かったのかという話である。
ファンやリスナーはそこに責任を感じる必要は無い。簡単な話で、それ以前にまず"バンドに魅力が無かった"とか"プロモーションが弱かった"とか"曲がダサかった"とかの原因が絶対にあるはず。ああ、書いていてとてつもなく耳が痛い。
かつて流行った「◎◎人集まらないと解散」の類いなんて最たるもので、結果失敗して「達成できなかったので解散します」というバンドも見てきたけども、果たして誰が得をするというのか。
せいぜいプロデューサーが話題性や引火目的で仕掛けるんだとは思うんだけど、それももう見慣れた火種となってしまったので今となっては効果は薄い。
そんなの完全にファンを動員の数値としてしか見ていないから、イヤに企業的な色を感じてしまう。簡単に言えば「最後になるのは嫌だから見に行くか」という層を煽ることにより解散ライブと同等の動員を見込む物…ということで、戦略としては一応スジも通ってるんだけどもね。
まとめ
これらの「◎◎人集まらないと解散」とか動員目標とかは、見えない部分でやるべきであって公にすべきデータではない。
居酒屋へ入って、メニューに売上予算が書いてあって「達成しなければ閉店!」って書いてあって誰が良い気分になるだろうか。
同情から多く注文する人、潰れてしまえと無視する人、自分が閉店の片棒を担ぐのは嫌だと責任を感じてしまう人。誰も得していない。
もちろんこれらの数値は成長のためには必要であるし、視認しやすいスケールとはなり得る。けども、公開したり焚き付けたりする道具では無いんじゃないかな。
引き際くらい自分の手で、そして言い訳せずに去りたいもの。
解散を人に委ねるな。だって誰も得をしないから。