ねこらぼ( 'ω')

名古屋でこそこそと活動っぽいことをしている橋本ねこのブログ( 'ω')

9/2 我、君に咲き誇るを見に行ったよ、の巻

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「我、君に咲き誇る」というアコースティックユニットが居る。

Vo./Gt.の山さん(山本悠介)とCj.のムラセヒロキチ(村瀬弘樹)からなる2ピースのユニット。構成としてはよくある感じで、弾き語り+リズム楽器のカホンのスタイル。

メロディ・ハーモニー・リズムの3要素をそれぞれボーカル・ギター・カホンで担い、ちょうどいいバランス。

 

先に述べた通り、アコースティックとしてはよくある構成なんだけど、山さんが独特でね。楽曲にメロディラインというものがあまりない。厳密にはあるんだけど、サビで口ずさみやすいメロが付いているくらいでAメロとかはどちらかというと文字通り「語る」ような歌い方をする。

だから歌詞がストレートに響くのかもね。パワー感もある。

 

メロディが美しいと、歌詞よりもそちらに耳や意識は行ってしまう。

もちろんメロディが美しいのも重要な要素だけど、例えば路上ライブとかで初めて演奏を耳にするような人が多い環境ならば"いかに歌詞をストレートに届けるか"も大事な要素となりうる。

ワンパンで人の心をノックアウト出来るかどうか。その点では豪華なアレンジはもしかすると場合によっては邪魔にすらなってしまうのかもしれない。そういう点では「我、君に咲き誇る」はとてつもなく攻撃力の高いユニットだと僕は思っている。

 

 

 

昨日はそんな「我、君に咲き誇る」からカホンのムラセヒロキチが脱退する日。

「最後だし、他の予定よりも優先して見に行くかぁー」って思った次第。「バンドや演者側が”最後”を公表した方が良いのか否か」はたびたび議論されるけども、僕は公開した方がオーディエンスには優しいと思ってる。

だって場合によっては人生で二度と逢う事が無くなってしまう可能性だって孕んでるわけじゃん。その心の切り替えをするためのセレモニーは可能な限り用意した方が良いように僕は思う。開催を一人でも望むならば猶更ね。

まぁ僕はヒロキチには嫌でも会う機会はまだまだあるんだけどさ。それでも「我、君に咲き誇る」としてのムラセヒロキチを見るのは最後になるわけで。もしも最後だと知らなかったら僕は他の予定を優先していただろうし、脱退したあとに「えぇ、知ってたら見に行ってたよ…」ってなると思う。

"最後を告知する"というのは一人でも多くの人に目に焼き付けてもらう意味でも大事だし、お客さんの中でそれぞれの区切りを付けるためにも必要だと僕は考えてる。

 

 

場所は新栄のsunset BLUE。

行くのは初めて。階段を下った先にある、アコースティック向きな落ち着く広さのハコ。

内装はモロッコ調*1だそうで。ヴィクトリア様式*2っぽいなーって思ってたけど、そこまで華美じゃないというかゴテゴテしてなくて。

デザインの専門家に言わせてしまえばどちらも違うのかもしれないけど、そこを深く追及したところで野暮なもの。いずれにせよ、ライブスペースとしてはかなり落ち着ける空間となっております。

 

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音環境はかなり良く、没入感は高い。

落ちサビなんかでも歌い手の声がダイレクトに、でもうるさすぎず自然に響くような。

味付けは塩コショウのみって感じで、あたかもマイクを通す前の音をそのまま響かせたような音が楽しめます。これはかなり良い。

 

しいて言うならば生ピアノがメンテナンス不足感があったかなぁ…まぁピアノは業者を入れないと調律も難しいしねぇ。

最近の電子ピアノのピアノ音ってすっごいリアルになってきてて、その音って完全にチューンアップされた環境での最高の音を参考にして作られてるわけで。だから多くの人が無意識に最高に近いピアノの響きを体感していることが多い。

生ピアノを聴いたときに「あれ…?」って感じるならば大方メンテナンスの不足だと思うのね。あとはマイクのポジションや置き方にもよるけど、基本的には電子ピアノよりも生ピアノの方が音はリッチなはず。

本体のコンディションや部屋鳴り等も全部整った時、ピアノは最高に沁みる音を出す。せっかくハコとして音の環境が整っていたので、もっと生ピアノのポテンシャルは活かしてあげられそうだなぁーと思った。

 

 

ともあれ、出演した4組のアーティストはどれも優れたアーティストたちでして。

生演奏をあのリスニング環境で、しかもトークまでついてきて。贅沢な時間だな、と。

僕はチケットの値段以上の価値をしっかりと感じる事が出来ました。

 

ギターを片手に歌う人なんて星の数ほど居る。

そこから印象に残ったり頭一つ抜きんでるならば、何かしらの「+α」が必要になる。

テクニックだったり、歌詞の内容だったり、声のクセだったり、トークの面白さだったり、顔面偏差値だったり…どれがキーになるかは分かんないけども。

昨日の人たちは明確にその+αを持っているような感じがして、飽きる事なく楽しめました。

 

 

 

そして「我、君に咲き誇る」は新たな一歩を踏み出した。

しんみりするわけでもなく、ただ一つの通過点として。

 

またそのうち見に行こう。

どこかで、誰かのために咲き誇ってるところを。

*1:ヨーロッパとアジアの双方の影響を受けた内装様式

*2:イギリス発祥の様式だが、様々な文化を吸収しているので表す幅は広い。代表的な様式はシックな色使いと上品さの両立