ねこらぼ( 'ω')

名古屋でこそこそと活動っぽいことをしている橋本ねこのブログ( 'ω')

やっぱりパティシエって変態だな、と


パティシエと言えば、小学生女児の憧れの職業の花形である。

女児向けアニメや雑貨ではケーキをはじめとしたスイーツがキラキラと描かれ、味も見た目も言う事無し。それらを自分が作ってみたい、と思うのは極めて自然なことである。

子供向けの知育菓子や簡単に作れるキャラクターモノのお菓子キットもあったりして、まぁだいたいの面倒な工程は親がやらされるのだが、子供はますますお菓子作りに興味が湧いていく。

 

しかし徐々に大人になっていくと分かる。

パティシエというのは非常に力の要る作業だ、と。ある人は想い人へ手作り菓子を作るときに泡だて器をシャカシャカとやりながらそう思うなどするだろう。

また、ある人はお菓子に入れる湯水のようなバターや砂場の砂のようにザラザラ使う砂糖の量に驚嘆し、ある者は「買った方が楽だし早くね?おいしいし」と悟る。

作れば作るほどゴールは果てしなく遠ざかっていくような感覚に苛まれ、パティシエの道は先細り、見えなかった部分もだんだんと見えてくる。

現場は長時間労働、パワハラ、鬱陶しい上司(ただし実績はある)、脱落していく仲間たち。道なき道、諦めた者たちの屍を超えて、初めてパティシエになれる――パティシエとは、そんな血生臭い仕事である。

(※一部脚色を含む)

 

まぁそこまでの険道を超えると、人ってどうしても普通じゃなくなる。

というか普通の人が渡れない道を超えた時点で普通では無いし、もっと言えば普通の人が通らない道を選んだ時点で普通では無い。

だってご丁寧に「この先、危険!」って書いてあるのに歩いてきたんでしょ?本能的に避けるべきものを避けていないの、怖くない?

 

そんな怖いパティシエが生み出す珠玉の甘味。

なんて旨さだ、ちょっと真似してみるか。と手を出したのが、先日作ったテリーヌショコラとなる。

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作って思った事として、まず凝るべき部分集中すべき部分が多すぎる。

「ここで失敗したら水の泡だから」みたいなポイントがごろごろと出てくる。

一つ一つの工程に細かく意味合いがあり、ちょっと楽すると仕上がりにモロに影響が及ぶようなものが多い。

普通の料理のように「焦がさないように気を付ける」みたいな単発ではなく、「温度が上がり過ぎたら分離するからダメ」「温度が下がり過ぎたら固まるからダメ」「混ぜ過ぎると泡立つからダメ」「混ぜなさすぎると乳化しないからダメ」とか。

ゆっくり時間をかけないとダメだったりスピード勝負だったり、とにかく腕をガシャガシャ動かさなきゃいけなかったり、空気が入らないようにすごくゆっくり垂らさなければならなかったり。

 

これは完全に向き/不向きが分かれる。今回のテリーヌショコラは比較的楽な部類だと思うが、これでさえ失敗する人は普通に失敗するだろうし、こだわるべきポイントもものすごく多かった。

更に言えば、今回紹介したレシピでも随分と端折っている。プロはもっと凝っている。まぁでもそこまで凝るともう買った方が早いし旨いので。

 

 

やっぱりパティシエは変態だよ。

怒られそうだけど、うん、やっぱり変態だよ。パティシエ。