頭を触るとアイディアが出る気がする。
これは僕自身がシャワーを浴びながらシャンプーをし、髪をカシャカシャと洗いながら頭をマッサージすると思考が活性化されるという経験則による。
§1
これ、気のせいではなく、ちゃんと理由がある。
いわゆる頭皮マッサージの類いを行うと、頭部の血行が良くなる。つまり脳への血流が増える。
脳への血流が増えれば、血液量が増加する。血液量が増えれば、血液が運ぶ酸素や栄養も脳へと行き渡る。
これにより脳がスッキリする感覚が得られる、というロジックだ。
正しい方法での頭皮マッサージは薄毛予防にも良いらしいし、ぜひ。
ただし強くやり過ぎたりすると逆にかゆみが出たり傷がついたりしてしまう。何事も適度が大事。
というわけで、頭をマッサージするとアイディアが浮かぶというのは本当。
何度シャワーを浴びながら作曲したことか。浴室で出来た曲はすごい多いと思う。突飛なアイディアやグッズの売り方やそういうアレコレも浴室でだいたい思い付く。僕にとって浴室は大事な空間だ。湯船につかるのはあまりしないけど。
§2
先日、ヘアサロンに髪を切らせに行ったとき、新たな気付きがあった。
まぁ髪を切られながらだいたい寝てるんだけど、切り終わった後なりカラーの後なりにシャンプーをするじゃない?
この時がすごいのだ。
基本的にリラックスしきっていて寝てるので考え事はしないのだが、敢えてシャンプー中に色々考え事をしてみた。
すると、捗る捗る。なんだこれ。すごい。
一つの物事に対して多方面から様々な見方が出来る。すごい。
「…ぃですか?」
なんか声まで聞こえてきた。
「かゆいところはない、ですか?」
「…ふ、ぁい!」
ハッとする。自分の世界に入り過ぎていた僕は、自分が考えていた声量よりややデカめボイスで返事をしてしまう。地味に恥ずかしい。
授業中にうたた寝していたら先生に急に指名されたときの気分を思い出した。ちょっとバッド。
まぁそれくらいゾーンに入れるということで。
同じく頭皮をマッサージされるヘッドスパ等でもシャンプーと同等の効果が得られたが、危うく「アロマオイルの香り、どうですか?嫌いじゃないですか?」という話を聞き飛ばすところだった。
§3
自分で触るより他人に触られた方が効果的であると思っている。
なぜなら自分で触る場合、脳のリソースのうちの幾許かを頭皮マッサージの作業に割くことになるからだ。そうなると100%全集中で考えごとをすることは出来ない。
手を動かし次にどこをマッサージするかを考えるのが例え無意識下であろうと、脳のリソース消費は防げない。
その点、他人がこれを請け負ってくれるのであれば、自分自身は考え事のみに想いを巡らせることが出来る。
そこは自分だけの理想郷(ユートピア)。もう誰も邪魔するものはいない。邪魔するものと言えばお湯加減の確認や痒いところが無いかの質問くらいである。
これを何とか自宅で再現したい。フルオート頭皮マッサージマシンとか無いのか。
世界は広いので絶対同じ思考を持っている奴はいるはずだし、これを何とか実現へと漕ぎ着けようとする変質者だっているはずだ。
――と思って検索してみるが、意外と見つからない。
手で持って行うようなものは電動も手動も見つかるが、そうじゃない。
もっとこうヘアカラー中に頭に熱を加えるアレみたいな大がかりなやつを所望なのだ。
探しているとヘッドギアのようなものが見つかった。
が、こちらはこちらで説明文が怪しすぎる。「気楽に朝まで眠るが出来る!画期的頭皮!」は?なんて?
何かいいマッサージマシン、ないかねぇ。マッサージマシンの迷いの森へと足を踏み入れるのだった。
脳の活性化は気持ちいいからね。癖になってるんだと思う。