ドロドリの楽曲公開もいよいよ最終回。
楽曲公開についての概要はこちら。
考察記事のバックナンバーはこちら。
第4回となる今回は「綺麗事」。
こちらは分かりやすく歌謡曲っぽいロックになっていると思う。
綺麗事――中心軸の強調と補強
「綺麗事」の存在によって中心軸を強調・補強した。
ドロドリの楽曲は「平行線」「あるものねだり」「Eustoma」とあるけども、ドロドリの多面性を出した楽曲が多い。
共通した歌謡曲のようなテイストがありつつも、どれも個性的である。
そんな中、個人的には「平行線」がドロドリの主軸だとは思っているのだけど、「綺麗事」にはそれを補強する目的もある。
綺麗事と平行線は割と似通ったポイントを多めに作った。どちらも歌謡曲感を押し出した。
似た曲がある事によって、ドロドリの方向性――つまり中心軸が定まった様なイメージが出せる。と思ってる。
要は綺麗事は「ドロドリってこんな音楽をやってるよ」というイメージの補強をするためのポジションにあるのだ。
綺麗事のアレンジ
歌謡曲感を踏襲しつつ、平行線に寄せる。ただし平行線との差異を出すように意識はする。
このバランスは案外難しく、その人のセンスが問われたり問われなかったり表れたり表れなかったりする。
まぁ感覚で「えいっ」ってやってみたら案外なんとかなるもんだと思う。
使用楽器について
使用楽器はバンドらしさを出しているように聞こえるけども、基本的には他の曲とは変わらない。
ストリングスのセクションとホーンのセクションをメインとして、キーボード、ベース、ドラム。リードパートでは珍しくギターを使用。
ストリングスは2人、1人、1人の構成。ホーンはアルトとテナーのサックスにトランペットとトロンボーンを合わせて。
キーボードはピアノとオルガンを。ピアノはアクセント、オルガンはコード感の補強に。
ベースはロックバンドのグイグイ動く人風のフレージング。ドラムも割とロック寄り。
全曲を通してそうだけど、ベースやドラムなどのいわゆるリズム隊にロックのエッセンスを残しているため、古臭すぎない響きとなっている。
裏を返せば、ドラムとベースによって一気に楽曲に歳を取らせる事が出来る。
ソロではギターの音とアコーディオンの音を。どちらも楽曲中での出番はここだけだ。あえて全般で使うことなくソロのみの出演とした。
コードワークについて
コードはドロドリの楽曲の中でもっとも素直。
サビ等の進行は
F#m―――B―――E―――A―――
D#m7-5―G#―――C#m――C#――
となり、いわゆる循環コードってやつ。上に4度ずつ増えるだけ。あとはキーに合わせてメジャーになったりマイナーになったり。
G#はⅢなので本来はG#mとなるが、曲の響きによってどちらにするかを決める。直前のⅦm7-5の内包する響きにも左右される。G#とG#mの音の違いは構成音のひとつがCになるかBになるかの差。
この場合は前のD#m7-5が次の音としてCを求めているように感じたので、G#にした。なお、G#にした方がクドさが増す。ちょっとドロッとするというか。
Aメロは
A―――G#―――C#m――――――――
の繰り返し。
こちらも本来G#mとなるところをG#としている。ネバネバ感が増す。
歌詞について
歌詞は分かりやすく、特に裏の意味も無い。
ちょっとした昼ドラみたいなバックグラウンドを想像しつつ仕上げた。
歌詞は一番と二番で関連する繰り返しが出てきたりする。
そういうのを見るのも楽しいかも。
そういえば、僕としては珍しく歌詞とアレンジを連動させている箇所がある。
1番の最後に「雨が隠す」という歌詞があり、その後のギターのソロのセクションは雨を感じるような仕上げとした。
僕の楽曲は歌詞が先な事も曲が先な事もあるけども、基本的には同時。ただ、このようにピンポイントでリアルタイムに歌詞に寄せるのは珍しい。
案件として歌詞が先にある場合はアレンジを寄せる事があるけども、自分ですべてを仕上げている場合に於いては割と珍しいかもしれない。
歌詞がストレートな分、ひとつのストーリーとして途切れることなく楽しめると思う。
実際の所、ドロドリの楽曲としても一番クセが無いのかもしれない。