前に書いたVocal Riderの記事で、「フェーダーをコントロールさせてDAW上に書き出す事が出来る」という話をした。
実際にDAW上に読み込むのにはちょっとコツがいる。それはDAWの種類ごとに変わるのだけど、ここではPro Tools上でのやり方を紹介する。
Vocal Riderを起動・調整
まずはVocal Riderをうまく動作するように調節する。
詳しい手順はこちら。
調整が終わったらプラグイン下部のオートメーションのモードを"Write"にしておく。
[プラグイン] オートメーション情報を送る準備をする
プラグインの上部にオートメーションの設定を開くウィンドウマーク(SAFEの上のアイコン)があるので、そちらをクリック。
すると別ウィンドウが開く。
ウィンドウの左側の列には「動かす事の出来るパラメーターの一覧」が。
この中で、中央のフェーダーを表すパラメーターは「Rider Fader」。これを選択し、ウィンドウ中央の「追加>>」を選択。
これで「Rider Fader」が右列へ移動。準備完了だ。右下のOKを押して戻る。
[DAW] オートメーションを受け取る準備をする
編集ウィンドウのそれぞれのトラックにはデフォルトでは波形が並ぶようになっている。
トラックごとの左下にある"▶"マークを押すと、トラックのすぐ下にパラメータを表示させることが出来る。最初は"ボリューム"が表示されるけども、その横の"▼"を押して「Rider Fader」を指定する。
先ほどのプラグイン上で右列へ移動させたパラメーターが選択肢として表示されるようになる。
右列へ「Rider Fader」を移動させておいたので、表示されるようになっている。
しかしこのままだとリアルタイムでグラフが動いてくれるわけではない。
トラックメニューの"read"と表示されている横の"▼"を押すと、モードを選択できるようになる。
ここで"latch"を選択すると、プラグインに主導権を渡してコントロールさせることができるようになる。
これでDAW側も準備完了だ。
再生をして書き出す
あとは再生してみる。
すると、プラグインのフェーダーの動きに合わせてDAW上の動きも変化するはず。
赤いグラフで上書きされていく。
設定を変更して再び再生すると、最新のものに上書きされる。
ちゃんと反映されたら"latch"を"read"に戻しておくと、上書きされずに現在のグラフがそのまま保持される。
書き出したものを読み取る
あとは、プラグイン上の"Write"にしたオートメーションモードを"Read"に変えることで、DAW上のグラフの動きを参照するようになる。
Vocal Riderはゼロレイテンシーなので、このままでも十分。
しかし、DAW上のフェーダーの動きへとコピーしてVocal Riderに依存せずに動作させることも出来る。
コピーしたいグラフの部分で全選択(もしくはコピーしたい動きの部分だけ選択しても良い)。
その後、右クリック(Win)でメニューを出して特殊コピー⇒プラグインオートメーションを選択。これでこのグラフのみの情報をコピーできる。
この後、例えば同トラックの"ボリューム"部分へ貼り付けるとDAW上のフェーダーが作動するようになる。
この"ボリューム"に貼り付けるとして、こちらを全選択(もしくは貼り付けを開始したい場所を指定)して右クリック、特殊ペースト⇒現在のオートメーションの種類へを選択。
これでRider Faderと同じパラメーターがボリューム上にも反映、実際のDAWのフェーダーが動くようになる。
ProTools上のDAWのフェーダーはポストフェーダー、つまり全てのプラグインを通ったあとの音量調整ということになる。
よって、ここからさらに調整したいときにはAUXトラックを立ち上げて、そちらへ出力してプラグインを挿していくのが良い。
あまりDAW上で特殊コピーや特殊ペーストを使う機会は多くないかもしれないけど、覚えると意外と便利で痒い所に手が届くようになる。