ねこらぼ( 'ω')

名古屋でこそこそと活動っぽいことをしている橋本ねこのブログ( 'ω')

【SR】焼酎「紅乃はるか」をいただく

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私も南九州人の末裔として、芋焼酎は水のように飲む。

――と言いたいところだが、実は焼酎はそこまで好んで飲まない酒カテゴリーだったりする。

 

南九州――特に鹿児島県、宮崎県は焼酎の名産地である。

恵まれた水、土地、そして原料であるサツマイモ。

 

 

 

芋焼酎と南九州

鹿児島・宮崎で酒と言ったら芋焼酎である。

一杯目のビールを終えたら焼酎。一杯目から焼酎な事もある。

 

芋焼酎というものは、他の原材料の焼酎――つまり麦焼酎や米焼酎に比べて香りが強い。

サツマイモらしい甘くてほろりとした香ばしさのようなものも感じる事が出来る上、メーカーによって差が大きくて飲み比べるのも楽しい。

まぁ、その強い特徴的な香りが「酒臭くて苦手」と言われて嫌われることも多い。確かに決して取っ付きやすくはない。

芋焼酎とお湯割り

南九州で焼酎を飲むときは、基本的にお湯割り一択だ。

ロックや水割りは少数派、むしろ拘りのある人の飲み方とされる。

ただし、お湯割りは香りが大きく開くため、それこそ香りが苦手な人にはオススメ出来る飲み方ではない。

 

お湯割りを作るときは、必ずお湯から注がねばならない。

もし焼酎から先に注げば、一発で「余所者」だとバレるだろう。

お湯から先に注ぐことでグラスを温める効果もあり、更に焼酎とお湯も混ざりやすくなるため、理に適っている。

芋焼酎と歴史

16世紀には既に国内で製造されていたとする文献がある。

一方、日本酒(清酒、和酒)ははるか昔より文献があるため、焼酎は酒の中では比較的歴史が浅いと言える。

 

日本酒の原料は米であるからにして、米どころで発達した。

しかし稲作に不向きな地域では日本酒よりも焼酎が造られることになる。南九州地域も火山灰による泥炭が多かったため、稲作には不向き。

そんな南九州だが、18世紀になるとサツマイモの栽培が盛んになり、芋焼酎の黎明となった。

 

その後、改良は進む。

日本酒と同じコウジカビ――いわゆる黄麹での焼酎造りはうまく行かず、沖縄の泡盛を参考にした黒麹を使用する事にする。これが功を奏し、黒麹が浸透したのは明治時代である。

大正時代には白麹も発見、培養された。現在は黒麹、白麹、改良された黄麹が使用される。

現在のように焼酎造りが安定したのは、意外と最近の事なのだ。ここ100年以内くらいの話である。

 

焼酎を味わう

南九州ではお湯割りが絶対的だが、水割り、ロック、ストレート、ソーダ割り、と実に多彩な楽しみ方が出来る。

基本的には温度が高くなればなるほど香りが強く出るため、香りや味わいを抑えたいならばロックや水割り等の低温で。

温度が高くなって初めて感じられる香りの要素もある。そういったものを感じ取りたいときは、ぜひともお湯割りで。

ストレートは純粋な味わいを楽しめるが、焼酎のアルコール度数は高めなことが多い。あまりオススメは出来ない。

 

 

「紅乃はるか」について

「紅乃はるか」は芋焼酎。

名前から連想できる通り、サツマイモの紅はるかを使用している。

 

紅はるか、というサツマイモ

いわゆる蜜芋タイプのサツマイモで、とても甘みが強い。

甘味が強いながらホクホクとした食感も併せ持ち、同じく蜜芋だがネットリ系である安納芋などとはまた違う感覚の味わい。

 

そんな焼き芋にしてもおいしい紅はるかを贅沢に使用したのが、紅乃はるかである。

 

造り手、原口酒造について

紅乃はるかの造り手は原口酒造。1890年より鹿児島県日置市に構える酒造業だ。

2004年には農業生産法人も取得していて、自社農園で原料のサツマイモの有機栽培も行っているという拘りよう。

 

紅乃はるかはキャッチ―なデザインとネーミングだが、原口酒造の造る看板商品「西海の薫」はゴリゴリに力強い本格芋焼酎。

そうそう、焼酎って女性で飲む方が恐ろしく少ないんだそう。日本酒は愛飲される方も増えてきたけど、そういった点でも紅乃はるかのような親しみやすいデザインは良いのかもしれない。

 

スペック

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「紅乃はるか」は芋焼酎。原材料の芋は鹿児島県産紅はるかを100%使用。

多くの焼酎はアルコール度数を25%にして出荷している中、紅乃はるかのアルコール度数は36%とかなり高い。

麹は国産米の米麹を使用している。

 

分類上、本格焼酎と呼ばれるもので、乙類焼酎にあたる。甲類と乙類は製法によって区分される。乙類は素材の風味がしっかりと豊かに醸されている特徴がある。

この甲類と乙類は、決して甲>乙の関係ではない。製法1号、製法2号みたいなもので、単に分類上の名称だ。

 

 

飲んでみる

ラベルはマンガ調でフレンドリー。

焼酎といえば筆のようなタッチで荒々しい無骨な文字が刻まれたものが多かったが、そういったものはどうしても取っ付きづらい。まるで一見お断りのような印象すらある。

しかしこれだけフレンドリーだと「ちょっと飲んでみようかな」という気にもなるかもしれない。

 

注ぐときからそのまろやかさが分かるよう。

水よりも若干のとろみが感じられるような。

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今回はロックでいただく。オススメがロックだったし、じゃあそのオススメの飲み方で飲んでやろうという事で。

 

香りは本当に華やか。芋焼酎としてはかなり強い方。

 

飲んでみると、ブワっと溢れる蜜芋の甘さ。

焼酎の香りだけじゃなくて、ちゃんと味も蜜芋。砂糖が添加されているんじゃないかってくらいの甘さ。

甘いものが苦手な人にはちょっと不向きかも。ってくらい甘い。

 

その後、こっくりとしたコクが広がり、芋焼酎らしい余韻がほどよく残る。 後味がしつこ過ぎないのは意外だった。

最初の一撃が強いので、テール*1ももっと長いかと思いきや、スッと流れていく。

 

充分な甘みのせいかおかげか、アルコール度数が36度なのを感じづらい。普通に25度くらいだと思っちゃう。

 

ロックで味わうときは十分に氷と馴染ませる。

冷やす目的もあるし、溶け出た水と馴染ませる事で開く香りもある。

徐々に水分量が増えていき、度数が下がる。度数が下がるごとに口当たりはまろやかになり、奥深くの味が感じやすくなる。

 

ラベルからしてライト層向けだと思っていたけど、中身は想像以上にしっかりと作り込まれている。

甘さだけじゃなく、ちゃんと焼酎として楽しめるどっしりとした作り。芋の選別や蒸留も抜かりないように思える。

僕はあまり焼酎は飲まないが、所縁のある土地の出であるため上質な芋焼酎には人より多く触れてきた。そんな僕でも、素直においしいと思える芋焼酎だ。

 

マリアージュは…どうだろう、ちょっと甘みが強いせいか食事とは合わせにくいかもしれない。あられとかせんべいとかが良いかも。

 

 

こういった焼酎は「芋焼酎が苦手」って人の突破口になるかもしれない。

世間には焼き芋焼酎、紫芋焼酎なんかもある。色々な味を比べながら自分に合った焼酎を探すのも、また一興だ。

*1:後味、余韻