キリンのストロング系缶チューハイ、絶好調である。味がはちゃめちゃなスパンで発売されている。
今回出たのはシークヮーサーサワー。個人的にはシークヮーサーって夏っぽさと秋っぽさを同時に感じるようなイメージの味なんだな。
シークヮーサーって馴染みがあるようで意外と無い…そんな不思議な果物。
そんな知っているようであまり知らないシークヮーサーに触れつつ、キリンの新作「シークヮーサーサワー」を頂いてみる。
シークヮーサーについて
そもそもシークヮーサーって何さ
シークヮーサーが柑橘類って事はなんとなく分かる。味も分かる。しかし実物は見たことが無い。ゆえに大きさも分からない。
もちろんスーパーで並んでいるところも見たことが無い。業務用スーパーなら場所によっては売ってる…のかな、どうなんでしょう。
とりあえず僕は果実としては見たことが無い。実は空想上の果物でした、って言われてもギリギリ受け入れられるかもしれない。
さて、大方の予想通り、シークヮーサーは柑橘類の果物である。
ミカン科の常緑低木。沖縄及びその界隈、台湾等の温暖な気候の地域に自生。
こちらがシークヮーサー。小さめのミカン、って感じのフォルム。
別名「ヒラミレモン」とも呼ばれる。確かに味わいはミカンよりもレモンっぽい。もっと言うならば味も見た目もスダチに近い。
葉も柑橘系特有のツヤっとした若干厚みのある葉。
ミカンやレモンと違って皮も薄めで、本当にスダチに近い。ただし、スダチとシークヮーサーはしっかりと別種としてカウントされている*1。
旬と味
実はシークヮーサーの旬は年に数回ある。厳密には"旬"というよりも収穫期が年に数度ある、という感じ。そして、その時々の実の成熟度によって用途も変わる。
夏の終わりから初秋にかけて、つまり丁度今くらいに収穫されるシークヮーサーはまだ色付いていなくて緑色。瑞々しく若い味。酸味も強い。
調味料として、もしくは調味料と混ぜて利用されることが多い。ポン酢、醤油と混ぜたり、酢の物に入れたり。
一般的にイメージされる色や酸っぱさはこのあたりだと思う。
冬が近づくと徐々に色付き、甘みが出てくる。このあたりだとジュースにしてもとげとげしくない味で飲みやすい。かつ酸味や個性もある。名産地沖縄ではジュース・スカッシュなんかにしたりして愛飲されている。
年の暮れ~年明けに収穫すると、もう見た目はすっかりミカン。
糖度も充分にあり、味わいもミカンに近くなる。正確な"旬"という意味ではこの辺の季節が該当する。
名前について
名前の由来
僕としては現地の人に「この果物は何ですか?」って聞いたときに「"シークヮー"、さー」って答えられて「シークヮーサー」だと思い込んだ、という説が面白いし推したかったのだけど、どうやら違うみたいで。
沖縄の方言で、シーは"酢"や"酸"等のすっぱいもの、クヮーサーは"食わせるもの"となり、シークヮーサー(=酢(酸)を食わせるもの)となったらしい。
表記
シークヮーサーの表記は色々ある。シークワーサーだったりシークァーサーだったり。ネイティブ沖縄人の発音に基づく表記なので、この辺はユラユラしている。
どれを使っても間違いでは無いんだけど、一応日本果汁協会が"シークヮーサー"を標準としていて、食品標準成分表の表記もこれ。ただしJASと農林水産省の表記では"シイクワシャー"である。
本ブログでも統一して前者の表記とする。そして今回のキリンのサワーでも前者の"シークヮーサー"の表記を用いている。日本果汁協会への忖度。
キリンのザ・ストロング
冒頭でも言った通り、割とすさまじいスパンで新作がリリースされている。
全く他人事ながら、ちょっとどことなく落ち着かないような不安になる速度。
2020年4月にリニューアルして発売を開始。それまでも取扱いはあったが、パッケージを刷新し、一部の味に関しては中身もリニューアル。
最初はレモンサワー、ドライサワー、コーラサワー、ホワイトサワー、グレープサワーの5種からスタート。5種類でも充分な種類。
その後、5月にパイナップルサワー、7月にはラムネサワー、そして8月にシークヮーサーサワーがリリース。9月にも豊潤レモンサワーの販売が決まっている。
売上も絶好調らしく、この夏は製造予定数を本来の数より9割増させたという。つまり約2倍だ。ヤバい。
そんな売上もストロングなサワー、実際に僕も今までに数種類を飲んでみたけども、どれも確かに飲みやすい。ストロング系にありがちなスース―するようなケミカルなクセが無く、非常に口当たりもスムース。
僕の中でのストロング系のイメージは、完全に味を犠牲にしたサワーでさっさと低価格でキマりたい人が摂取するものだと思っていた。なおかつ使われるアルコールは低クオリティで悪酔いもしやすい、みたいな。
しかしその予想を裏切ってくれた。実際、最初の4月のリニューアル直後は僕は敢えて手を出さなかったし、5月にレモンサワーを飲んだ時は別段良い感想は持たなかった。でも、その後7月に出たラムネサワーを飲んでからちょっと考えが変わった。あれ、意外と味が良い――と、まんまと引き込まれてしまった。
さて、今回のシークヮーサーはいかに。
買ってみる
コンビニやスーパー、ドラッグストアなどで簡単に買える。
国によっては簡単にアルコールが手に入らない地域だってあるし、アメリカにだって路上で飲酒をしたら警察にしょっぴかれる州だってある。お花見をしながら酒が飲める国、日本って最高。
無果汁なので、酸味料・香料・エキス・甘味料で味わいを表現する事になる。
糖類ゼロ、プリン体ゼロなので「工業的なサワーだな」というファーストインプレッションはある。
飲んでみる
開けると確かなシークヮーサーの香り。レモンやライムでは出せない香りだ。
飲んでみると瑞々しいフレッシュ感と、爽快な刺激。9%らしからぬ後味に、ついついグビグビと飲んでしまいそうになる。
ストロング系サワーにありがちで、尚且つイメージとして浸透していた"ツンとした飲み口"と"スース―し過ぎるキレ"。これらがもてはやされる時代はもう終わりを迎えたと勝手に思っている。
完全にストロング系を牽引している。キリンの本気感をバシバシ感じる。
果実のリアルさはほぼ無い。ぼんやりとシークヮーサーが焦点が合わないような感じで出てくる。何サワーかと問われれば確かにシークヮーサーではあるけども。
その分、料理とのペアリングはしやすい。リアル志向のチューハイは意外と料理に合わせづらいのでね。
料理とのペアリング
せっかくなので、料理と合わせてみる。
そのスダチのような柑橘感を活かして、焼き魚がベスト。特に脂の乗った魚は相性抜群だ。
というわけで、セブンイレブンのさばの塩焼きを合わせる。
レンジにぶち込んで待つだけで最高のさばの塩焼きが味わえる。グリルを汚すことなくメンタルを満たせる。
脂でも注入したのか、ってくらいの脂乗り。そういえば昔はお肉に和牛の脂を注入して風味を増す技術が横行して問題になったこともある。まぁその手法は今もあるし、それ自体にはあまり問題は無いけども。
しかし、こちらのさばの塩焼き。原材料は「鯖」「食塩」――以上。強い。
そんな最強の脂乗りの鯖とシークヮーサーサワーの相性は抜群。
口の中に残る旨みの強い鯖の脂とシークヮーサーサワーが混ざる瞬間が何とも言えない。
鯖以外にもサンマ、ししゃも、焼き鮭、魚の干物なんかも良いかも。
刺身にもマッチしそう。
まとめ
しかし度数は9%なので、アルコールに弱い人は注意されたし。
*1:スダチは"Citrus sudachi"、シークヮーサーは"Citrus depressa"。