居酒屋の〆。
麺類、ご飯もの…と、だいたい炭水化物が並んでいるわけです。
なんか食べたくなる派、お酒を飲むと欠かせない派、飲んでなくても食べちゃう派、何ならいきなり〆を食べちゃう派…と様々でしょう。
未成年の頃は「〆が食べたくなる」という気持ちが分からなかった。
ただ、例えば会席コースなんかならば、焼き物や揚げ物が来て最後に飯物が来る流れは知っていたし、フレンチもイタリアンでもメイン料理の後にパスタなりリゾットなりが来ることが多い。
なので、まず僕の中では「コース料理は〆として炭水化物がスタンバイしているもの」という認識が出来上がった。
(ここから先は基本的に日本食の話として考える。)
なぜ"ごはん"が最後なのか
特にお酒を飲まない人は思うはず。
揚げ物や焼き物と一緒に掻っ込む白米…最高じゃないですか。それをなぜ、コースの最後に食べねばならぬのか。
しかもコースの最後に出てくるのが雑炊や味のあるご飯じゃなく白米だった場合は尚の事そう思うかもしれない。お酒を飲む僕でもそう思う。
なぜ最後なのか。それは順番を逆にしてみると分かる。
〆から食べてみる
さて、居酒屋で〆から食べた事はあるでしょうか。
それを試した事がある人は意外と多くないのかもしれない。
僕は居酒屋で〆のリストから先に攻めてみた事がある。
そこはよく行く居酒屋で、飲み食いしたらだいたい一人3000円を超えるくらいのお店だ。
〆から頼む――つまり、鶏雑炊や焼きおにぎり、お茶漬けあたりを最初に注文する。なんだかちょっと不思議な感覚だ。
それらから食べると、なんとそれだけで満足してしまう。
その後、1品くらいしか食べなかった記憶がある。お酒もそこそこに、お会計をすると一人1600円程度で収まっている。なんというコスパ。
一緒に行った友人も満腹なようだったので、これで2人分のデータが取れた。
これは同じお店で、同じ友人と試してみた結果である。
そう、〆から食べると満腹になるのが早くなるのだ。
つまり、ごはんを先に出してしまうとコースの後半戦が苦しくなってしまう。なので炭水化物系はなるべく最後の方に出てくるようになっている、と考えられる。
コース料理の順番
会社やサークル、学校の飲み会や何やらで居酒屋のコースの料理に触れる機会は多いと思う。
まぁだいたい先付やら前菜が出て、刺身、焼き物、蒸し物、揚げ物…と進み、飯物が出てくる流れ。
ここで〆を先に持ってきてしまうときっと蒸し物あたりで満腹だろう。揚げ物はおいしく味わえないかもしれない。
おいしく味わえるための順序でもあるのだ。
そもそもの話をしてしまえば、会席料理等はお酒に合わせたコースである事が多く、どうしてもお酒とマッチングしながら進めていく形を取る事となるのだ。
そして、お酒を飲む事によって食欲増進効果が出る。コースによっては出てくる"食前酒"にはそういった効果もある。
科学的にも根拠がある、〆が最後の理由
これらの会席料理は歴史が古いからにして、経験則から順序や内容が成り立っていったものと考えられる。
しかし、ちゃんと〆が最後である理由、そして〆を最後に欲してしまう理由も科学的に説明が出来る。
お酒を飲んでアルコールを摂取すると、肝臓が頑張って分解するのはご存知の通り。
しかし肝臓も何も無しでは頑張れない。ブドウ糖やビタミンB1あたりを使って頑張る。
つまりお酒を飲むとこの辺の栄養素が不足する。簡単に言えば血糖値が下がる。
そうすると体としては血糖値を上げてもらわないとマズい。よって空腹の指令を出す。
これが基本的な飲酒による食欲増進の流れ。
前述の通り、肝臓はブドウ糖を使う。炭水化物を分解するとブドウ糖になる。つまり、ここで〆である。お酒を飲んでしばらくすると自然と炭水化物を欲するように出来ているのである。
このタイミングがちょうどコースの〆頃、という。
〆のラーメンはなぜあんなに美味しいのか
コースの〆があったのに、その後ラーメンに行きたがるタイプのデブ人もいる。
もう一旦炭水化物を挟んだのに、何故なのか。
そもそも論として、ラーメンが美味しいというのがある。というか、それが結構デカい。
というのも「ラーメン=美味しい」が脳内に刷り込まれていないとラーメンは欲しないからだ。
ラーメンがおいしい理由は旨みだったり脂だったりと色々ある。僕の中では「熱した油は旨い」という理論がある。
さらに、飲んだあとに肝臓が必要とする物質の中の一つにはイノシン酸というものがある。
これはうまみ成分と呼ばれるもので、ラーメンにも含まれている事が多い。
そしてラーメンの塩分にも関係する。特にビールを飲む人はナトリウムが不足するので、ラーメンの塩分はうってつけ。
確かに、よくよく考えるとビール好きなやつって〆にラーメン食べたがりな感じがする。
これ、完璧に理に適っているという事になる。
(ただし体には最高に良くない)
〆に何を食べる?
そう、ラーメンはおいしいけど、遅い時間に食べるラーメンなんて毒薬みたいなもの。おいしいから尚の事タチが悪い。深夜のラーメン最高。
実際、一杯食べるだけ*1で一日の塩分量をぶっちぎりでオーバーするし、脂質も気になる。もちろん炭水化物量も多過ぎる。
でもなんかちょっと炭水化物は入れておきたい…。でもラーメンはちょっと…。
というあなたに新たな選択肢。
伏見駅直通の伏見地下街にあるハンサムバーガー。
伏見で飲んだ帰りに地下へと入って地下鉄の改札をくぐる前にサッと寄る事が出来る有能なハンバーガー屋さんだ。ハンサムぅ。
いや、ハンバーガーとか重いじゃん…。
そんな声も聞こえるけども、ラーメンよりは幾分か罪悪感が少ないような気もする。
ハンバーガーはひとつ550円。チーズバーガーは100円プラスされて650円。
ドリンクとポテトのセットは880円。あれ…良心的…?
こういうアメリカンダイナー系のバーガーとしてはかなり安い。もちろんラーメン一杯より全然安い。
野菜飛び出てる。
ハンバーガー(¥550-)はレタス、オニオン、トマトの3種の野菜と、パティ。とてもシンプル。
パティがちょっと独特で、ひき肉を整形せずに焼いている。つまり、ハンバーグの形を成していない。ディッシャーで掬ったひき肉を鉄板で焼き、それをバンズへオン。
味付けはオーロラソースのような味わいのソースがバンズに塗られている。
テキパキとした手つきで5分ほどで完成するバーガーは、アメリカンダイナーでありながらファーストフード的。
店内のイートインスペースも椅子は無く、立ち食いスタイルである。
なお、持ち帰りも出来る。
僕の横のサラリーマンも「これからの時代、〆はハンバーガーだな」と宣っていた。
その方がこれからの時勢の何を知っているのかはさて置き、僕も横で「ああ、確かにな」と思ってしまったのだった。
*1:スープを飲み干した場合