天ぷらのお店。最近増えてきております。
なんでだろう…ブーム…?でも無さそうだし…。
オペレーションと出店ペースには関係がある
例えばノウハウがあまり必要無かったりや出店コストが低く抑える事が出来る業種の場合、出店はかなりスピーディーで。
油そばの「歌志軒」は他のラーメン屋と比べて、出店速度が速い。スープを作るための大きな寸胴が必要無いため、拡大が楽なのだ。メニューも絞っているので、キッチンも広くなくて良い。
「いきなり!ステーキ」も立ち食いなので店舗面積は少なくすることが出来る。例えばブロンコビリーの店内と比較してもらえれば一目瞭然。そもそも狙っているターゲット層も違う。
タピオカ屋が劇的に増えたのも、テイクアウトのみならば店舗面積がわずかで営業できる上にコストも安いのが理由。ブームになったときに周りの業態も飛びつきやすかったのだ。
対して、天ぷら。
割とノウハウの必要な料理、熟練の必要な料理だと思っている。シンプルな分、奥が深い。寿司や焼き鳥に似ていて難しい。
天ぷらのチェーン店「KITSUNE」が結構な勢いで新店を出している。よって、天ぷらでも店舗拡大のコツか何かがあるのかもしれない。簡単じゃないと思ってたんだけどなぁ。聞くところによるとオペレーションの質を保ちながらの簡略化に成功したらしい。何それ知りたい。
天ぷらという和食
天ぷらは高温で揚げる事で一気に素材の水分を奪い、旨味を引き出す料理。
揚げ過ぎれば脱水し切ってしまい旨みもどこかへ。しかし揚げなさ過ぎれば、モノによっては危険ですし。
最近は薄衣でレア気味に揚げるのがトレンドではありますが、すべてのタネに対して等しく薄衣が良いかというと決してそういうわけでもなく。
野菜の鮮やかな色を引き出すならば、衣が厚いのは勿体ない。とは言っても必ずしも厚過ぎる衣が悪いわけではありません。カボチャやエビがまとう大きく弾けたような衣も魅力的だしね。
ともあれ、適度が良いわけです。
揚げ過ぎず、揚げなさ過ぎず。衣も薄過ぎず、厚過ぎず。
天ぷらは完成後に中身を切って火の通りを確かめたり味見をしたり出来ません。同時に味見用の物を一つ揚げているなら別だけど…。
熟練、経験、勘…そして、あんまりこの言葉で片付けたくは無いけどセンスが必要になる。あとは集中力と真面目さ。こだわりも必要。いやもう大体全部じゃん。
天ぷらとレモンサワー…?
天ぷらにレモンサワーの取り合わせ。最近ちょこちょことそういうお店を見かけないわけでは無いけども、イマイチ相性が想像できない。
フライには合う。唐揚げにも合う。油モノやコッテリした料理にはレモンサワーの炭酸とフレッシュな味わいはマッチする。
レモンサワーが天ぷらの余計な油を流してくれる効果は期待できるけども、天ぷらの繊細な仕事をぶち壊してしまいそうで怖い。
ともあれ、まったく天ぷらとレモンサワーが合わないわけでは無いので、悪手とは思えない。天ぷら料理にだってレモンが添えられていることもあるし、「レモン塩」なるものだってある。
百聞は一見にしかず。そして考えるより実際に行動した方が早い。早速この組み合わせを紐解いてみる。
行ってみる
場所は名駅。駅の東――金時計側より出て、そのまま伏見方面へと歩いていく。3ブロックほどで着くのでさほど遠くはない。
こちらのビルの2階。周りには居酒屋があり、色々な選択肢がある。同ビルにも他の飲食店が入ったりしている。
そんな中で、今年10月にオープンしたのがこちら、「天ぷらとレモンサワー ぱちぱち屋」。
名前の通り、天ぷらとレモンサワーが推し。「ぱちぱち屋」の表記の横には「888」との語呂の数字。レモンサワーや天ぷらの弾ける音と8のダブルミーンだと思われる。
値段も288円、388円、488円…と、にまつわるものが多い。
串は野菜モノが一本88円からとリーズナブル。
飲み放題が120分で888円なのもお得。 2杯程度で元が取れてしまう上に時間も充分にあるので、たくさん飲む方はこちら。
店内はオープンしてまだ数ヶ月だから綺麗。カウンター席とテーブル席があり、奥の方にも座席が。結構店舗は広そう。
綺麗な内装だが、暖かみがあり居心地が良い。くつろげる居酒屋、って感じ。
見た感じ個室は無さげで、席ごとの仕切りも無く開放的で明るい。
調理場内には二人。手際よく調理を進め、その様子はカウンター席から見る事も出来る。
食べてみる
天ぷら各種単品とおまかせ盛り合わせ10種、そして逸品物や季節のメニューなんかも。今だと「のどぐろの天ぷら」なんてものも。
通常の居酒屋のようなメニューが並んでるのは、複数人で行った時も安心。(えぇ…天ぷらしかないじゃん…)ってなったりするとアレじゃない。
焼き鳥屋、天ぷら屋、蕎麦屋、寿司屋…こういう専門的な料理をメインに据えているお店はどの程度まで居酒屋に寄っているかがキーになったりもするイメージ。立地や客層に応じて柔軟にする必要もあるだろうし、軸をブレさせないために貫くのもアリだとは思う。決断は難しい。
レモンサワーはひとつ注文するとレモンがスクイーザーに2つ付いてくる。
これを10個積むと1杯サービス。つまり5杯飲んだら1杯無料となる。
飲み放題にするとレモンは積めないので注意されたし。その分、充分お得だけども。
明太キュウリ(¥388-)
揚げ物が来るまではお通しとアテをつまむ。頼んだのは明太キュウリ。切ったキュウリの横に明太が添えられているだけなのだが、大衆居酒屋のようで良い。
いたって普通の明太子ときゅうり。アテとしてこれを頼んだのにはもう一つ狙いが。
卓上には天ぷら用に塩がスタンバイ。左からピンクソルト、わさび塩、柚子塩。
それぞれをきゅうりにつけてみて、味わいを確かめる。
岩塩はおそらくパキスタンのピンクソルトだと思うけども、まろやかで強い味。少量を付ける事で、素材の旨味をギュッと引き出してくれる。個人的に肉によく合う塩だと思ってる。
わさび塩はほんのりとわさびの風味。後味にわさび由来の甘みがフワッと抜ける。わさびの辛さはほとんど感じられない。相性のいい料理としては、本来わさびを付ける料理――それこそ刺身や赤身肉なんかにマッチする。
柚子塩は柚子の香りが上品に香る。魚料理、特に寿司や刺身は引き立ててくれる。料理の隠し味にも使える。素材そのものに繊細な風味がある場合には向かない。
本日のおまかせ10種盛(¥888-)
ひとネタ88円~って事を考えると完全にお得な盛り合わせ。わいわいシェアするも良し。
とりあえずここから始めて、足りないメニューをオーダーするスタイルに。
アテをつまんでいると到着。
おまかせ10種盛りの中身はこんな感じ。
- エビ…異なる調理法で2尾
- キス
- イカ
- たまねぎ
- レンコン
- グリーンアスパラ
- ししとう
- ベビーコーン
- アボカド
天つゆも天ぷらとともに卓上へ。スリムな保温ビンに入れられていて、適温。熱すぎると衣が天つゆを吸い過ぎるし、かといって冷たすぎると揚げたての天ぷらを冷ましてしまう。
こちらの天つゆか、もしくは先ほどの塩などにつけていただく。
さて、ここでシャープな目線を向けるのはナンセンス。
居酒屋ですし、おいしく楽しければそれで良い。
あくまで支払っている対価と見合うかどうかで判断する事。あとは、「自分が何をしに来ているか」を考える事。僕は別に飲食店の批評家では無いですし。
単純に僕の趣味として「色々なお店に入って食べたり飲んだりする」というものがあるだけ。これはその備忘録のようなもの。
――という目線で行きましょう。
アボカドとイカは絶妙な揚げ具合。エビの旨味も抜けずに残ってる。
おしゃれぶって塩で行きたいところだけど、天つゆの味が大好きでして。天つゆに浸した衣の味が大好きなので、エビとかじゃぶじゃぶに付けてしまいたい。
衣はここ最近のトレンドから比較すれば分厚めと言える。いわゆる鶏天レベルのもこもことまではいかないものの、しっかりと衣をまとっている。エビの赤と野菜の緑は見えるが、それ以外の色は衣に覆われている。衣が分厚いぶん、尚の事天つゆと相性が良いように感じる。
本鮪の天ぷら(¥688-)
おすすめの中に大プッシュされていた本鮪の天ぷら。
カナッペ風、との事で変わり種のような天ぷらのよう。
しばし待って、到着。
揚げた海苔の上に本鮪が。その上には大根おろしとポン酢、そして茎わさび。
「味が付いていますので、このまま食べてください」と言われたので、このまま。
旨みが三位一体。海苔の香ばしさが良い仕事をしていたので、意外と海苔が重要。
普通に刺身を頂くよりも満足度は高いかも。見た目も面白いし高級感もあるしね。
レモンサワーとの相性は?
肝心のレモンサワーとの相性について。
先述の通り、衣はやや厚め。天つゆの吸いも良い。
薄衣の天ぷらは塩でいただいて日本酒か何かを飲むのが良いかもしれないが、衣が厚めだとしっかりと「揚げ物」としての存在感を感じる。
そうなってくるとレモンサワーの「余計な油を落とす」役割にはマッチするのかもしれない。
事実、一つ一つの天ぷらの味わいは毎回クリアに感じた。
まとめ
天ぷら居酒屋の進撃はまだまだ続いていきそうな予感。
リーズナブルな価格は本当に魅力的。お得な飲み放題とバラエティに富んだ揚げ物を、ぜひ。
ショップデータ
天ぷらとレモンサワー ぱちぱち屋
営業時間
16:00~27:00
定休日
不定休
住所
愛知県名古屋市中村区名駅4-24-26 名駅K-2ビル 2F
駐車場
無し
メニュー(抜粋)
・天ぷら 本日のおまかせ10種盛…¥888-
・本鮪の天ぷら…¥688-
・飲み放題(120分)…¥888-
※税抜
※本記事の内容は2019年12月現在のものです。