KURANDの酒ガチャで出たSSR、「あいね」。
スパークリング日本酒だ。
最近だとスパークリングの日本酒は甘口なタイプが増えてきている。
澪やピアノ、すず音あたり。いや、もちろん好きだしおいしいし日本酒への導入としても良いと思うんだけど、何というか画一的と言うか。
個人的にはその辺はZIMAかスミノフとかみたいなポジション。日本酒という枠なんだけど、ちょっとカジュアル。
そんなイメージを良い意味でぶち壊してくれたのが、この「あいね」だった。
「あいね」について
あいねは日本酒。純米大吟醸酒だ。
味わいは淡麗辛口。つまりドライ。
度数は13.5%と、日本酒としてはちょっと低め。
日本酒度*1は+3。
酸度*21.6%。平均値に近い。
アミノ酸度*3は1.1%。
日本酒の種類について
日本酒というと、本醸造やら吟醸やらいろいろな種類がある。
なんとなーく「吟醸、大吟醸と進むにつれ高価になる」くらいの知識しかない人がほとんどだと思う。
詳しい知識は専門的な解説に任せるとして、ざっくり2つの要素がカギとなる。
醸造アルコールを入れるか、入れないか
日本酒を作る過程で、米、米麹、水だけで作った日本酒を「純米酒」と言う。
米以外の材料から作られた醸造アルコールが入ると「純米」とは付かなくなる。「普通酒」「本醸造」などはこちら。
しかし、だからと言って必ずしも純米酒が本醸造酒よりも優れているというわけでも無い。好みによる。
缶チューハイだって、色々混ぜてある方が飲みやすかったりおいしかったりするでしょ?そういうもの。
精米歩合で名前が変わる
「磨き」とも表現される精米歩合(せいまいぶあい)。
酒用の米を削っていき、その比率が高ければ高いほど大層な名前が付く。
吟醸酒は60%以下、つまり元の4割以上を削る。大吟醸酒ともなると50%以下、つまり元の半分以下になるまで米を磨く。
通常の食用米は精米歩合90%程度。そこから考えると、日本酒用の米がいかに多く削っているかが分かる。
米を磨く事で、雑味が無くなる。輪郭がしっかりとし、香り立ちも良くなる。
しかし雑味≒旨みなこともあり、磨けば磨くほど良いのかといえば必ずしもそうではない。
ただし、基本的にはパーセントが下がれば下がるほど手間が掛かるため、価格は吊り上がる。これが、本醸造よりも吟醸酒、吟醸酒よりも大吟醸酒が高い理由だ。
純米大吟醸、あいね
つまり、あいねは「純米酒」であり「大吟醸酒」である。
愛知県奥三河の酒米「夢山水」を40%まで磨いた大吟醸。
愛知県の日本酒と言えば蓬莱泉のイメージが強いが、あいねは同じ愛知県西尾市の尊王蔵元 山崎が手掛ける。
尊王蔵元 山崎では酒米「夢山水」を使った日本酒を多く扱う。
様々な磨き率、製法での日本酒を取り扱い、最高まで磨いた「清酒 夢山水二割二分 奥 純米大吟醸原酒」は720mlの4合瓶で7,216円だ。
そのノウハウを活かし、夢山水40%の磨き、そして少量の滓を混ぜる事で瓶内発酵を導きスパークリング日本酒に仕立てたのが「あいね」である。
飲んでみる
あいねを開栓。シュッと小気味の良い音を立てる。
ふんわり香るのは澪などと同じような華やかな香り。
お米からこんな香りがするのか、ってくらいのキラキラした香り。
日本酒って言うと、酒臭いというかオッサン臭いようなイメージを持つ人もいるかもしれない。
でも、こういった純米のスパークリングはエレガントな匂いがする。少なくとも臭いとは思わない。
グラスに注ぐときには弾ける泡の音が楽しめる。
炭酸飲料のような強いガス感は見受けられないけども、しっかり発泡している。
口に含む直前までずっとキラキラとした華やかな香りが漂う。
米の華が咲くよう、とでも言おうか。
もう一つの驚きはその後すぐに訪れた。
口に流れ込むと、思った以上にドライだ。
さすが淡麗辛口と書いてあっただけの事はある。
もっと甘ったるい感じかと思ってたから、一気に平手打ちでも食わされたよう。
大吟醸らしい、重心がどっしりとした味わい。
それはまるで夏祭りで見かけた高嶺の花のような。
どことなく幼い印象もあるのに、しっかりと凛とした部分も持ち合わせる――そんな印象。
ペアリング
キレもあり、炭酸感もあるので、ちょっとこってりとした日本料理に合わせたい。
個人的ベストマッチ予測は天ぷら。特に海老天は最高だろう。天ぷらの味付けはぜひ塩でいきたい。
そこから派生して、鶏のから揚げやフライものにも合うだろう。
口の中の油とマリアージュして、旨みへと昇華させてくれるはずだ。それはやがて、悦びへと変わる。
生酒だから早めに頂かなきゃ。生酒は酵母が生きているから弾むような味わいが楽しめる。
しかし、その旬はあまりにも短い。若い"現在"を走り抜ける、少女から大人の女性へと変わっていく過程を感じるような日本酒だった。