なか卯という外食チェーンがある。
吉野家やすき家には劣るが、売上は牛丼業界4位だ。
吉野家やすき家に比べると、なか卯は独特な立ち位置に存在する。
その辺を探りつつ、今回の海鮮丼を食べてみる
なか卯について
なか卯は、すき家を運営するゼンショーホールディングスが運営元である。
しかし、もともとはゼンショーの子会社ではなく、最初は玉堀建物株式会社による飲食業態だった。
その後、モスと資本提携をしていたり双日株式会社の子会社だったり…と転々とし、ゼンショーによる株式公開買付、株式交換により完全子会社となった。
なか卯の名前
なか卯の"なか"は創業者の名前から、"卯"はうどんの"う"を縁起の良い"卯"へと変えたもの。
そう、実はうどん屋として始まったなか卯。今もその名残りは健在で、現在の売りである「丼ぶりと京風うどん」からも分かるように、主力商品の一角を担う。
なか卯の歴史
うどん屋として1号店を出したのは1969年のこと。その後、牛丼を扱ったのは1974年。1988年にはモスと資本業務提携を結び、平成に入ると関東進出も果たす。
2000年代には牛丼チェーン界隈の熾烈な値下げ競争が始まる。なか卯も追いかけ、一時牛丼の価格は400円から280円へと下がった。
2004年には牛丼業界全体に激震が走る。アメリカでのBSEの発生である。
なか卯は主要チェーン内で最も早く米国産牛肉の使用を停止。2006年に多くの牛丼チェーンが米国産牛肉の使用を再開した時も、すき家とともに慎重な姿勢を見せた。
2005年にゼンショーがなか卯を連結子会社とし、2010年には完全子会社化。
現在まで続く「和風牛丼」やCMキャラクターとなっている水樹奈々氏の起用も、この後の出来事となる。
なか卯の特徴
他の牛丼チェーンとは一味違う丼もの、創業当時の思いを引き継いだ京風うどん。この2つがメインとなる。
他の牛丼チェーンよりも海鮮系の丼ものや一風変わったこだわりを持つものが多く、味わいも一風変わったものが多い。うどんをサイドメニューに留めていない点からもこだわりが垣間見える。
行ってみる
なか卯は全国に461店舗、愛知県内に34の店舗がある。
また、名古屋市内には15の店舗がある。
お目当ては新発売の「海鮮丼」。寿司酢をきかせたご飯の上に錦糸卵、きざみ海苔、4種の海鮮具材を乗せた丼もの。
価格は690円。どの程度のクオリティの海鮮なのか、気になるところ。
お店に到着、食券にて注文。
5分も待たないうちに海鮮丼が到着する。
丼ものの良い所のひとつに"スピード感"がある。
一昔前の本当に時間の無いビジネスマンにとって牛丼屋は大助かりなお店だったことだろう。
現在は働き方も多様化したけども、それでもこの速度にメリットを感じる人は少なくないだろう。
客層はどうしても男性の一人客が多い。これは牛丼屋の宿命とも言うべきか。
最近はSNSで松屋があれこれやってるらしいし、すき家もデザートや丼のサイズ展開を増やして女性客やファミリーも狙っている。そういえば吉野家もやたらヘルシーな丼ものをやってたりしたね。
各社の課題であり、埋めたいポイントでもあるよね…今後の動向を注目しております。
食べてみる
海鮮が意外と良い。期待値が低かったせいだろうか。
解凍しました感はあるものの、イカやマグロは食感も良い。
サーモンはどう扱っても劣化しづらいのでこういうチェーン店では非常に取り回しが良い。
甘海老は旨みが逃げていてやや残念だけども、存在感はある。
これらにわさび醤油をかけて頂くと、もう最高。
日本に生まれて良かった、と実感する瞬間のひとつに「日本由来の食事をいただいているとき」というものがある。今まさにそれ。
小葱、錦糸卵、刻み海苔は特筆すべき驚きこそないものの、欠かせない存在。
あるとないとじゃ全然違う。彩りの面でも、気分の面でも。
酢飯はおそらく炊いたご飯に後から調味料を混ぜて即席の酢飯にしたもの。
寿司酢の香りは穏やかだが、米全体が纏っているような酢飯感は無く、どことなく白米の域を出ていない。ある意味こちらの方が万人受けするとは言えるけども。
もちろん全店それぞれで酢飯を作っていたとしたら、それはもう恐るべき企業努力と現場負担。食品ロスも増えてしまうし、それは本意ではない。
そんな酢飯のことも、海鮮にちょっとした不満があったとしても、わさび醤油が全部をやさしく包み込んでくれる。
それを掻っ込めば、幸せの近道となる。幸せって身近に潜んでいるものだね。
まとめ
さすがに海沿い地域の海鮮のコスパで比べてしまうとビミョーなところ。
しかし街なかや内陸部等、どこでもこのクオリティの海鮮丼が食べる事が出来ると考えれば全然アリ。