ピアノトリオの動画、2020年3作目でございます。
しっとりとバラード、森七菜の「カエルノウタ」。
今回の楽曲
カエルノウタ/森七菜
映画の主題歌にもなった本曲は、落ち着いたバラード。
どことなく歌謡曲系のニュアンスが漂うのはメロディの構成音の妙。特にサビにはちょっとユーミンっぽさがあるというか、そのあたりの歌謡曲の構成に似ている。
作曲は小林武史氏。桑田佳祐氏のソロの編曲やMr.Childrenの初期~中期のプロデューサーとしてなじみがある。他にも女性アーティストや様々なバンド等を手掛ける。最近だと映画音楽の製作の方が有名かも。
そんな氏が映画音楽を手掛けた「ラストレター」の主題歌として、カエルノウタも書いている。
歌っている森七菜氏は映画「天気の子」にてブレイクした女優。ラストレターにも出演し、今回の主題歌にてメジャーデビューとなる。
作品と楽曲ががっちりとタッグを組み、なおかつ世界観もマッチしている。
デビュー手法としては王道なんだけど、最近だと一周回ってまたちょっと珍しいのかもしれない。
アレンジしてみた
【ピアノトリオアレンジ】カエルノウタ / 森七菜 (映画「ラストレター」主題歌)
しっとりとした、歌謡曲系のバラード。澄んだ醤油ラーメンのような安心感。ホッとする一杯。
Aメロ、Bメロ、サビ…と進行も王道。と思いきや、2番ではAメロとBメロだけでサビは無し。今までとは表情の違うセクションが現れて、ハッとさせられる。
もちろんそのまま2番もサビ有りで進行してその後に今までとちょっと違うセクションが現れて…という展開でも良いまとまりにはなる。ただし、このテンポでもう一度サビが出てくると曲の長さが30秒近くプラスされてしまう。ヒット曲の長さの平均値や全体の聴きやすさを考えると、この2番サビカットは効果的ともいえる。もちろん、意外性とかそういう面でもね。
そんな楽曲。基本土台はそのままにして、より没入感を出せるようなアレンジに仕上げました。
ドラム
ドラムは最後の最後までビートの中にスネアドラムの音を出し惜しみまくりました。
基本的にビートを構成しているのはクローズドリムショット。「カッ」って音のやつね。バスドラムとリムのみで静かにビートを紡ぐ。セクションのつなぎ目で盛り上がる…!と思いきやそのまま盛り上がりきらないで焦らす…みたいなのを最後のサビの終盤まで続けています。この爆発が良い。
中盤の表情の変わるセクションでは、実はスネアドラムを一切使っていません。でもビート感がある。新鮮でしょ?
ベース
ベースには土台に徹するシーンも然ることながら、場所によっては歌ってもらうようなフレーズを奏でたり。
ピアノだと手が足りない…みたいな部分を補ってくれたり、ピアノトリオに於けるベースの役割は楽器の多い音楽に比べると多い。
ピアノ
しっとりと、雨のように響かせることを意識しています。
普段よりも湿度の高い音の残し方をしていて、特にAメロやBメロで感じる事が出来るかと。
Aメロの左手ではコードに対して9度から8度へ下る音使いを。アルペジオ的には「Ⅰ→Ⅴ→Ⅸ→Ⅷ」。これがまた湿りを帯びた音となっている。
中盤のセクションではガラリと表情が変わり――
ちょっとピアノトリオらしさが出ているといえば出ている部分かも。ここはコードチェンジというか数小節ごとの転調が多く、かなり複雑で緻密な部分。一番苦労した場所でもあります。
YouTubeチャンネル
こちらから今までupしてきた弾いてみた動画(全23作)やオリジナル曲(全4作)を視聴することが出来ます。
暇つぶしやBGMとしてぜひぜひ。