オルゴールとしてアレンジした楽曲について解説する。
今週のBGM
11/14にupした動画がこちら。
新たに加えたのが「SOUVENIR」。BUMP OF CHICKENの曲だ。
SOUVENIR / BUMP OF CHICKEN
こちらがオフィシャルのMV。
souvenir(スーベニア)には、お土産・記念品という意味がある。
語源として「思い出す」という意味から派生しているため、記憶に残るようなもの・後から思い出すもの⇒お土産・記念品という意味合いになったとされる。
浮遊感のあるルート音
普通、コードを構成する3音ないし4音のうち、土台となる一番下の音がルート音と呼ばれる。また、ベースもその音を奏でる事でどっしりとした感じが出る。
裏を返せばベースがルート音から離れると浮遊感が出る。「ベースが歌っている」とも表現されることがあるが、ベース音⇒5度⇒3度⇒スケール内の音(2度・4度・7度など)⇒スケール外の音の順で土台から離れていくことになる。
このバランスはベーシストの腕に掛かっている。特に小節の変わり目はルート音を弾くのがセオリー。他の音から始めてみるテクニックもあるが、違和感が生まれるためその良し悪しの判別は人によって異なる。
というわけで、イントロから歌いまくっているベース。
これは他の楽器がGのコードを奏でている中、ベース音はA音から始まる。
コードに対して一度上のベース音を用いる手法は、ポップスを漁っていると見かける事がある。かなりの浮遊感を出す事が出来るため使用するシーンは限られるが、効果は高い。
小節頭をAの音で始めた後は、一応スケール内の音でやりくりしている。Aのすぐ次の音がGのコードの構成音のため、2音目ではコードにちょっと寄り添う形となる。この絶妙な距離感が不協和音にならないギリギリを攻めている。
1.5拍ずつでのブロック進行
Aメロからサビまでのリズム取りの中で特徴的な「ダダッ、ダダッ、ダダッ」という音の取り方。このダダッのひとつのブロックが1.5拍となる。ひとつの音が八分音符(=0.5拍)なので、3つ集まって1.5拍ずつのブロックとなる。
この曲は4/4拍子なので、1小節は四分音符(=1拍)が4つ。前述の1.5拍を3つ並べると、ちょっと飛び出てしまう。バスドラムがちょうど四分音符の間隔で鳴らされているが、他の楽器が前に行ったり後ろに下がったりするような感覚を覚える。
ベースとギター、そしてエレピがこの拍取りで進行するが、ドラムは基本的に他の楽器と揃えずに4/4拍子の進行を取る。
ドラムも合わせてしまうと、急ブレーキ&急発進みたいになってしまう。例えばサビに入る直前とかでは効果的だけど、常に揃えてしまうとちょっとクドさが出る。なので、ドラムはそのまま進行し、他の楽器で合わせるのがセオリー。
ベースはベースでドラムに合わせるも良し、更に独自のリズムを奏でるも良し、という感じ。この曲では割とギターやエレピなどの楽器に合わせている。
オルゴールに落とし込む
オルゴールにする上で「すべての音の強弱は一定」という制約がある。
まぁ別に強弱をつけても良いんだけど、それはもうオルゴールではなく「オルゴールの音のする何か」である。というわけで敢えてこの制約は守っている。
ボーカルで1楽器とすると、ベースとキーボードとギターで既に3楽器。ギターやキーボードは複数の音を同時に奏でる事もあるので、音の数はもっと増える。
なので、そのまま全てを盛り込むとボーカルは負けてしまう。
これを回避する手法がいくつかあるが、重要なのは「不要そうな音は間引く」である。
「この音が無くなると全体の雰囲気が変わっちゃうな」という柱となる音を見極め、それ以外の部分で調整を行っていく。
今回の曲はコードが特殊な部分も多く、音によっては重要な役割を果たしているものもちらほら。そういった音を見極めながらオルゴールとして編集していくこととなった。
あとがき
浮遊感もあり、疾走感もあり、そしてBUMP OF CHICKENらしさもあり。
意外と複雑な要素てんこ盛りな楽曲だった。