岩塩。
お肉をもっともシンプルに食べる事の出来る調味料だと思う。
【琴羽商店】
【前】
一応セオリーとして「肉料理には岩塩、魚料理には海水塩」というのがあります。
が、例えば肉料理に合う白ワインもあるようにセオリーにも例外はあるわけで。
一口に肉料理って言っても前菜の生ハムとメインディッシュのステーキでは全然話が違ってくる。前者は白ワインの方が合わせやすいし、後者はフルボディの赤ワインなんかを持って行った方がベターだと思われる。
なので肉料理だから岩塩、と決めつけるのはいささか早計である。
そもそも岩塩と海水塩の特徴としては、
【岩塩】
- 「旨み」を感じやすい
- 塩味は強め
- 最初に塩味と旨みのパンチがあり、まろやかな余韻が残る
【海水塩】
- 岩塩よりも角が無く、終始穏やかな味わい
- ミネラルが豊富
という感じ。とはいえどちらも海水由来なので、岩塩にしろ海水塩にしろミネラルが多ければ多いほどまろやかな味になる。
今回、牛肉のステーキを作るにあたっての僕の中での塩の候補は、
- ゲランド(海水塩)
- アルペンザルツ(岩塩)
- パキスタン塩(岩塩)
あたり。特にゲランドの塩は大好きで、肉でも魚でもとりあえずかければおいしくなるくらいのレベルで頻繁に使用しています。
アルペンザルツも割とメジャーな塩。パキスタン塩はいわゆるピンクソルト。
そんな中でチョイスしたのはパキスタン塩。つまり岩塩です。
クオリティの差が仕入先によって如実で面白いので。どこから仕入れるかによって、同じパキスタン塩なのに全然味が違うの。
その場でミル引きするかカット済みのものにするかは悩んだけども、ある程度粒感を残して加工してあるものをチョイスすることにしました。僕一人でオペレーションをすることを考えると、前述のわさびもすりおろしながら岩塩もミル引きしていくのは現実的じゃないな、と。
わさびはその場ですりおろしたものと予めすったものとは全然味や香りが違うので、その場ですりおろしたい。でも岩塩のミル引きによる差はぶっちゃけ分かりづらいかなと思います。だんだん酸化していくわけだけども、その差と効率を天秤にかけて妥協しました。
でも「なんか弱いなぁ…」とも感じていて。
岩塩。もちろんアリなんだけど、もうひとインパクト欲しいな、と思いまして。
イタリアから直輸入した黒トリュフを刻んで入れる事にしました。(実は黒トリュフに関してはフランス産が高級種で香りも全然違うのだけど、値段も全然違うので諦めました。)
とはいえトリュフって好き嫌いが分かれるので、隠し味程度に。予算的にもそんなたくさん使えないし…。
そんなわけで黒トリュフ×ピンクソルト。シンプルにお肉の旨味を引き立ててくれるので、ぜひお試しくださいませ。
【次】