ProToolsに限らないけどもDAWソフトは往々にしてトラブルや予期せぬエラーが起こる。
複雑な演算処理をしているから仕方ないっちゃ仕方ないんだけど、たまに見過ごせないエラーも起こるから厄介。
さて、今回はそんな見過ごせないエラーのうちの一つが発生し、解決に至ったので備忘録がてら記録しておく。
今回の内容は「ProTools内で発生したエラー」の話なので、ProTools以外のDAWを使っている人にはあんまり関係のない話だし、そもそもDTMをやってない人には無縁なブログ記事です。
ちなみにProToolsのバージョンは12。
エラー:マジックIDが一致しません
プロジェクト読み込み時にこんなメッセージが出る。
「OK」を選んでもプロジェクトの読み込みは完了しない。そのまま他のプロジェクトは読み込めるので、プロジェクトそのものに問題があると理解できる。
「マジックID」とは…?
例えばオーディオファイルには名前が付いているけども、たまたま同じ名前のファイルになったりもする。
ProTools上では問題なくどちらも置き換えなく使えるんだけど、これには実は見えないパラメータとして固有のランダムなIDが付けられている。これがマジックID。
その性質ゆえに基本的にはユーザーがマジックIDを編集することは出来ない。
意図的にいじくらない限りはマジックID関係のエラーが出る事自体無いはずなんだけども、まぁ運悪く出るときもあるという。
読み込みのエラー
プロジェクト読み込み時にはオーディオデータなどをパソコン上のどの場所にあるかをサーチして、すべてリンクして表示している。
「マジックIDが一致しない」とは、つまりこの検索の段階で何らかのエラーがあったと考えられる。
ちなみにオーディオデータの場所を移動させたとしてもプロジェクトの読み込みは可能で、元々参照していた場所からその移動先に再リンクすることもできる。
オーディオデータの移動とマジックIDは関係無いので、それはまた別の話。
解決の仕方
マジックID自体の書き換えが困難な以上、そのマジックIDを書き直して指定しなおす事は現実的ではない。
プロジェクトのフォルダ内部は以下のような構成になっている。
読み込んだオーディオデータの入っている「Audio Files」、
書き出したオーディオデータの入っている「Bounced Files」、
あとはまぁ色々とフォルダがあって、下から二番目のデータがプロジェクトデータ。
そしてその下がキャッシュ。
このキャッシュを消して上手くいくエラーの種類もあるけども、今回は関係ありません。消しても再生成されるので問題は無いけども、ここにファイルのリンク情報なんかも記録されているので無暗に消すと読み込みが超遅くなります。
マジックIDはオーディオデータが関係しているので「Audio Files」を開きたくなるところだけど、でもここでもマジックIDは書き換えられないので意味無し。
ここでは「Session File Backups」が正解。
つまり、保存した段階の一つ手前――バックアップを開いてしまおう、というもの。
この中で一番日付の新しいものを開いてみる。
それでプロジェクトが開ければ御の字。まだエラーが出るならば一つ古いバックアップを…と繰り返していって、開けたら別名で保存。これでOK。
そう、根本的にエラーが解決したわけでは無く、ただバックアップを掘り起こしてエラーが出るよりも過去にさかのぼってしまうという解決法。
このマジックIDのエラーはエラーというよりもバグに近いという認識を持っています。
発生してしまったら慌てず騒がず、バックアップから復元。これは他の予期せぬエラーでも割と有効な手段だったりするし、他のDAWにも応用できる手法だと思っております。
ただ、バックアップの最新版を掘り起こせたとしても、いくつかの最終変更は保存されていない状態のプロジェクトファイルである事が多くて。
自分で打ち込んだMIDIデータくらいならもう一度打ち込めばいいんだけど、ゲストミュージシャンの編集済み演奏データはもしかすると編集前の時間軸まで戻ってしまうかもしれない。
とはいえプロジェクトが読み込めないよりは全然マシだと思うので、「背に腹は代えられない」って時にはこの手法でどうぞ。
もしこの手法でダメならば
僕はこれで解決したけども、次に試そうとしてた第二の案もありまして。
それは「新しいプロジェクトファイルを作成して、セッションファイルをインポートする」というもの。
もしも前述の手法でダメならこちらを試してみてください。
諦めてイチから制作し直す…なんて人が減りますように。