実は昨日、2020年5月11日は地震が来る日として一部界隈では騒がれていたらしい。
今までもいくつか地震が来る日は予知・予言されていた事がある。
しかし断言しておくと、人類はもう有史以前から地震と付き合ってきているにも関わらず、いまだに地震の予知は完成していない。
ただ、地震大国である日本に於いては、様々な機関が地震の研究を進めている。
公的には内閣府の中央防災会議と文科省の地震調査研究推進本部が地震・津波予知をしている。
が、未だに完成には至っていない。
気象庁の見解としては、現在の科学的知見からは「地震の予知は出来ない」としている。
なお、ここでの予知は「明確に地震が来る日時や場所を特定する」ことを指す。
予知ではなく想定であれば、東日本大震災前から宮城沖地震は30年以内に99%の確率で起こる想定はあったし、東海だって80%の確率で大地震が起こる想定は結構前からある。
ただ、東日本大震災が想定されていたシナリオの数十倍も巨大な地震だったので、全部の地震の被害推測を最悪レベルの想定で立て直す事にした。これが7年前の2013年に完成したいわゆる南海トラフ地震の予測で、各地の連動地震等を含めた想定モデルはきっとどこかで目にしたことがあるだろう。
しかし、この予測でもピンポイントでの予測は出来ていない。出来るならもちろんしているはずだ。
地震として揺れる前に情報発信を行うシステムは、現在では緊急地震速報が限界である。
緊急地震速報のシステム
詳しくは気象庁のページを見てもらうとして、緊急地震速報は初期微動を捉えて地震発生の通達をするシステムである。
全国の観測網*1から地震の発生を捉える。
初期微動であるP波は秒速7km、強い揺れのS波は秒速4kmである。
この秒速7kmの初期微動を捉えたら緊急地震速報として発令する、というシステムだ。P波とS波のこの速度による時間差の間に電気信号を有線ないし無線で送り出す。理論上光の速さ――つまり秒速30万kmで送信されるので、地震の大きな揺れの前にすばやく伝えられるのである。
地震の予知
さて、地震の予知について色々とあるのだが、非科学的なものは置いておく。
非科学的な予知の悪い所のひとつに、「もしハズれたときにも何も責任を負わない」というものがある。言ったもん勝ちじゃん。
他にもよくある話で、雲の状態や動物の行動に注目したりする予知方法もある。
しかし、地震と雲にも相関関係は認められていないし、地震と動物の行動についても相関関係は確認できていない。
動物が地震のわずかな予兆――微弱な音・電磁波・匂い等を感じていたとしよう。しかしそれだけ敏感ならば地震以外の要素でも特徴的な行動を示すだろう。よって、その特異な行動が本当に地震に由来する物かどうかの断定は出来かねる。データ不足だ。
ところで気象庁によれば震度1以上の地震は年間に2,000回以上あるらしい。日本だけで。
単純に365日で割れば1日5回は地震がある計算になる。
なお、震度4以上の地震は10年の平均*2で年間50回だ。
これにより雲や動物たちがどういう動きをしているのかや関連性はまだ認められていない。地震を敏感にキャッチし密に連動するのならば、地震の回数が多過ぎて参考にならない。逆ならば、地震よりも他の環境的要因による可能性も高くなる。
他にもやれ過去の予言が当たったのどうのって話題も見かけるけど、そんなの確率論で行けば宝くじより全然当てられるでしょう。地震の予知よりロト7の方がむずかしいかもしれない。
日頃から備えをしておく
それよりも、毎日平均5回の地震が起こる事の方に焦点を当てたい。年間に50回起こる強めの地震についても。
南海トラフの地震は100年~150年周期で繰り返され、南海トラフ沿いの最新の大地震は1944年。
そう遠くない将来に大地震が来るのはほぼ確定なのである。
地震が起こるにしろ起こらないにしろ、備えをするに越したことはないだろう。
常に万全の備えを。じゃないと過去の災害が活かされない。