昼間は温かい時期となった。
夜はまだまだ寒い日もあるけども、なんとなく冬の終わりが見えてきたような。
二十四節気のひとつ、「雨水」(うすい)を迎える。
雪解け水が、まるで雨水のように垂れて地を穿つ。
シンと尖っていた氷柱は溶けて丸みを帯び、ポタポタとリズムを刻む。
――そういえば最近、氷柱をあんまり見ないような気がする。
空から降る雪も雨へと変わる時期となる。
昔は恐らくもっと寒冷で、今は雪があまり降らない地域でももっと雪が降っていたのだと思う。
徐々に暖かさを感じると、何か動き出したくなる。
虫や冬眠している動物たちもそうだろうから、きっと本能的に暖かさと動きたさが連動するのだろう。
何か始めようか。何を始めようか。
しかしそう考えるとこの寒さの厳しい冬場にもずっと何かをし続けていた人は凄いなと思う。生命に反し、極寒の中でわざわざ行動を行うのは、尊敬に値する。
寒い中で蒔いた種も、きっとこの先成長を見せるのだろう。これから種を蒔くのも良いし、まだもっと暖かくなってから蒔くのも良い。
それらは比べるものでは無いし、比べたところで究極的には意味が無い。短期的には比較対象や自分の居場所を計る指標として有用かもしれないが。
ヒマワリがチューリップと背の高さを競って何になるのか。開花時期も違うのに。どちらにしろ樹木には負けるのに。
勝ち負けはエンジンにもガソリンにもなるが、これは競技のレースではない。各自走る距離もコースも違うから、もちろん走るペースもスタートラインも全部違う。
単純に比較すると視野が狭くなってしまう。これは自分への戒めでもある。
雨水の次は啓蟄。
ここまで来ると、暦の上だけではなくしっかりと春を感じるだろう。