6/17(水)よりマクドナルドで期間限定で「スパイシーチキンマックナゲット」が発売された。
辛そう。でもこういうのってほら、煽るだけ煽って実際のところ「え…辛くないじゃん…」みたいなのが多い。というかピリ辛も激辛も相対的で感覚的なものだしね。
辛さを数値的に捉えたいけども…
辛さの単位としてスコヴィル値*1がある。
すっかり浸透しつつあるしテレビなんかでも取り上げられたりするので耳にしたことのある人も多いかもしれない。
ただし、スコヴィル値はまだまだあまり使用されていない。
スコヴィル値について
スコヴィル値が出来たのは100年以上前の1912年。スコヴィルさんがトチ狂った研究をして生んだ数値だ。
当時はカプサイシンを析出する技術はなく、人の味覚に頼った計測をしていた。
被験者がハバネロなどの対象物の辛みを感じなくなるまで砂糖水に溶かし、その希釈倍率をスコヴィル値としていた。何人かの被験者を呼んで、何度も繰り返し辛い物を与えることとなった。拷問過ぎるよ、スコヴィルさん。
というわけで、もちろんブレがある。
現在はカプサイシンを単独で析出できるので、正確なカプサイシン量が出せる。
が、激辛マニアどもの間でスコヴィルが浸透しすぎてしまっていた。時すでに遅し。
その時にリストアップしてあったスコヴィル値を基にしつつ、修正していったのが現在のスコヴィル値。グラムとは違うが、スコヴィル値が大きくなれば、それに比例してカプサイシン量も多くなる。
なお、カプサイシン純度100%の状態が1,600万スコヴィル。ギネスにも載った唐辛子「キャロライナ・リーパー」は156万~220万スコヴィル。タバスコは2,500~5,000スコヴィルだ。
なお、スコヴィル値はあくまでもカプサイシンを数値化したもの。よって、カプサイシン以外の辛さの要素が入ると、辛さの感じ方が数値に比例しなくなる。
極端な話、わさび*2のスコヴィル値はほぼゼロに近いだろう。
辛さをどう表現するか
もちろん、僕にはスコヴィル値を測るためのカラムクロマトグラフィーの準備は無い。
なので、主観による他の食べ物との比較を行う。例えば味仙の台湾ラーメンや中本の北極ラーメンなんかと比較するのも良い。同じナゲットだし、からあげクンのレッドとも比較しようと思う。
買ってみる

マクドナルドへ行ってみると全員スパイシーチキンマックナゲットを食べていた。まぁ嘘だけど。
5ピースで200円。良心的な価格設定だ。
ちなみにスパイシーチキンマックナゲットは今回が初の販売ではない。去年、一昨年にも登場していて、今回で4度目となる。
そして、このスパイシーなナゲットに合うソースも期間限定で2種類登場。
昨年はカマンベールチーズソースとメガ辛スパイシーソースだったが、今年は「黒麻婆ソース」と「ハラペーニョチーズソース」の2種類。
もちろんいつものバーベキューソース等と合わせる事も出来る。ソースはナゲットを購入している場合は2つまで無料、3つめからは30円。ナゲットを買っていないときは1つ30円だ*3。
食べてみる
スパイシーチキンマックナゲット
まずはそのままパクついてみることに。

パッケージも燃えるようなデザイン。
「辛さでK.O.」と書かれていて、中身が辛い事が伺い知れる。
でもほら、毒々しい見た目の生き物に限って実は無毒だったり美味だったりするじゃない?食べてみないと分からない。

蓋を開けるといつものチキンマックナゲットとは異なる赤いビジュアルのナゲットたち。
そして蓋の内側にも辛さに関する表記が。確かに小さい子供とかが誤って食べちゃうかもしれないもんね、それくらいはね?
というわけで食べてみる。
見た目通り、衣に辛みがある。食欲の進む程良い辛さだ。
それこそローソンのからあげクン レッドに近い味。辛さもほぼ同一。
いわゆるピリ辛。後からじんわりと、そして蓄積する系の辛さなので、油断しないように。ムラセヒロキチはギリ食べれると思う。
衣もスパイシーでおいしいんだけど、ナゲット本体も粗めにミンチした鶏肉の味わいがしっかりとして、ソースを付けずともこのままで十分おいしい。胸肉とモモ肉の他に鶏皮もちょっとだけ配合しているらしい。
余談だけど、マックナゲットの形は4種類ある。真ん丸、楕円、四角形、そして骨付き肉のようにちょっと突き出た部分のある形だ。
黒麻婆ソース
パッケージを開けた時から香辛料のふくよかな香りが広がる。
ねっとりとしたソースは豆板醤を土台としているような風味。奥の方に花椒がいて、後味として感じる。

単純な唐辛子の辛さではなく、奥深い複雑な辛さ。
ナゲットがシンプルな唐辛子のホットな辛さだったので、これはいい掛け算。
豆板醤系の深み・コクもちゃんとある。
もっと花椒感、シビレ感があっても良いかなとは思ったけど、それはきっと僕が山椒系の辛さが好きだから。
でもよくよく考えたらマクドナルドは幅広い年齢層の方が使うもの。辛すぎちゃダメ。
となると、これは適度~ちょっと攻めた味、という事になりそう。
ハラペーニョチーズソース
ハラペーニョといえば唐辛子の品種。ハバネロとかに比べれば全然辛くない品種で、爽やかな辛みのある青唐辛子。それがチーズと合わさると…?

ソースの中にはツブツブが入っている。多分ハラペーニョ。と見せかけてピクルスかもしれない。
味わいはほぼチーズ。一旦チーズに全力で殴られる。めっちゃ笑顔で。その殴られた部分が後からヒリヒリ痛み出すような辛さだ。はい?
ハラペーニョとチーズが相乗効果を発揮して、絶妙な風味を醸し出す。
そして辛さは打ち消され、黒麻婆ソースよりもソフトな味わい。
蓄積される辛さ
このスパイシーチキンマックナゲット。1つ2つ食べたくらいでは全く辛くない。
しかし唐辛子の辛さの恐ろしいところはリリースタイムが長いところ。要は後引く辛さが残るところだ。
とはいえ、ピリ辛程度なのでそんなに恐るるには足らない。ただし味仙のアメリカンを苦労して食べたり、コンビニのホットスナックの辛めのやつで汗ばむくらいの耐性の方は舐め過ぎないように。
2種の期間限定ソースもどちらも辛さが後から追いかけてくるタイプ。黒麻婆ソースは花椒が、ハラペーニョチーズソースはハラペーニョが、それぞれ後から追ってくる。
「大したことないじゃん」と食べ進め、ふと後ろを振り返るとたくさんの花椒やハラペーニョが追いかけてきているかもしれない。
2種のソースとナゲットを残らず食べきった後、軽く汗ばんでました。そう、しっかり舐めてた。ソースだけに2つの意味で。
スパイシーチキンマックナゲット自体も完成されていて、ソースありきじゃないところが高ポイント。
そして、それぞれのソースとの掛け算まで計算されているところもまた良い。
想定通りの部分、そして想定外で驚かされる部分、と2度楽しめた。
まとめ
黒麻婆ソースで野菜と肉を炒めたらきっとおいしい。チューブで売ってほしい。
*1:カプサイシンの量の数値化したもの。数値はカプサイシンの含有量に比例する。
*2:わさびの辛さはカプサイシンではなくアリルイソチオシアネート…いわゆるアリル化合物によるもので、辛さのジャンルで言うならば大根おろしやマスタード等の仲間となる。
*3:公式サイト内「よくあるご質問(https://www.mcdonalds.co.jp/cservice/list.chickenmcnuggets/)」より