ねこらぼ( 'ω')

名古屋でこそこそと活動っぽいことをしている橋本ねこのブログ( 'ω')

「ライム発酵のカカオを生かしたチョコレート」を食べたら別の疑念が生まれてしまった

無印良品から、「ライム発酵のカカオを生かしたチョコレート」という面白そうなチョコ菓子が出た。

 

www.muji.com

 

ちょっと面白そうで、こだわりを感じる。

 

チョコの発酵

まずは意外と知られていないチョコ作りのプロセスについて、おさらい。
なんとなーく「カカオをすり潰したらチョコになるんじゃない?」くらいの認識の人も多いのでは。

まずはカカオの木に成る実(カカオポッド)を収穫。両手の握りこぶしを合わせたくらいのサイズで、黄色とか茶色とか。
この実を割ると白い果肉に包まれた種子が30粒くらい採れる。

この種子がそのままカカオ豆になる、というわけではなく。ここから数日間発酵させ、その後乾燥させたものがカカオ豆として流通する。

 

発酵の細かなメカニズムは割愛するが、

  1. カカオの白い果肉が徐々に溶けていき、アルコールを生成
  2. アルコールを栄養源にした酢酸菌により酢酸が生成
  3. アルコール・酢酸により、カカオ豆の成分が変化

という段階を踏み、チョコレート独特の良い香りが生まれる。
日本で食べられるチョコレートはほぼ全てが発酵させたカカオを使っているものと思われる。発酵させずともチョコレートは作れるが、味わいは大きく異なるらしい。

 

ライム発酵とは

そして本題。無印良品の新作チョコレートには「ライム発酵」と書かれている。なんだそれ。

無印良品の説明によると、カカオを発酵させる前にライムを細かく刻んで一緒に合わせるらしい。これにより、カカオの果肉とともに発酵に役立つ材料となるわけだ。

 

あと気になるのはライムがどれくらい味や香りに影響するのかである。

ショコラオランジュやショコラシトロンくらい柑橘らしさが出るのか、実は全く影響しないのか。

食べてみる


結論、全然ライムの味はしなかった。すっかり発酵時に微生物のエサになってしまったようだ。
言われれば面影を感じるような、そうでもないような。
でも予め商品名で「ライム」とネタバレしているからそう感じるだけで、実際これを食べてライムに結びつくかと言われると、自分の舌はそこまで鋭敏ではないなと思うなどした。

チョコレートの味わいで言えば、いわゆるフルーティーサッパリとした食べやすさを感じる。
もしかするとこれがライムによる効果なのかもしれない。

 

しかし、そうなると「フルーティー」や「サッパリ」はカカオの特性ではなく、副原料の恩恵ということになる。

そして、カカオ発酵時に入れる副原料によって、ある程度フレーバーをコントロールできるということになりそうだ。

 

果実を混ぜる発酵はスタンダードなのか

今回の無印良品の製品名にはわざわざ「ライム発酵」と書いてある事で、あたかもライム発酵は特殊だと思わせられる。
実際はどうなのだろうか。

 

ある程度調べてみると、柑橘系の果物の皮・果汁を入れたり、スパイス、洋酒を入れる例が確認できた。ただし、どれも一般的ではなく、ほとんどが実験的な試みとなっている点には留意。やはりマイノリティではあるようだ。
しかし、まぁ無い話ではないらしい。知らないだけ、公表していないだけで他のメーカーのチョコレートにも何かしら副原料が使われているかもしれない。

 

そう思ったのは、今回のチョコレートの成分表示。

そう、原材料名に「ライム」の文字は無い。カカオ豆として発酵完了した時点でライムの姿は存在しないため、原材料名に書く必要は無くなるものだと考えられる。

そのため、商品名や商品説明にライムの文字を入れなければ、「なんだかフルーティーでサッパリしたチョコレートだなぁ」と思いつつもライムに辿り着かせないことも可能だった。

裏を返せば、一見副原料が使われていないような原材料名表示でも、実は何某かが入っているかもしれない。

 

これは面白い。実は水面下で各メーカー色々とぶち込んで発酵する実験をし合ってチョコレートの風味を高め合っているのかもしれない。

今回の無印良品のチョコレートの商品名に「ライム」が入っていたおかげ(せい?)で、新たな推測と気付きがあった。

そして、もしかすると今まで「なんてフルーティ、すごいカカオ豆だな」と思っていたフレーバーが実は副原料のおかげだったのかも?――という真相がありそう。