道すがらスズメが聞いたことも無いような鳴き声を上げていた。
「ビィー!」みたいな声を出していて、君たちそんな声も出せるのかとびっくり。
ムクドリみたいなけたたましい系の声。
で、何事かと思って見てみたら金網フェンスのあたりでスズメが数羽いて。
その騒動の中央にはカラス。ははぁ、またカラスに餌でも奪われたのかと思っていたら、カラスが足でがっしり押さえてるのはジタバタと暴れるスズメだった。
おそらく騒いでいるのはスズメの家族であろう。
巣から落ちてしまった子スズメを見守っていたらカラスがヒョイと攫っていった、みたいな図だろうか。
まぁカラスも雑食だし食べられれば何でも良いと思うので、そこからは別に残酷さや狡猾さは見いだせないんだけど。でも、だからこそ無情でもある。
カラスは足で暴れるスズメを押さえながらクチバシで千切りながら食べる、という何ともセンシティブでショッキングな光景ではあったが、でもこれは自然の摂理。生きていく上で仕方ない営みであり、別にカラスもスズメも悪くない。
感情無く「食事」を続けるカラスに為す術もなく周囲を飛び回りながら鳴くスズメ。
僕も用事の途中だったので事を最後まで見る事は出来ず。やがて周囲は静かになり、おそらく自然の中で「解決」したのであろう。カラスは食事を終え、スズメも失ったものに対して別に議論はしない。
また同じ道を帰るとき、そこには何も無くいつも通りの日常が流れていた。
きっと自然の中に於いて、こんなことは日常茶飯事なのだろう。
別に考えればままある話だと理解も出来る。
ただ、実際現場を目の当たりにすると気の毒でもあり、事件でもある。
例えば人間はそういったことを同族であれ別種族であれ衆目の中で行う事は無い。前者は普通に警察沙汰であるし、後者は現代の日本では公衆の面前で行う事は無いだろう。
だからこそ、そういった命を奪う瞬間を目の当たりにすることが無いし、タブーだとも感じてしまう。もちろんそれは自然な事だと思う。むやみに他の命を奪うことは社会的にも宗教的にも道徳的にも良い行為ではない。
見慣れていない分、やはり現場が鮮明でショッキングではあった。
でも当人(鳥?)たちにはごく自然な「生」の1ページであり、それが日常なのだろう。
しかし、カラスって死んだ肉かもっとゴミみたいなものしか食べないと思っていたからちょっと衝撃だった。