ねこらぼ( 'ω')

名古屋でこそこそと活動っぽいことをしている橋本ねこのブログ( 'ω')

廃止されるタバコたちとプルースト現象

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タバコ。

ここ数年で一気に禁煙の風潮を強め、飲食店もほぼ全てのお店で禁煙になる未来。

2018年に「健康増進法」の一部が改正される法律が成立し、この施行が2020年4月となっている。

 

健康増進法とは

基本的には栄養調査・管理だったり特定保健用食品の事、予防検診の事などが書いてあり、「国民は生涯にわたって健康の増進に努めなければならない」と規定している。

全42条から成るこの法令の中の第25条に受動喫煙について書かれている。

 

施行は2020年4月なのでオリンピックを見据えた形になっているが、実は今年の7月1日から順次施行されている。

例えば学校や病院の敷地内は原則禁煙。飲食店、特にチェーン店は全面禁煙になったところも多い。

その他にも不特定多数の人の出入りのある場所は禁煙になっている。僕の使っている練習スタジオもロビーではタバコが吸えなくなってしまった。

 

風潮とマナー

僕自身は割と禁煙の風潮には賛成で。

だって、歩きタバコとか危ないじゃん。あと副流煙も気になる。

ポイ捨てもねぇ…「タバコくらいいいだろ」って思ってるのかなぁってところがダメ。運転中だと更に意識が低くなる人が多いみたいで、窓からポイポイ捨てるじゃん。前の車からポイ捨てされたとして、もし自分の車に当たろうものなら戦争ですよ。

一部の人だとは思う(とか言いつつ喫煙者の3~4割くらいそうだと思ってる)んだけど、マナーの悪い人や思いやりのない人はどうしても目立ってしまう。

 

ただ、お酒とタバコのマリアージュが楽しい場合も理解できるので、そこだけは失ってほしくない。難しいところ。

例えばバーならばウイスキーとタバコは合うから禁煙になってほしくないし、宴会や飲み会でのタバコは付き物。アルコールが入るとタバコが吸いたくなるのも理解できる。

 

タバコ離れ

最近ではタバコを吸う人は2割を切っている。ちなみに50年前の喫煙率は4割を超え、男性は6割を超えている。

僕はどうしても業界の特性上喫煙者は多い印象だけども、それでも確実に喫煙人口は減っている。

電子タバコじゃない、純粋な紙巻きタバコは本当に少なくなってしまった。コンビニの外の喫煙所でタバコをふかしている人を見ると、ちょっと珍しいものを見るような気分にすらなるときだってある。

平成30年の時点で喫煙者の男性は4人に1人程度。女性は10人に1人も居ない。

 

税制改正で消える銘柄

喫煙者がどんどん隅っこへと追いやられていく中、「わかば」「エコー」「ゴールデンバット」が無くなるという報せが入った。

news.livedoor.com

タバコを吸わない人には馴染みが無いかもしれないが、この銘柄たちはいわゆる「旧3級品」で、他の銘柄よりも税率が低いおかげで300円台をキープしていた。他のタバコが段階的に値上がりし続ける中、350円~360円程度である。

非喫煙者でも知ってる「メビウス」や「マルボロ」が470円~480円だという事を考えるとかなり安い。

この旧3級品は税率も低かったのだけど、徐々に税率が引きあがりピンチに。このままだとクオリティを維持できない…かと言って値上げをすると旧3級品の良さやアイデンティティーが損なわれてしまう。というわけで、第3の案が出た。

 

"紙巻きたばこ"から"リトルシガー"へ。

「わかば」と「エコー」は消えてしまうわけではない。ゴールデンバットは残念ながら消えてしまうのだけど、先述の2銘柄はリトルシガーとして今年9月中旬に生まれ変わる事になった。

これが"ミソ"で、要はビールの代わりの発泡酒のようなもの。紙巻きたばこからリトルシガーへとカテゴリーを変える事で、紙巻きたばことして掛かってしまう税率を回避する狙いがある。

 

数値的な話をすると、紙巻きたばこは1000本あたり13,244円の税金がかかる。つまり1本13.2円は税金となる。(20本入った1箱の税金は265円ほどとなる計算。)

だが、リトルシガーがカテゴライズされている"葉巻たばこ"はたばこ葉1gを1本として計算する。つまり1本あたりのたばこ葉が1g未満ならば紙巻きたばこよりも税金が安くなる。

 

これにより「わかば」と「エコー」は価格を抑えたまま生き残る選択をしたのだ。

まだまだたばこ代を安くで抑えたい人たちの味方である。

 

香りによる記憶の呼び出し

そんな低価格のタバコなので、わかばやエコーを愛用したバンドマンは多い。

パッと考えただけで10人くらいにはなりそう。

 

エコーもわかばも結構アクの強いにおいがする。その香りを嗅ぐ(または思い出す)ことにより、記憶がふと蘇る事がある。

ちなみにこれをプルースト現象と呼ぶ。カレーの香りを嗅ぐと学校からの帰り道を思い出す、とか。香水を嗅ぐと特定の人とドライブへ行った思い出が蘇る、とか。

 

きっとわかばもエコーも過去の香りへと変わっていってしまう。

形を変えてリトルシガーとして残るけども、絶対味や香りも変わる。だってキャスターがD-SPECになったときだって、ウィンストンに変わったときだって全然違ったもん。

そうやって、厳密にはもう二度と嗅げない「思い出の中にだけ存在する香り」へと変わっていく。プルースト現象の前に、その香り自体も思い出さないといけない。二重の記憶の呼び出しだ。

 

変わりゆく物たち

気付かない所で、あるいは気付いたとしても自分にはどうする事も出来ないような手の届かない場所で。常に物事は変わっていく。永遠は無いんだなぁとこういうふとした事で思い知らされる。

でも、よくよく考えたら「永遠」の方が胡散臭くて机上の物であるような気がしてしまう。永遠って非自然的だよなぁ、と。自然に反しているような感じ。自然の摂理に逆らって、無理やりそこに居座り続けている存在みたいな。

 

道を歩いていたら新装開店の文字。でもそのお店が出来る前、そこに何があったかってだいたい思い出せない。

そうやって記憶もどんどんアップデート出来るから、きっと過去に縛られ過ぎずに生きていけるんだと思う。過去の記憶や感情が失われることなくありありと残り続けたら、もっと人生は苦痛に満ちていると思うのね。

 

僕はある時から忘れる事を恐れなくなった。永遠に手放すことになる可能性を孕んだ選択肢も恐れなくなった。

過去に囚われても過去は変えられない。それよりも先を向いていたいし、それは現在の選択の連続によるもの。その振り返りとして過去が存在する。

 

 

でも、ふとした時にきっと思い出す。

わかばのツンとした香り。おいしそうにくゆらす顔と、その人との思い出。

それくらいでいい。無理に思い出したり、不必要に遠ざけたり忘れたりする必要も無い。

そのままでいい。

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