梅雨ですね。
沖縄の方では梅雨明けしたとかしていないとか。
そこから順番に南から北へと梅雨明けしていくわけなのだけども、今週は九州地方が記録的な豪雨となる予報。東海地方の梅雨明けはまだもう少し先になりそう。
さて。梅雨と言えば食中毒が危ない時期でございます。
高温。そして多湿。多くの菌が好む最高の条件。
食中毒にはいくつか種類があるんだけど、今回はウェルシュ菌について触れます。
ウェルシュ菌とは
ウェルシュ菌は簡単に言ってしまえば悪玉菌の一つ。つまり健康な人の体内に常にいくばくか存在してます。僕の体内にも、そしてあなたの体内にも。
だからある程度の量なら摂取しても問題にはならないし、大丈夫。
偉い人が言うには、食物1gあたりにつき10万個程度のウェルシュ菌が無いと毒性は無いらしい。イメージ沸きづらいね。
特に牛肉・豚肉・鶏肉に付いてる事が多いけど、魚や野菜に付いてたりもする。
そして、ウェルシュ菌の特徴として、芽胞を形成する点がある。
芽胞(耐久型)と栄養型
菌によっては芽胞という高耐久の殻のようなものを形成する事が出来る種類も居て、危機を感じると芽胞を形成する。
この中で、通常の増殖等を繰り返したり成長をする状態を「栄養型」と言い、芽胞を形成した状態を「耐久型」と言う。さなぎみたいなもの、だと思ってもらえれば。
ただし、耐久型は増殖したり出来ないので、頃合いを見て栄養型へと戻る。
ウェルシュ菌が増殖する流れ
食品を大量に加熱調理する場合、多くの細菌は過熱により死滅してしまう。
しかしウェルシュ菌の芽胞は生き残ってしまう。そして、温度が下がってくると栄養型へと戻り、増殖を始める。他の菌が死滅しているので競合が少なく、のびのびと貸し切り状態で増殖する。
その中でも煮込み料理(カレーとかシチューとか)は最たるもので、なべ底に近い部分は酸素が少ない状態となる。
ウェルシュ菌は酸素が嫌いなので、なべ底は最高の環境となる。
ウェルシュ菌が最も活性化するのは43~46℃。10分に1回の分裂をする。
これが実は非常にハイペース。最初は1個だけだったとしても3時間も経たないうちに10万個を越える。
最初の菌数が多ければもちろんもっと短時間で危険な量に達する。
煮込み料理の罠
なんとなく加熱すると菌が死んだような気がする。
もちろんそれで死ぬ菌だっている。でも、加熱と冷却を繰り返すたびに何度もウェルシュ菌が活発になる温度帯を通っていることになる。
一度増えてしまった彼らは中々減る事は無いので、どんどん増えていく事になる。
ウェルシュ菌汚染の対策
ポイントは「少量なら毒性が無い」事と、「取り除く事は不可能」だという点。
①さっさと食べる/少量ずつ、食べきれる量を。
当たり前かつ明解で、一番の対策だと思う。
②43~46℃になる時間を極限まで短くする。
加熱したあとは長時間常温に置かずに急冷する、とか。
③再加熱時はよくかき混ぜる。
ウェルシュ菌は酸素が嫌いなので、かき混ぜる事で死滅させられる。
と言った具合。
いくらウェルシュ菌が酸素が苦手だからってかき混ぜながら熱していれば長持ちするかと言われればそういう訳でも無く。例えばじゃがいもなんかは悪くなりやすいし、そういったものはウェルシュ菌うんぬん以前にどうにもならない。
結果、少量ずつ作ってササっと食べるに越したことはない。
まとめ
「寝かせたカレーはおいしい」とか「二日目のカレーの方がコクがある」とかよく言われている。
実際アミノ酸がどうこうとかでおいしく感じる、らしい。知らんけど。
とはいえ、夏や梅雨時は食中毒が怖い時期。気を付けましょう。
ちなみにウェルシュ菌は気を抜いている冬にも発症しますのでご用心。