最近ビールを色々と飲んでいる。
居酒屋で飲むのもバーで飲むのも好きだけど、ビールに関しては家で飲むのが一番好きかもしれない。
居酒屋などに於いて、ビールはビールサーバーから注ぐお店が多い。
しかしサーバーの手入れや清掃が行き届いていないお店は意外と多く、そういったお店の生ビールは雑味が移ってしまう。
また、注ぎ手による味のブレもある。泡の粗さや処理の甘さ、はたまたグラスの管理温度…そういう要素が満たされていないのに500円を超えてくると(おやおや…?)ってなる。「500円が高い」かどうかよりも「500円あればもう一品他の物が頼めたな」という思考が大きい。
ビールサーバーと缶や瓶で出すビールを比較すれば、サーバーの初期費用は掛かるとしてももちろんビールサーバーでビールを出した方が安く作る事が出来る。
だからこそビールサーバーを使う居酒屋が大多数なんだけど、瓶や缶の選択肢があれば僕はそちらを選びたい。
僕としてはグラスやジョッキよりも缶か瓶で供される方が好みだったりする。そんなに量と価格は変わらないし、自分の好みの注ぎ方も出来る。
テンション感としてはグラスやジョッキの方が「ビール!」って感じはするんだけどね。
ただ、ビールはカロリーが高くてお腹いっぱいになってしまいがちなので、そもそもあまり居酒屋では選ばないんだけどもね。
しかし拘ったビールが飲めるのならば飲んでみたくなる。クラフトビールの飲めるアメリカンダイナーやビールに力を入れたバーなんかでは進んでビールを注文する事もある。
昔はそういったちょっと変わったビールは外で楽しむものだったけども、最近ではネットでも手軽に買えるし、スーパーやコンビニでもクラフトビールを見かけるようになってきた。
ネットの普及により都会と田舎、または大企業と中小企業の境界線は薄くなった。ここ数年で地方の小さな酒造メーカーが注目される事も増えた。これはビールに限らず日本酒やクラフトジンなんかでも見られる。
ペールエールいろいろ
さてさて、この前のよなよなエールに引き続き、ヤッホーブルーイングの「インドの青鬼」をいただこうと思う。
こちらはよなよなエールと同じく、エールビールである。
エールビールなんだけど、その中でも種類が違う。
よなよなエールは「アメリカン・ペール・エール」。
イギリスのペールエールに比べると香りが華やかで、軽めのコク。
インドの青鬼は「インディア・ペール・エール」、いわゆるIPA。
イギリスからインドまで輸送する際にホップをたくさん使ったのが始まり。ホップはビールの重要な材料であるとともに、防腐の効果もあるからね。
ホップを大量に使ったことによる強い香りと苦みが特徴。
IPAの中でも「アメリカンIPA」「ダブルIPA」「ニューイングランドIPA」…などなど、色々な種類があったりする。
IPA内部の分類は割愛する。詳しくは検索してもらえば底なし沼みたいなマニアックなページがずらずらと出てくるので、そちらを参照されたし。
とりあえずIPAは総じて苦みが強い。なかなかビール初心者には向かない味だと思う。
ただし、慣れてしまえばそこは泥沼。
IPAは正直僕もあんまり触れていなかったゾーン。僕の目の前にも沼が広がってるような感覚。
ちょっと一歩進んでみようかな。
IPAを味わう
インドの青鬼。
ネーミングがヤバい。一部の人には「青鬼」ってネーミングはトラウマだからやめてほしい。頭の中で不協和音が響く。
基本的にはペールエールなので、前回と同様。ステムが短め、もしくは無いような、直に手の熱を加えられるようなグラスをチョイス。
手で熱を加えることで、ゆっくりと温度による変化を楽しむ事が出来る。
温度が上がれば香りは強く出る。気付かなかった香りが表に現れるし、逆にその出てきた香りに押されて感じづらくなるような奥へと引っ込む香りもある。
注いでみると、案外普通の色。
まぁペールエールだからそりゃそうなんだけど。
柑橘系のふわりとした香り。
よなよなエールよりも強く、分かりやすい。
一口飲んでみると、ガツンとした苦みに驚く。飲み込みづらさを感じるほど。
その苦みのおかげで、香りは対比的に甘さを帯びてくる。
最初に口に入れた瞬間は隠れている苦みが、じんわりと口いっぱいに広がる。
半分くらい飲み進めるころに、やっと慣れてきた。
味に慣れてきて、その苦みを掻き分けるとそこには深いコクがあった。
ああ、なるほど。これがクセになる部分か。と気付く。
苦みの向こう側に、IPAじゃないと味わえないコクがある。
手の熱によって苦みはじわじわと顕著に現れる。
どうしても苦みを抑えたいならば冷やした方が良いかも。
おつまみをペアリング
IPAはガツンとした個性的なおつまみが合う。というか、味が弱いものは負けてしまう。
中途半端な味なくらいならば、もはや無い方がIPAの味に集中できるかもしれない。
というわけで、今回合わせるのはこちら。
缶つまの「日本近海獲り ハバネロサーディン」。
オイルサーディンのハバネロバージョン。ちなみにオイルサーディンとアンチョビを混同してる人もいるけども、両者は別物。オイルサーディンは油煮、アンチョビは塩漬け発酵食品。
ピリ辛な味わいでIPAの深みを引き出してくれる。
完全にどちらかが勝つわけでなく、双方を引き立て合う。言いようによっては両者殴り合いなんだけどもね。
ボクシングの接戦、みたいな。両者一歩も引かない。
IPAにはそれくらいの猛者じゃないとおつまみは務まらない。
例えば柿の種ならば、わさび風味にするとか。
チーズならちょっと強めのクセの物にするとか。
スパイスたっぷりなカレーなんかにも合いそう。
まとめ
IPAはクラフトビール好きの終着駅かもしれない。と思っていた。
クラフトビールの中でも個性的な味わいであり、玄人向けな味わいだしね。
でも、ふと、IPAは終着駅じゃなくて単なる乗換駅に過ぎないような気がしてきた。
そこから先には、さらに自分に合うであろうまだ見ぬ様々なクラフトビールへの線路が伸びている。
どこへ向かっても楽しそう。
気付いたら膝まで沼に浸かっている自分が居た。