アイディアを思いつく場所は圧倒的にお風呂が多い。
お風呂と言っても基本的に冬以外湯船に浸からないので、厳密にはシャワータイムと言うべきか。
まぁとにかく、浴室でアイディアが浮かぶことが多い。
それは0から生まれるアイディアだったり、1を2や3にしていくような派生だったり、60を70へと底上げしていくような妙案だったり。場合によって様々だ。
浴室でアイディアが浮かぶのはいくつか理由がありそうだが、「血行が良くなる」「リラックス(リフレッシュ)している状況」「シャンプーなどで頭皮に刺激があり、頭が働く」あたりじゃないかと思っている。
どれが合っているのかは定かではないが、とりあえず浴室はアイディアの宝庫なのだ。
しかし。
浴室でポコポコと浮かんだアイディアたちは、悲しいことに浴室から出た途端に石鹸の泡のように弾けて消え飛んでしまう。
体を拭きながら「あとでアイス食べよーっと」とか考えちゃうともうダメ。折角の浴室内での脳内フローモードが見事にリセットされる。
これは昔バンドをやっていた時からそうで。
曲のアイディアとかも思いつくわけよ。フンフンフーンって感じで機嫌良く鼻歌で歌ったりしていると、バチっと決まりそうなのが浮かぶときがある。
しかしそこから先は、お風呂を出てスマホの録音機能を起動するまでに忘れてしまわないために、延々と無限に同じフレーズを口ずさみ続けなければならなくなる。
まさに嬉しい悲鳴、生みの苦しみである。
とはいえ、もし忘れても「忘れる程度の印象の薄いアイディアだったな」で片付けるようにしていた。
思い出せるかも分からない、実際本当に良いものだったのかも分からないものを無理に追い掛けるのは効率の面でも微妙だと思う。
忘れたくないアイディア
これは稀だが、絶対忘れたくないアイディアが浮かぶときもある。
まぁでも忘れるんだけど。
アイディアは忘れてしまったのに、その悔しさだけはずっと忘れられない。
この経験が累々と重なってきたころ、なんとかして浴室でのアイディアを即座に形に留めておきたいと思うようになった。
どう形に留める?
浴室、ということでいくつか制約がある。
まず紙はダメだ。理由はもちろん水でボロボロになるから。
もし直接濡れずとも、浴室内の湿度でふやけてダメになってしまう。
防水紙なるものもあるが、あれは紙が耐えるだけであって、浴室内での筆記は行えないだろう。予め書いておいたメモ帳、単語帳なんかをお風呂に持ち込む際には有効だが、改めてお風呂で筆記するのには向かないだろう。
水に強いインク、にじまないインクはそうそう見つからない。
もし仮にあったとしても肌に付いたら落ちにくいか、壁や床も着色してしまうほど強いか、と言う感じでデメリットが伴う。
電子メモも全部ダメ。
タッチパネル部に水滴が付くと不測の挙動をすることが多い。
スマホやタブレットを保存用の防水バッグに入れて持ち込むのもナシではないが、結局メモをするためのアプリに行き着くまでのラグが大きい。
アイディアをメモするのにいくつも段階があってはならない。
いや、この条件を満たすものがあるのか?
となり続け、半ば諦めかけ、時は流れ、ようやく行き着いた。
磁性メモパッド
僕が辿り着いたのは「磁性メモパッド」である。
これは何かというと、ペンとメモパッドそれぞれに磁力が働くようになっており、ペンでなぞるとメモパッド内の金属粉が磁力に引っ張られて筆記線が付く、というものだ。
子供用のお風呂内のお絵描きボードのようなものをイメージしてもらえれば、と思う。
当初は「もう子供用のお絵描きボードで妥協するか…」と思っていたが、ギリギリのところでサイズ・機能・価格と全てニーズを満たしたものが見つかったのだ。
PLUS クリーンノート「Kaite 2S」
磁力で書けるメモパッドは、子供の頃のおもちゃのイメージで止まっている。
だから、そんなに細かく書けないんじゃなかろうかと思っていた。
子供用のパッドってなんか六角形みたいなマスがたくさん並んでいて、いかにも砂鉄みたいなのが引き付けられたような筆記線になるんだよね。太いし。
筆記の仕組みとしては似ているこちらの商品。さて、実力や如何に。
付属品
メモパッド上部にはイレーザーが挟み込まれており、イレーザー側面はペンの収納口がある。これは便利。
ペンに紐を付けとかないとどこかへ行っちゃう、だと困るのだ。紐を付ければいいじゃんって話かもしれないが、お風呂場での使用がメインになる事を考えると紐が湿りっぱなしになるのはちょっと気になる。
イレーザーで大きく全体を消すことも出来るし、ペン蓋でこすれば細かく消すことも出来る。
書いてみる
実際に書いてみると、結構なめらかな書き味。
ペンの向きはどの方向にしていても筆記可能なわけではなく、万年筆のような制約がある。が、慣れればさほど気にならなさそうである。
角度・タッチによって多少の濃淡が付けられるのが驚きポイント。磁力なのに濃淡も表現できるんだ、という。
ただし一番濃くてもダークグレーくらいまでしか色が付かないため、筆圧に注意されたい。軽いタッチで十分である。
磁力での筆記はもっと滲んだ感じになるかと思っていたのに、このクオリティである。磁力ってすごい。いや、このメモパッドの技術がすごいのか。
上がふんわりとしたタッチで薄め、下が普通に接地して書いた濃いめ。こんな感じでなんとなーくタッチの差みたいなのも出せる。
独自技術による鮮明な筆記線
メモパッド内の鉄粉はマイクロカプセルの中に入っており、これがそれぞれのカプセルごとにペン先に引き付けられることで鮮明な筆記線となるらしい!へー!よく分かんないけどすげー!
ちょうどいいサイズ感
サイズ展開はA4とB5があり、僕が選んだのはB5。
携帯性に優れ、軽いし丁度良い。実際の筆記面はB5よりも小さいが、使っていて物足りなさは感じない。
何人かでシェアしながらの会議だったりするならば大きめのサイズの方が良いが、個人でのアイディア出し程度だったらこのサイズで十分事足りる。
これは実際に浴室内での頭の中で浮かんだアイディアなどを書き連ねたもの。
ブログのネタを考え、「そういえば姉にゴルフバッグを渡すと言っていながら日程を決めていなかったな」と思い出し、その後スパイスや紹興酒の使い道を考え、冷蔵庫にある食材のうちそろそろ料理に使いたいものを考え、という具合。
これらの思いついたモノたちをずっと頭の中に巡らせっぱなしで浴室から出てくるのは至難の業。少なくとも一つは忘却の彼方へ行ってしまうだろう。
その点でこのメモパッドは買って良かった。恐ろしくQOLが上がったような気がする。QOLというか効率というか。
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