未だに、ライブをしている夢をたまに見る。
僕はバンドマンだった。ミュージシャンとも言う。アーティストでも良い。
まぁステージ上に立って何かしている人を想像してもらえれば、肩書きは一旦何でもいいや。
これはバンドマンあるあるなんだけど、ライブをする夢を見る事がある。
つまり公演当日、本番の夢。舞台に立ったりする人は共感できるんじゃないかな。もしかしたらプレゼンや発表会を控えた人でも経験はあるかも。
夢の内容
夢の内容はライブをしている、もしくは今からしようとする夢となる。
厳密にはライブ真っ最中ではなく、自分の出番が来たあたりが一番多い。
結末はだいたいバッドエンド。だいたい何かしらのトラブルに遭遇する。
思い出せるだけザっと挙げてみる。
忘れ物をした
本当によくある。自分の出番を控え、緞帳の向こうで機材をケーブルで接続したりして最終チェックを行う。
するとここでまぁまぁ致命的な忘れ物に気付く、というのがよくあるパターン。
しかも代替不可なものが多い。
例えばケーブル一本とかマイク一本とか忘れただけなら最悪会場やスタッフから借りれるから困らないもんね。
自分しか持っていないような、ちょっと特殊な機材を忘れたりする。
会場に着かない
何をどう頑張っても会場に辿り着くことが出来ない。
道が混み過ぎていて間に合わない、乗る予定だった飛行機や新幹線が発ってしまった、正しい道を歩いているはずなのに一向に辿り着かない、等々。
忘れ物を取りに帰った後に併発する複合技パターンも存在する。
機材のトラブル
これもよくある。本番前、緞帳の向こうで「あれ…?音出なくね…?」ってなる。
もちろんリハーサルでは問題が無かったはずなので、何かしらの設定ミスが考えられる。
マスターボリュームを入れていない、とか。ケーブルの接続ミス、とか。
まぁでも夢の中の話なので、そんなトラブルシューティングじゃ解決しない。全然治らない。
この後、そのまま「ええい、弾いてるフリで乗り切るぞ」と腹を括ることにして幕が開けるところで夢が終わることが多い。
そのトラブルによって実際に本番真っ最中に辱めを受けるような夢は、実は意外と見ない。稀に見る。その事例は後程。
トイレからステージまでが遠い
これはまぁ"会場に着かない"の派生形みたいな感じだけど、本番前にトイレに行きたくなってトイレに行くことがある。
トイレに行くまではスムーズだったのに、トイレから帰ってくるときに道に迷ったり酷く遠かったりしてしまう。
しかしSE*1はもう鳴り始めている。
これは不思議と廊下などでも聴こえる。クリアな音質で聴こえることもあるし、音漏れみたいな感じで聴こえることもある。
このSEが聴こえるということは、もう本番が始まるという事。むしろもう始まっているとも言える。
ステージに居るなり、いつでもステージに行ける状態でソデで待機しておくなりしていないといけない。
焦っても何をしても辿り着けない。まぁ夢だし。
ギリギリ辿り着いて平静を装って入場、からの楽器の音が出ないトラブル等を併発することもしばしば。
技術的に弾けない
たまに他の人の曲をカバーなりコピーなりして演奏することがある。
結構急に決まったりタイトな期限での練習になったりして、自分たちの曲と違って100%完璧ではない状況は、ままある。
夢の中では中途半端に聞きかじった曲をやることになったりして、何を弾けばいいか本番開始後自分の音を鳴らすその瞬間まで悩み続けることもある。
1曲目が始まって、必死に弾いてみるも全て不協和音。もう取り付く島もない……となってから目覚めることもまれにある。
そもそも何の曲?
先ほどのものと似ているが、そもそも前奏で何かよく分かんないままライブが進行してしまう事もある。「え?みんな何の曲やってるの?」という状態である。
一人だけ何弾いて良いのか分からない状態。もうこうなると音量をゼロにして弾いているフリをしたりする。
夢って自由だ
夢の中で「いやいや、これおかしいでしょ、夢じゃん」ってなって目覚めることがある。夢の中で夢だと気付いて起きる、というパターンだ。
これは稀だけど、夢だと気付き「うわ、どうしようもないや、起きるか」と思って目覚めたこともある。
朝起きたときには結構その日に見た夢を覚えているほうなんだけど、起きて1時間もすればほとんど忘れてしまう。
その気になればもっと覚えていられるんだけど、覚えておこうとはしていない。
夢日記を細かく記すことでボケ防止や諸々メリットがあったりもするらしいが、夢日記の書き過ぎで現実で起こったことと夢で起こったことの境界が曖昧になった体験談を見てからちょっと怖くなっているためだ。
なので、あまり夢を覚えておかないようにしている。夢は夢。
大人になってから、夢が現実味を帯びてしまっている。
例えば空を飛ぶ夢は滅多に見なくなった。まぁ物理的に無理だし、タケコプターを付けても空を飛べずに高速回転するだけだと分かっているし、せめて鳥みたいに骨をスカスカにして…とか考えてしまう。なので、もう空を飛ぶ=ぶっ飛んだ現象、となってしまっているのだ。"飛ぶ"だけに。
昔は家の中にライフルを持ったガスマスクの男が侵入してきて、その男に見つからないようにベッドで布団をかぶって息を殺す、なんていうスリリングな夢を見たこともある。
ゲームの影響もあるかもしれない。ニュースで流れた戦争の映像も関係あるかもしれない。
夢って基本的には自由なモノだから、自由に見続けたい。
夢を見る事は誰にも邪魔されないもの。まぁそれをこうやって発信すると、もしかすると傷付く人が居たりネガティブな反応を示す人が出てくる可能性は無いとも言えない。
けれども自分の中で留めるだけであれば、それはどんな非人道的な夢であれ誰にも抑圧されず、自由である。
未踏の花園とでも言おうか。大事にしたいものだ。
*1:出演時に鳴らすBGM。業界によっては出囃子と言ったりジングルと言ったり。