大須の東端、地下鉄で言うと上前津駅の方面にある大通り「大津通り」沿いに店を構える「六三六」。
この辺はいくつかラーメン屋や飲食店が並び、お昼時には混み合う。
いくつかのお店は行ったことがあるんだけど、この「六三六」は前から気になってただけで入ったことが無かったんだよね。という事で行ってみました。
何度も通りかかってるのだけどね。
ちょうど煮干しのラーメンを味わいたい気分だったし、ということで。
ちなみにお店の名前は「ろくさんろく」と読むらしい。
ラーメン屋さんでよく有る食券タイプのお店なんだけど、たまに食券って分かりにくいところがあるよねぇ。券売機がちょっと入口に立ったときの視界だと見えづらい場所にあったりとか。
ここの食券は入ってすぐ右側にあって分かりやすいけど、導線って大事だなとも思うのです。
入店、そして選ぶ
さてさて、初めてのお店では券売機の左上にあるものを選ぶことが多くて。
というのもだいたい左上からメニューを並べている所が多くて、つまり左上に一押しか定番か一番スタンダードなメニューがある事が多い…という理由。
初めてのお店でいきなり冒険すると、もしもそのチャレンジが失敗だったときに次どうするか悩んでしまう。そのチャレンジメニューがビミョーだっただけなのか、お店そのものが自分に合わないのかが判断しかねる。
逆にスタンダードやメニューやおすすめなメニューが自分に合わなかった場合は、きっとそのお店自体の嗜好と合わないのであろうと判断が出来る。
ということで、こちらでも例によって定番のものを選択。
左上にあるのは「六三六らーめん」。店名を冠したメニュー。店名を付けたメニューはもうやる気しか感じられない。ガチじゃん。
ちなみに麺大盛りも全メニュープラス100円で出来るらしい。
サイドメニューは迷いつつも、高菜ごはんのセットに。
食べてみる
見た目は醤油ラーメンのそれとも塩ラーメンのそれとも違う感じ。僕の思い浮かべていた"煮干しラーメン"とはちょっと異なるビジュアル。ややトロミのあるベージュ~オレンジがかったスープ。
カウンターには説明が貼ってあった。
六三六のスープは、日本のおいしい煮干しと北海道産の昆布でだしを取り、14時間豚骨を煮込み、別鍋で5時間鶏ガラを煮出し、その二つを合わせて野菜を入れ更に5時間煮込んだ、普通の3倍手間のかかる製法で作り上げます。
化学調味料を一切使用せず、背油や魚油をほとんど使用せず作り上げたこのスープのとろみは、すべて野菜のとろみです。
胃にやさしい、おいしいスープをつくるには、手間と時間がかかります。—―(「麺や六三六」公式サイトより)
というわけで、実は分類としては豚骨ラーメンという事になるのかも。
豚骨と鶏ガラをしっかり煮てるし、さぞや動物系の味がするのだろうなと一口飲んでみると、不思議とくどさが無い。
動物系の荒さを出すのは比較的容易だが、クセを取り除いていくのはかなり手間暇が掛かる。
化学調味料で味を調えたりすれば簡単に出せそうな味わいにも感じたが、一切不使用とのこと。
今どきの技術では楽に出せてしまえる味に感じたが、やはり化学調味料を利用している所としていない所では口当たりや後味、食後の余韻が全然異なる。
表面にはしっかりと油もあり、充足感もある。決して物足りなさは無い。
が、強い味に慣れてしまっている人にはどこか物足りない味なのかもしれない。それは背脂か、もしくは化学調味料の類いか…。
裏返せば、とてもやさしい味だった。スープを飲む事を体が拒まない味。もちろん塩分量的には飲まない方が良いんだけど。
麺は適度な太さ。
トッピングにはナルトが。別に取り立てておいしいわけじゃないけど、なんかテンション上がるよね。
メンマは分厚く、しっかりと味わいがある。
チャーシューは焼いた香りが乗っていて香ばしい。分厚過ぎず、とろけすぎず、ラーメンとの相性が考えられている感がある。
そう、トッピングは飽くまでも主演では無いので、主演よりも目立ってはいけない。かと言って誰でも良いわけでは無い。この塩梅が難しく、「主演をおざなりにしたチャーシュー」みたいなウリが好きではない。
麺とスープというダブルキャストがあってこその舞台、ラーメン。その上でサブキャストの個性を引き出しているのならば、それは素晴らしいと感じる。
いくらチャーシューが素晴らしくても麺とスープが微妙ならば、だってそれはもう「チャーシュー屋さん」でしょ?ラーメン屋を名乗っている以上は、主演を大事にしなければならない。
六三六のトッピングは総じてそれぞれの役割を果たす事に徹底していて、必要な所でサッと個性を出して去っていく…みたいな感じで良きバランス。
セットの高菜ご飯。特別どうこうって感じでも無いけども、普通においしいってやつ。ラーメンの箸休めに良い。
なるほど、混んでいる理由が分かったような気がした。
個性的でありながら万人受けでもある印象。個性は際立っているのに、好む人が多そうな味だった。それは「如水」で受けた印象と同じ。
「大衆に受けそう」な味、マスな味は悪ではない。そういうきらいもあったりするけども、それは営利主義に走りすぎてしまったものに対しての揶揄だと思う。
あと、飲食店に於いて「あのお店は食べた事あるから他の店にしよう」じゃなくて「あのお店、おいしかったからまた行こう」という会話に上るようなお店にするという事は大事な命題だと考える。
これだけの数の飲食店があるんだもの。そんな中で行列を成しているのは、そういう根幹を大事にしているからだと思った。
ショップデータ
麺や 六三六 大須本店
営業時間
11:00~23:30
※スープが無くなり次第、営業終了
定休日
無休
住所
愛知県名古屋市中区大須3-30-32
メニュー(抜粋)
六三六らーめん…¥740-
特製つけ麺…¥930-
煮干し塩そば…¥740-
※本記事の内容は2020年1月現在のものです。